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36話 「世界代表者会議」開催


 王城での「世界代表者会議」は、二重輪の円卓会議で行われた。

(同時通訳・スマポと各種モニターへの映像音声の同時配信)


 中央に小さな円卓があり、席は8人分で、ベクレラ王国2人(国王と宰相)、ヴァルータ大公国2アルベルトとテュポン、マーキュリー商業国2人(首相と商業大臣)、自由都市連盟2人(2都市の代表2人)が着座している。


 それを取り囲むように位置する外側の中規模円卓の席30人分(15国)には、ザイデル皇国(皇帝と商務長官)、ゲデック帝国(総帝と外務長官)、エング辺境伯領(辺境伯と長男)を始めとした諸国の代表者らが着座している。


 さらにその外側には、各国から随行してきた上級官僚たち約200人と、5大商会会頭とその上層部40人が椅子に座って様子を伺っている。


(この会議室内にいる全員が、その席の配置を見て、中央の円卓にいるベクレラ王国・ヴァルータ大公国・マーキュリー商業国・自由都市連盟が、ザイデル皇国を消滅させる意図があることを察した。ただ、当の皇帝と同商務大臣を除いて‥‥)



「世界代表者会議」は、ベクレラ国王の発言により開幕した。

「事前に公表してある概案に基づいて本会議を進行する。意見のある方は発言されたい」


 ザイデル皇国の皇帝が「まず、この席についてであるが、なぜ我が国が中央に配置されておらぬのだ。余ら2人の広さも十分あるではないか」と発言した。


 この発言によって、この会議を周囲から見ている各国財務担当者たち全員は、多少の期待をもって保有していた(少量の)ザイデル皇国貨幣を全て、直ちにenと両替するよう自国の部下たち(世界中にあるen専用両替所の前で待機中)にスマポのメッセで指示を出した。


 また、この世界代表者会議の映像音声同時配信をスマポで観ている世界中の者たちも、(保有している少量の)ザイデル皇国貨幣とenとの両替を急いだ。


 もっとも、当のザイデル皇国内では、帝国制圧直後のアルベルトの声明発表後にほとんどの国民がenと両替していたので、(保有している少量の)皇国貨幣とenとの両替を急ぐくらいだった。


(どこまで自国民から信頼されていない国なんだ‥‥)



 但し、事前打ち合わせで、各組織の情報を集め、「貴族にあらねば生物にあらず」的な行動(具体的にいくつかの事例を聞いたが、本当に酷い行為の数々だった‥‥)を行ってきた貴族とその家族については、特別な対応がなされた。


 潜入していたマーキュリー商業国と自由都市連盟の精鋭諜報員たちが、世界代表者会議の開始直前に、睡眠魔法によって24時間以上眠らせ、さらに、そのような貴族たちから、(被害を受けた人々に対する損害賠償に充てるために)資産価値のあるものを全て持ち出したのだ。


 それらの貴族たちは、すべて皇帝と縁戚関係にあり、「3大国のうち、教国を消滅させ、帝国を解体したというのに、我がザイデル皇国には全く手出しできないようなベクレラ王国やヴァルータなど、恐るるに足らず。おまけに複合娯楽施設の設置など、ヴァルータから何度も何度も懇願された結果だそうではないか」と、頭蓋の内部にいったい何が詰まっているのかよく分からない人たちは、皇国貨幣をいまだに大量に保有していたのだ。


 起きたときには皇国貨幣の価値はほぼ無くなって、資産価値があるものも全て失っているだろうけど、まあ、仕方ないよね‥‥


 それにしても一部の皇国貴族たちの嫌われっぷりは尋常ではなかった。

 事前打ち合わせに参加していた全員が、皇国貴族たちへの先の対応に同意、というよりむしろ提案したのだから‥‥


 まあ、悪い貴族さんたち、没落貴族としてなんとか生き延びてね‥‥



 皇帝の発言直前まで「帝国50枚=皇国16枚=ヴァルータ大公国100万en」だったものが、約1時間後には「帝国50枚=皇国50枚=ヴァルータ大公国100万en」と、皇国貨幣はほぼ3分の1まで急落することになる。



