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根を掘ると、桜と同じように発光する石や土が現れた。それを取り除いて集めていく。土の方はどうしようもないので、できるだけ桜から離れた場所に捨て、石の方は私が持つことになった。徐々に輝きを失い、一葉、また一葉と散っていく桜。最後には幹がパキパキと音を立て、朽ち果てて崩れていった。
肉塊の方は……もうそれ以上、大きくなることはなかった。
こうして、国木田の目論見は潰えて、私の依頼も終わり、遂に、事件は幕を閉じた。
桜の根元を掘る作業が終わって冷静になると国木田を蹴り殺してしまったのではないかと不安になったが、私のチョーカーを外して奴につけてみると、しっかり脈があることが分かったので、取り敢えず安心した。
結局このチョーカーは何のための物なのか聞くと、怪談屋は「ただのお守りだ」と答えた。
「てっきり、私を異界に飛ばして国木田を見つけ出させて、位置情報を使って回収させる目論見だと思った」と答えると、すごい顔をして「お前は僕をなんだと思ってるんだ」と答えた。そう思われるだけの行動をいつもしていると思うんだけどな。
そうして、虎さんが国木田を、怪談屋が肉塊を、そして私が憑代の沢山の石を抱えて、体育館の鏡へ向かう。
そこで気になって怪談屋に聞いた。
桜が散った今、それがきっかけで生まれた怪異は消滅していないのかと。
「親が死んでも子は死なないだろう。死ぬにしても、時間差はある」
そう答えた。怪異の影響で生まれたものも確りと怪異として働くものらしく、だからこそ呪いや怪異の変質、伝承や神話の解釈のねじ曲げが出来るらしかった。そうして、私達は来た時と同じく……否、来た時よりも多くのものを抱えて、鏡を通って異界を出た。
事務所に戻ると、慌ただしく怪談屋は色んな人に連絡をしていた。事後処理の様だった。
兎に角、今日は疲れただろうし、別にやることもないから帰っていいと言われたので、私は素直に帰路に就いた。
静かな暗闇をか弱い女の子一人で歩く。
暴漢やら付き纏いやら幽霊やら、その状況から連想される恐ろしいものは幾つもあった筈である。しかし、その時の私は先程迄見ていたもののせいか、心が麻痺していたのか、その状況を怖いと感じることはなかった。本当に、疲れていたんだと思う。
ゆっくりと暖かい湯船に浸かって、美味しい夜ご飯を食べると、五日程続いた緊張の糸がぷっつりと途切れたのか、布団に入ると気絶したように眠った。




