第9話 新たな目標
「ゴブリンキングは、討伐されています」
ギルドの受付嬢は、ベルの話を聞き終えてそう言った。
「……え?」
「先日、森の奥にあったゴブリンの集落を殲滅しました。依頼のランクはC。集落の主は、ゴブリンキングでした」
「Cランク…」
「Dランクの冒険者パーティが受けて下さり、ギルドマスターからも許可がおりたので対応していただきました」
ベルははっとした。 洞穴の印。
ホブゴブリン、ゴブリンメイジの出没。
あれは集落から溢れた者たちだった。
「ドッペルウォリアーは、集落の戦いをどこかで見ていたんでしょうね。だからゴブリンキングの姿を写せた」
「……なるほど」
ベルが納得したところで受付嬢が続けた。
「集落を討伐したのは、4人組の若い冒険者です。皆さん昨日付でCランクに昇格しました」
「4人?」
「レオンさん、ミリアさん、セシルさん、カイルさんの4人組のパーティーです」
「えっ!?」
ベルは息を呑んだ。
「どうされましたか?」
「…俺の幼なじみです。」
「えっ?そうだったんですね!」
受付嬢が微笑んだ。
「嬉しそうな顔、してますね」
「はい!」
本当に嬉しかった。
誰より早く先へ進んだ四人。
そして――。
胸の奥に小さな熱があった。
嫉妬ではない。
自分もあそこへ行きたいという熱だった。
「俺も強くなります」
ルナが、ベルの足元で鳴いた。
フィンも、肩で小さく声を上げる。
◇
三か月が過ぎた。
森の中で、ベルは目を閉じていた。
「リンカー発動」
髪が銀色に染まる。
MPの数字がゆっくりと減り始める。
(前は3分で切れた。今は……)
目を開けると、数字はまだ半分以上残っていた。 毎日同じ時間に発動して、同じ時間まで動く。
地味な訓練だった。
それでも持続時間は確かに伸びていた。
◇
「ルナ、左!」
「ワウッ!」
大きなイノシシの魔物が突進してくる。
ベルは声を出さなかった。
ただ目を向けただけだ。
ルナが跳び、フィンが風を放つ。
イノシシがよろめいた隙に、ベルの短剣が急所を貫いた。
◇
その夜、宿の部屋でベルはステータスを開いた。
【ベル Lv12】
【ルナ Lv12】
【フィン Lv12】
三つの数字が並んでいる。
いつの間にか同じレベルになっていた。
経験値は契約した仲間と分け合う仕組みらしい。
「もっと強くならなきゃな」
ルナが尻尾を振り、フィンが翼を広げる。
窓の外には、星が広がっていた。
ベルは小さく拳を握った。




