第8話 繋がる力
「ぐっ……!」
ベルは爪で棍棒を弾き、後ろへ飛んだ。
【MP 28 / 43】
視界の端で、数字が確実に減っていく。
リンカーとウェポンチェンジ。
どちらも発動しているだけでMPが消費される。
(持って3分か)
キングが踏み込んでくる。拳が地面を砕いた。
「ピィッ!」
フィンがベルの前に飛び込んだ。
小さな身体がゴブリンキングの腕に弾き飛ばされる。
「フィン!」
地面を転がったフィンはそれでも立ち上がった。
翼を震わせまだベルを見ている。
ベルの胸が締めつけられた。
そのときだった。
【派生スキルを解放:アクセルリンク】
【自身とリンクした仲間の速度を強化する】
「新しいスキル…今はこれにかけるしかない」
「…アクセルリンク!」
身体が羽のように軽く感じる。
地面を蹴ると、景色が流れていく。
そして、視界の端のフィンが、見たことのない速さで空を駆けていた。
「フィンも、速くなってるな…!」
ゴブリンキングが拳を振り回す。
けれど、二つの影を捉えられない。
ベルは走りながら頭をフルで回した。
(MPはあと15、リンクエッジは一発しか撃てない)
「フィン、左から風で押せ!」
「ピィッ!」
フィンの風が、キングの左肩を叩く。
キングが体勢を立て直そうと、棍棒を大きく振りかぶった。
ベルはその懐に滑り込んだ。
大振りの棍棒が空を切る。
半歩遅れて右足がついてくる。
――ここだ。
「リンクエッジ!」
銀色の髪が風になびいた。
爪の斬撃が、がら空きの胸を貫いた。
「グ……オオオ……」
巨体がゆっくりと傾く。
ドォンッ!
砂煙が晴れていく。
倒れたキングの身体がみるみる縮んでいった。
やがてそこに残ったのは小柄な灰色の魔物だった。
「……ドッペルウォリアー」
ベルはその場に座り込んだ。
「ウェポンチェンジ解除」
光とともに爪がルナの姿に戻った。
「クゥン……」
「大丈夫か?」
「ワウッ!」
フィンも肩に降りてくる。
「二人とも、ありがとう」
三つのレベルアップの表示が視界を流れた。
◇
魔石を回収していると、ドッペルウォリアーの手に何かが握られているのに気づいた。
小さな金属の欠片。 王冠のような形をしていた。
(洞穴の壁にあった、あの印に似ている)
ドッペルウォリアーは、見たことのある魔物にしか化けられない。 ゴブリンキングに化けられたということは…
ベルは、欠片を握りしめた。