---



 ベクレラ国王は、(事前の打ち合わせ通り)「他に意見がある方は発言されたい」と続けた。


 自らの発言を無視される形となった皇帝は激怒し、「どういうことであるか! 余は席について問うたのに回答もせぬのか! そもそもあの補償額についてもいったい誰が決めたものなのだ! 余は関与しておらぬぞ! 直ちに見直しを要求する!」と、自らの地位に微塵も疑いを抱いていない皇帝は、そう言い放った。


 スマポの為替レート表示を確認していたザイデル皇国の財務大臣が、脇目も振らず皇帝に駆け寄り、「皇帝陛下、慎重にご発言なされたく。為替レートがこのような状況に‥‥」とスマポを見せたが、もはや後の祭りであった。



 ベクレラ国王は「ザイデル皇国には一切の補償が行われないことが確定した。この件につき異論ある方は発言されたい」と言ったが、誰も発言しなかった。


 皇国貨幣はほぼ無価値となるだろうが、その煽りを食う形で貨幣価値が下落した各国の代表者たちは、「あの愚帝は何を言っているのだ!!」と、皇帝に対する怒りを抑えるのが精一杯だった。


 ザイデル皇帝は「何だと! 補償がないなど許されるわけがないではないか!」と叫んだが、会議室のあちこちで「愚かにもほどがある」「もう皇国は完全に消滅するぞ」「確定だ」「ベクレラ王国、ヴァルータ大公国らの思う壺だ」「これで旧3大国はすべてやられたな」などとコソコソ話されていた。


 皇帝は「許さんぞ! 成り上がり国ヴァルータとベクレラ王国には宣戦布告する!」と激怒して、(真っ青な顔をした)皇国関係者とともに立ち去った。


(が、皇国の結界に弾かれて、入国すらできなかった愚帝さんご一行様・・‥)


 皇国には一切の補償がなされなくなったことが確定し、同時に宣戦布告などといった愚昧な発言により、ザイデル皇国の崩壊が確定した。



 皇帝が立ち去った翌日には、「皇国500枚=ヴァルータ大公国100万en」と、皇国貨幣はほぼ無価値となった。


・会議直前。帝国50枚=皇国16枚=ベクレラ王国7枚=エング辺境伯領6.5枚=ヴァルータ大公国100万en。


・会議の翌日。帝国150枚=皇国500枚=ベクレラ王国19枚=エング辺境伯領10枚=ヴァルータ大公国100万en。



 世界代表者会議の2日後、貴族の特権階級意識が強いザイデル皇国の皇帝および悪質な貴族たちは、マーキュリー商業国と自由都市連盟の精鋭部隊によって拘束された。


(その貴族たちが、その後どういう扱いを受けたのか、ヴァルータには知らされなかったが、知りたくもなかった‥‥ けど、まあ、仕方ないよね)

 

 さらに、ヴァルータ大公国から(シルヴィと『血の契約(改)』を交わして一時的に)能力専用鑑定術式を付与された自由都市連盟の精鋭部隊によって、皇国は50の都市に分割され、50人の都市統括者(うち半分は人格的に優れた有能な元皇国貴族)が任命されることになった。



 これにより、旧3大国とされた、テフヌト教国は消滅してベクレラ王国に領土化され、ザイデル皇国は消滅して自由都市連盟に取り込まれ、ゲデック帝国は領土が半分となった。


(大陸全土:約700万平方km)

 ・ベクレラ王国:約200万平方km(旧テフヌト領土を含む)

 ・ゲデック帝国:約50万平方km(旧6王国復活により半分に)

 ・ザイデル皇国:消滅

 ・自由都市連盟:約200万平方km(旧ザイデル皇国領土を含む100の都市連盟)



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