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俺はどうしても無双がしたい~勝ち組要素しかないのに何故か全く活躍できません~  作者: 久米鱈 鯛子


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幕間 【エルナ】・・・その1


 ──お父さんとお母さんにつれられて、わたしは馬車に乗りこみました。

 これから、わたしたちはお父さんのお仕事のために、『おうと』にむかいます。


「ふぅ……ヴァルター様に、酷く釘を刺されてしまったな。不要な心配をかけてしまったようで申し訳ない……」


「ふふっ、そうですわね。……でも、やはりとってもいい方でしたわ。流石は名領主様と噂されるだけのことはありますわね」


 馬車のなかで、お父さんとお母さんが話をしていました。

 ヴァルター様とは、わたしたちが住んでいる街や、このあたりを治めている『りょうしゅ様』です。


「……それはそうと、ロルフ? さっきはとてもびっくりしましたね。まさか、この子があんなに懐く相手が居るなんて……」


 そう言いながら、お母さんは私のあたまを撫でてくれました。──あの時、同じように撫でてくれたレオンハルト様の手は、お母さんに比べてすごく小さかったです。


「あぁ、レオンハルト様のことだね。私も彼がエルナの手を引きながら現れた時は本当に驚いたよ。確かに、この子にも同い年くらいの友達がいて欲しいと思って半ば無理矢理送り出してはみたが……まさか、あそこまで仲良くなってくれるなんてね」


 ……そんな話をしながら、お父さんとお母さんはわたしの方を見てきました。その顔は、とてもうれしそうに笑っています。……ですが、それが何だか恥ずかしく感じて、わたしはお母さんの服に顔をうずめてしまいました。


「まあ、この子ったらまた……」


「はは、エルナは相変わらずだね。」


「えぇ、もう少し人に慣れてくれたら嬉しいのだけれど……でも、エルナが楽しんでくれたなら良かったです。最初は、お屋敷に行きたくないと駄々を捏ねていたから……」


 変わらず、お母さんはわたしを撫でていました。

 とっても優しい、お父さんとお母さん……わたしは、ふたりが大好きです。


「ね? エルナ。レオンハルト様とは何をして遊んでいたの?」


 お母さんが、柔らかい声でそう質問をしてきました。

 なので、わたしは小さな声をふりしぼって──


「……ぉ、屋敷……いっぱぃ、案内……して、もらった……」


 と答えました。


「まあ! それはよかったわね」


「ぅ、ん……それ、に……今度、本を読んでくれる……って、約束も……した……」


「えっ! という事は、もしかしてレオンハルト様は字が読めるのかしら。ヴァルター様が賢いと言っていたし、あの歳で凄いのねぇ……。──ねぇ、エルナ。今日は楽しかった?」


 ニッコリ笑いながら、お母さんは聞いてきました。


 ……わたしは今日、レオンハルト様につれられて、お屋敷の中をいっぱい案内してもらいました。すごくキラキラしていた食堂に、広くてお花がきれいだった中庭。とってもいい匂いがした厨房に、少し怖かったけれどたくさんの人がお仕事をしているところも見に行きました。

 それと、あとはレオンハルト様のお部屋にも行きました。広くて、見たことがないような大きなベッドがあって、机の上には紙やペンが散らばってて……わたしには何もかもが物珍しかったです。


 ──そして、何よりも『書庫室』というのが、わたしにとってはすごく興味を引かれた場所でした。毎晩のようにお母さんに読んでもらっている”本”が、あんなにたくさんあるところなんて初めて見ました。


 ……けれど、わたしが本当にうれしかったのは、レオンハルト様がずっとわたしの手を引いてくれたことです。あの人は、ずっとわたしを見ていてくれていました。話しかけてくれて、気にかけてくれて、優しくしてくれて……その上、本を読む『約束』までしてくれました。


 だから、わたしは──今日は、本当の本当に、ずっと楽しかったのです。



「────ぅ、ん……! すっご、く……楽しかった……!」



 レオンハルト様のおかげで、最初はこわがっていたお屋敷へのお出かけも、本当に楽しかった思い出になりました。……だから、また絶対に遊びに行きたいです。


「っ! ……そう、それはよかった。エルナが喜んでくれたなら、わたしも嬉しいわ」


「あぁ、そうだね。……それに、エルナはレオンハルト様に本を読んでもらう約束をしたんだろう? なら、また連れて行ってあげなければね」


 お父さんとお母さんは、そう言ってまた笑ってくれました。

 ガタガタと回る馬車の車輪が、わたしたちを揺らしています。静かな森を進むなかで、わたしは段々と眠くなってきてしまいました。



 ────わたしたちは、これから()()()()()()()()()()()


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