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24話 クルー達の住居と同居


 アルベルトは、時々、変身を解いて、アルフォンス(12歳)の姿でヴァルータのあちこちを実際に歩いて見学していた。

 活気溢れるヴァルータが好きだったのだ。


 ヴァルータでは、住民たちから「アル坊」と呼ばれて可愛がられており、よくお菓子やコロッケや果物なども貰っていた。


 ヴァルータの住民は、エング辺境伯領出身の者はそれほど多くなく(そもそも未開地だったからだ)、辺境伯の次男と知っていても、気軽に「アル坊」と親しみを込めて呼ばれていた。



 マイヤは「アルベルトの姿はイケメンすぎる。アル兄の姿は美少女風。前世での容姿との差異について30字以内で」などとたまに突っ込んでくる。



(分かってる。分かってるんだよ! 僕の場合、本当にチートなのは、魔術じゃなくて、アルベルトとアルフォンスの容姿なんだということくらい‥‥)



 クルー各自は、ヴァルータ公開前から、好きなところに住居を構えることにしており、その多くは、各自が長官を務める各庁建物の最上階を選択した。


 各庁の建物は、全て15階建て(石造建築。耐震術式)で、最上階を除く上層階の多くは直属の配下たちの住居として使用されている。


(直属の配下たちは、家族が多いなど様々な理由で、湖の東側にある戸建てがメインの高級住宅地も選択が可能)



 文化庁長官ヨルム(独身)は、同庁建物の最上階。


(ここにはよくクルー達が訪れ、将棋や麻雀が行われる場所になっている。ヨルムは独身だけど、5,000年以上生きてきて、子供は100人ほどいるとのことだった。お相手も100人全員が異なるらしい。アルフォンスが「会えなくて寂しいとか感じないの?」と訊くと、「んあ。常につながっている。半分ほどはヴァルータにいる」とだけ答えた)


 情報庁長官ウピオル(独身)は、同庁建物の最上階。


(ウピオルは独身だけど、特殊な吸血方法で「直属の配下1,000人」ほどいるとのこと。詳細は聞かないことにした‥‥)



 建設庁長官ルシフェル(独身)は、同庁建物の最上階。


 軍務庁長官ミカエル(独身)は、同庁建物の最上階。

(この双子の天使・堕天使は、恋愛感情や性欲とは無縁で、「女神の神力が一定程度に達すると天使が生まれる」ということらしい)


 建設庁長官バルガスは、ドワーフの妻と子供ら10人と、鍛冶場に近い場所に一戸建てを(自分と子供らで)建築して居住している。


 産業庁長官テュポン(独身)は、同庁建物の最上階。


(マイヤは、ヴァルータで仕事をするようになると、なんと、このテュポンと一緒に住むと決めた。アルフォンスは、老紳士のテュポンなら何も問題もないと心配していないというより、むしろテュポンに「迷惑じゃない?」と訊くと、「若、マイヤは将棋の最新戦法でも、脳が焼き切れそうな新手を繰り出してくるので、とても楽しいのです」と。なるほど‥‥ テュポンは将棋が大好きだからな‥‥ マイヤ(10歳)には「なぜテュポンと?」と訊くと、「老けフケせん」とだけ言った。もちろん冗談だろう、なんせスプレーマ達は亜神的存在で、年齢・容姿は関係ないのだから。しかし、マイヤには何らかの予感があったのだろう、その10年後、マイヤが20歳のとき、テュポンと結婚することになるのだ‥‥)


 ソフィアは、外交庁の最上階に、ウリヤーナ(情報庁長官)と一緒に住んでいる。同性愛者のソフィアと両性愛者のウリヤーナ。

 良いカップルだなーと、アルフォンスは姉のために心から嬉しく思った。



 財務庁長官かつアルベルト商会会頭であるアルベルト(アルフォンス12歳)は、文化庁長官と食料庁長官を兼務するシルヴィと、(財務庁建物ではなく)アルベルト商会の最上階で一緒に住んでいる。

 アルフォンスはまだ12歳だが、前世では29年も生きていたのだ。



 クルー全員が集まっているとき、ソフィアが、シルヴィさんはアルのどこが気に入ったんですかと質問した。


 シルヴィは少し照れながら答えた。

 私は、若がこの世界に転生したとき、強い興味を抱きました。

 初めて直接出逢ったのは、若が5歳のときにアルベルトの姿をして最初の盗賊討伐をした時でした。

 人質の若い女性5人を、当たり前のように丁重に扱ったうえで村に全員を送っていきました。

 盗賊たちも(賞金首を除いて)、エング辺境伯領の村に送り、村長に金貨を渡して彼らが働けるようにしました。

 確かにそのような対応に好感を持ちました。

 ですが、そのようなことよりも、その後のヴァルータ開発、前世の世界ですら実現していない最終目標、それら全てに尊敬の念を抱くようになりました。

 もうこれくらいで‥‥


 ソフィアは「アルはどうなの? 結婚とかするの?」と訊いた。

「え、ああ、まあ‥‥ 結婚はどうなんだろうな‥‥」


 シルヴィは「若さえお認めくだされば‥‥」と。

(いやいや、そんな頬を染めるのやめて! 反則だから!)


「ああ‥‥ 考えておく、おきます‥‥」


(僕はまだ12歳なんだってば‥‥)



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