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Linker-紡ぐ者- ハズレ職テイマーからの成り上がり  作者: 黒銀ネルル


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24/25

第24話 ユニオンリンク

派生スキルを獲得しました

【ユニオンリンク】

【仲間の魔物を融合させることができる】

【消費MP:0】

【ユニオンリンク解除後は元の姿に戻る】

【現在合体可能数:3】

【その他スキルにも補正を加えました】


「…融合?」

思わず声に出ていた。


「ベル? さっきから固まってどうしたの?」

ミリアが目の前で手を振る。


「新しいスキルを覚えたんだけど…」

「え!凄いじゃん!どんなスキル!?」

「よく分からない、ルナ達が合体するみたいなんだけど…」

ベルは空中の文字から目を離せずにいた。


「まぁ、増えるのは羨ましいけどな!」

レオンが少し呆れた顔をしながら笑っていた。


進化したノアはベルの後ろから、翼の先だけをのぞかせていた。

背丈はベルの胸ほどまであって、さっきから自分の足で立つのに苦労している。

立ち上がるたびに、重い翼に引っ張られてぐらりと傾く。そのたびにルナが背中を支えていた。


ベルは自分のマントを外して、ノアの肩にかけてあげた。フードに入っていた癖で、ノアは一瞬だけベルの背中のフードを探して手を伸ばした。

その姿を見て笑いがおこった。


ベルはノアのステータスを開く

【名称】ノア

【種族】 悪魔族:シャドウデーモン

【スキル】影渡り 影の支配

【弱点】光属性攻撃


(シャドウデーモン。また聞いた事のない魔物だ…影渡りはそのまま使える。弱点が光属性っていうのは変わらないんだな…あれ?攻撃!?)


「セシル、光をだしてくれる?」

「え?いいけど、ノアが…」

セシルが心配そうにノアを見る


「ノアどうだ?無理そうならやめとくけど」


ノアは任せろと言わんばかりに胸を叩いた。


「…よく分からないけど、どうなっても文句言わないでよ?…ライト!」

辺りを光が照らし、全員の影がしっかり見えるほど明るくなった。


「ノア、どうだ?」

ベルが少し不安そうな顔を向ける。


「キィ!!」

ノアは元気よく飛び跳ねた。


「え、なんでなんで!?」

ミリアが驚きながら笑顔を見せる。


「やっぱり、進化したことで、光属性の攻撃以外は効かなくなったみたいだ」

ベルは満足そうにノアを撫でた。


「…良かったな」

カイルが優しい声で囁いた。


    ◇


(しかし影の支配って…大層な名前だなぁ)


