37話 「世界代表者会議」から2年後
世界代表者会議の約2年後、(ヴァルータ公開式典から6年が経過)、カールハインツ・エング辺境伯は47歳(領主)、同夫人は43歳(脚本家)、長男ヴィルフリートは23歳(ベクレラ王国外務省勤務)、ソフィアは21歳、アルフォンスは16歳、マイヤは13歳を迎える。
この2年間で、「ヴァルータ大公国およびベクレラ王国は、スマポ・タプリ・enによって職を失った者、さらに孤児・貧困層を、ベクレラ王国の旧テフヌト領土において職業訓練を行った後、旧テフヌト領土で職に就けるよう尽力すること」という公約を実現していた。
また、ヴァルータ大公国では、教育施設の充実が著しい。
文化庁長官であるシルヴィと、(ヨルムは「自分は娯楽専門」と言い切って配下の優秀な獣人達に教育関係は丸投げした無関係だけど‥‥)その優秀な配下の獣人達によって、初等部・中等部・高等部が各所に存在する。大学も1つある。
初等部では、読み書き・計算(算数)は必須で、あとはアルフォンスの方針として「何でもいいから子供達には集中できることを見つけてあげること」が重視され、ソロバン・将棋・音楽・サッカーなど何でもいいから、専門科目を1つ決めることとしていた。
(アルフォンスは前世での経験から、「集中力さえあれば、後は子供達が勝手に専門科目以外でも成長していく」と考えていたが、後に、初等部時代に集中力を研ぎ澄ませた子供達が成長して、ヴァルータの発展に大きく寄与していくことになる)
義務教育期間は初等部のみで、その後に仕事をすることも可能だし、中等部などに進学するのも自由だった。高等部・大学を含め、全て無償とされた。
また、産業庁長官テュポンが、(公開してよいもののうち、アルフォンスの摩訶不思議な術式を)分かりやすい術式に調整して、魔術を体系化し、「100時間で魔術初級編、+300時間で魔術中級編、+500時間で魔術上級編」の講義を動画にして、各種書籍とセットで、各国に販売した。
それは、世界各国が、スマポ・タプレ、各種アプリの普及により、そして特に通貨関係技術について、魔術の理解が必須と考えた結果、ヴァルータ大公国に依頼した結果であった。
そして、各国は、1セットのみ(10億en)を購入すれば、自国内での複製は自由とされた。
10億enは、その価値を考えると、破格の安さである。今後の国の教育に必要不可欠であることを考慮すると、100億enでも買いたいところだろう。
ヴァルータ大公国としては無償でもよかったのだが、そういうことをするとやはり「依存(甘え)」が生じるだけなので、有償にしたのだった。
(「魔法のみ隆盛の時代」が終焉を迎えた)
ヴァルータ大公国、(旧テフヌト領土を含む)ベクレラ王国、(旧ザイデル皇国領土50都市を含む)自由都市連盟、マーキュリー商業国、5大商会、そして(ヴァルータ大公国の様々な技術と術式の公開によって)多くの国々も、発展を遂げていた。(あ、魔族島も)
アルベルトがかつて、上級レベルの将棋・音楽・ダンス・麻雀などを一部の者に研究させて、その後大いに普及したように、サッカーもまた同様にレベルアップし、世界中でサッカーが流行していた。(あ、魔族島でも)
同種族同士の試合を除いて、他種族間の試合では、(魔法・魔術の禁止は当然として)筋力・特殊能力などの各種族間の不平等をなくすために、各種族の平均値を同等にする結界が各サッカー場で張られ、多くの試合が組まれていた。
(あくまで平均値を同等にするのであって、種族内において突出しているものは、平均値を同等にしても突出している)
以降、各ナショナルチームによって2年毎に行われる世界サッカー・ナショナルチーム大会の初回は、ヴァルータ大公国のスタジアム(5万人収容)で行われたのだが、満員御礼状態だった。(世界同時映像中継もなされた)
初回優勝はヴァルータ大公国チームだった。
(マルセイユルーレット、エラシコ、クライフターンのみならず、ジョゼップ・グアルディオラの5レーン理論を実践とか、無茶苦茶だろ‥‥)
ナショナルチームと異なり、クラブチームも各地で発足し、こちらも2年毎にサッカー・クラブチーム大会が行われる予定で、要するに毎年交互にサッカー大会が行われることになる。
また、一部の種族では男女間の筋力差などなかったが、多くの種族にはそれがあったため、女性たちの間ではバレーボールが流行した。
ネットを挟んでいるためサッカーのような肉体接触がなく、集団球技として楽しいようだ。
(ネットを挟んだスポーツとしては、テニス・卓球・バドミントンがあるが、集団球技としてバレーボールが流行したようだ)
ウピオルは、スプレーマ(大賢者・大魔術師)ゆえ格闘技など全く必要ないのに、空手・ボクシング・ムエタイ・キックボクシング・シュート・サバット・カポエイラ・テコンドー・ミャンマーラウェイ・柔道・ブラジリアン柔術・相撲・モンゴル相撲・レスリング・サンボ・拳法・ジークンドー・太極拳・合気道・コマンドサンボ・システマ・クラヴマガ・エスクリマ・シラット(プンチャック)など全てを会得したうえで、これらを希望する者たち(熱血)指導し、それぞれがあちこちで道場を開いて、多くの弟子達を育てることになった。
(様々な技を互いに研究しながら成長していく過程が楽しいとのことだ)
「若、やはり最高なのは、一子相伝・門外不出で1,000年不敗のムツエンm」
「だー、それはやめた方いい! 死人が出るから!」
「そうですか‥‥ しかし、若の前世の漫画というものは非常に興味深いですね」
「ああ、でも、あれはまさにこの世界では門外不出だからなぁ」
「いえいえ、職業適性が『作画』『著述』の者らには、『血の契約(改)』を交わして研究させ、今や世界中でこの世界独自の漫画が広がっております。一番人気は『アルベルト・ヴァルータ大公の通貨戦略を振り返る』ですね。若の母上の脚本を含めて、多く開店しているヴァルータ書店で大流行しています。スマポ・タプレでも読めますし。特に、将棋・麻雀・音楽・ダンス・サッカー・バレーボールや恋愛物語(特に悪役令嬢系)なども大ヒット商品になっています。スプレーマ達も仕事をサボ‥‥ 抑制して読み耽けって‥‥」
「まあ仕事はもう配下が成長してるからなぁ‥‥ それにしても、書店まで多く開店してるとは‥‥ 最近はあまり出歩いていないからな、もっと出歩かないとなあ」
「今はテュポンが各作品のアニメ化も検討しているところです」
「それ、魔力量は足りるの? んで料金がえらい高くならない?」
「技術の改良を重ねているため、また、魔族島から大量の魔力供給もあるため、従来よりはかなり低価格となっておりますよ。大量生産で安くなった中型モニターなどを大勢で共同で購入して皆で観ることになるでしょうね」
「そ、そうなのね‥‥」
アルベルトは思念伝達で「ミカエル、ゲデック帝国に不審な動きはないか?」と確認すると、「あるわけないのだ。現総帝は領土拡大などの意思はまったく持っていないのだ。ヴァルータの存在で、どの国も領土拡大など目論んでいないのだ。と、情報庁から報告を受けているのだ」と。
「あ、おまえ、今、サッカーの練習をしてるだろ」
「無回転ブレ球を練習してるのだ。妾はとても楽しいのだー。あと、ロベカルのあのフリーキックもな。いつかお披露目するのだ。楽しみにしておれ」
「あ、ああ・・‥」