「ノア、これは何ができるんだ?」

ノアは首を傾げて、少し考えるように床を見た。

それからベルの影の方向に手をかざした。


影がぬるりと実体化し、

黒い縄の形になって、ベルの足首にくるりと巻きついた。


ベルは一歩踏み出そうとして止まった。

足が、地面に縛りつけられたように動かない。


「うわっ、なんだ…!」


全力で足に力を込める。

縄が、墨が水に溶けるようにほどけた。

足がずるりと抜ける。


「え、今何したの?」

ミリアが、ベルの足元をのぞき込む。


「影で足を縛られた…多分」

ベルも縛られていた足元を眺める。


ノアは得意そうに翼の先を揺らした。

それから指先を床に向ける。

ベルの影から、黒い針が数本出現し、また指を動かすと、その方向に針が飛んでいく。


「影を実体化できて、しかも攻撃も拘束もできるって、ノア!凄いよ!」

ミリアも興奮しながら飛び跳ねた。


    ◇


「で、スキルは?」

カイルがぼそりと言った。


「…そうだった」

ベルは、目の前の画面をもう一度見た。

「ユニオンリンク。ルナ達が合体するらしい」


「合体ねぇ、それをしたらどうなるんだ?」

レオンが首をひねる。


「…分からないけど、やってみるか」

ベルはルナに目を落とす。


「え、待って待って」

ミリアが、ルナとフィンの前にしゃがみ込んだ。


「合体しちゃってほんとに大丈夫? 戻れなくならない?」


ルナは、呆れたようにミリアを見た。

フィンは、ルナの頭にぽんと乗って「ピィ」と鳴いた。


「大丈夫だよ。スキルを解除すれば元に戻るみたいだから」

「あっ、そうなの?なら、うん、まぁ…」

ミリアは拍子抜けした顔でルナとフィンを見つめた。


    ◇


運がいいのか悪いのか、10体ほどの大トカゲが通路の奥から湧いてきた。


「ちょうどいい。まず、ルナとフィンで」

ベルは息を吸った。


「ユニオンリンク。ルナ、フィン」


ルナとフィンの身体が光に包まれた。

2匹が混ざり合い、すぐに光が消えていく。


現れたのは、ルナより一回り大きい銀色の狼。

背には光る翼。

毛並みの上を細い電気が走っている。


「えっ…!かっこいい!!」

ミリアが叫んだ。声が裏返っている。

「ちょっと、触っていい?」

伸ばした指先に、ぱちっと火花が散った。

「いたっ!…触るなって顔してるー」


「ガウ」

狼は鼻を鳴らして、群れのほうへ向き直った。


「ルナ、フィン、行けるか?」

「グルルルッ」

低い唸り声が返ってくる。


トカゲの群れが迫る。

狼が床を蹴った。 クローエッジの斬撃が走り、その後ろを雷が追いかける。

1体が裂け、2体目が痺れて固まり、3体目は翼の風に吹き飛ばされた。


「…斬撃、でかくなってないか?」

レオンは剣と盾を構えるのを忘れ、下におろす。

「なってる、威力もかなり上がってるよね…」

セシルが杖を握ったまま言った。


画面の最後の一行が、ベルの頭をよぎった。

「…試してみるか…リンカー発動、ウェポンチェンジ、ルナ、フィン」


狼が光になり、ベルの両手に爪が宿る。

背には青い翼。爪の先では雷が弾けた。


    ◇


残りのトカゲを片付けて、ベルはMPを確認した。


【MP 62 / 71】


「…あれ、どうしたの?」

ミリアが少し心配そうにベルを見た。

「あー、いや、MPが、ほとんど減ってないんだよ」


ミリアが、ぽかんと口を開けた。


「2匹分のスキルを使っているから、いつもなら凄い勢いで減っていくんだけど、今回は1匹の時より減ってないかもしれない」


「うっそ!ずるくない!?」

ミリアが少し大袈裟なぐらい驚く。


「…俺たちの出番、なくならないか?」

レオンが半分本気で言った。


「出番ならあるよ?ベルが倒れたら…運ぶ役」

セシルがレオンをジトっとした目で見る。

「その時は全力でお姫様抱っこしてやるよ…」


ベルは、笑いながらウェポンチェンジとリンカーを解除した。

ルナとフィンが元の姿で足元と頭上に戻ってくる。


    ◇


「次は、ルナとノアを試してみよう!」


ノアがベルを見上げた。

紫の瞳が、少し揺れている。


「怖いならやめとくか?」

ノアは首を横に振り、ルナの隣へ歩いた。

ルナがそっと身体を寄せる。


「よし、ユニオンリンク!ルナ、ノア」


光が溶け合った。


現れたのは、二本の足で立つ狼だった。

額には紫の角。背には黒い羽。

銀の毛並みに、闇の色が水に墨を落としたように広がっていく。


「ルナノア立った!?」

ミリアが驚きすぎて何か口走る。


狼は自分の手を見下ろして、不思議そうに首を傾げた。ノアのような仕草だった。


    ◇


次のトカゲの群れが飛び出してきた。

足元の影が勝手に伸びる。

黒い縄になって、トカゲに絡みつく。

トカゲは地面に縛りつけられて、ぴくりとも動けなくなった。


「…あれは多分抜けられないよ」

ベルが同情した目を向ける。

「私も抜けられないかも…」

セシルが少し震えながら続ける。

「弱い魔物は抜けられない。強い対象には足止め。そういうことだよね?」


「ベルは強い判定なんだ!」

「…なんだよ」

ミリアが笑った。


スキルを解除すると、ノアは嬉しそうに翼をばさばさ動かして、ミリアの前髪を吹き飛ばした。


「ちょっと!」

「…ベルを馬鹿にするからだ」

カイルが目を閉じながらボソッとつぶやく。

「ごめんてば!」


    ◇


「最後に、フィンとノア」


ベルは、もう一度息を吸った。


「ユニオンリンク!フィン、ノア」


光が混ざるとほぼ同時に、 何かが飛び上がる。


腕は翼になっていて、脚の先は鉤爪。

額には紫の角。羽の一枚一枚の上を、雷と闇が交互に走っていた。


目で追うのがギリギリなぐらいの早さで、天井近くを旋回している、そして鋭い声で鳴いた。

「ギィッ!」


「あれは鳥なの?」

「ハーピーみたいに見える」

ベルは見上げたまま答えた。


「…撃ち落とせる気がしない」

カイルが弓を下ろした。


「雷と闇と風。属性が3つになったね」

セシルが目を細めた。

解除すると、フィンとノアがふらふらと着地して、同時に「ピィ」「キィ」と鳴いた。


    ◇


「3匹いっぺんは試さないの?」

ミリアが聞く。


足元に3匹が並んで、ベルを見上げていた。

ルナの尻尾がゆっくり揺れている。


「んー、お楽しみは本番で披露しようかな!」

ベルは少し考えてから言った。


「なら、本番を探すか」

レオンが通路の奥を見た。


「この下の階層に主がいる」

この10日間で、11階層の魔物は余裕で対処できるようになっていた。

群れが湧く間隔も、どんどん長くなっている。


階段の下からは低い唸り声が聞こえていた。

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