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Linker-紡ぐ者- ハズレ職テイマーからの成り上がり  作者: 黒銀ネルル


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第17話 暗闇の階層

黒塔の入口は、巨大な黒い石でできていた。

一歩入ると明らかに空気が冷たく変わった。


「光苔がない…」


壁は艶のない黒い石。

光を吸い込んでいるようだった。


「セシル、頼む」

「ライト」

セシルの杖の先に、白い光が灯った。

それでも照らせる範囲は驚くほど狭い。


2階層、3階層はかろうじて進めた。

そして4階層に降りた瞬間、闇が一段濃くなった。


「…何も見えないね」

ミリアが呟く。


「フィン」

「ピィッ!」


フィンが羽ばたくと、パチッと青白い光が弾けた。 一瞬だけ通路が白く浮かび上がる。


「助かる。羽ばたきが光源になるのか」

そのとき、足音が聞こえた。

通路の奥から何かが走ってくる。


「魔物だ!」

レオンが盾を構えた。


現れたのは、ストーンリザード、ケイブバット、ゴブリン。種類はばらばらだった。

けれど…様子がおかしい。


どれも、ベルたちを襲わなかった。

脇をすり抜け、上へ向かって走っていく。


「……逃げてる?」

ベルは、はっとした。


「襲ってこない。みんな、同じ方向へ逃げてる」


ミリアが首を傾げた。

「でも、凶暴化してるって……」

「追い詰められた魔物は暴れる。それが凶暴化に見えてたんじゃないか?」


ベルは、壁の傷跡を確かめた。

爪で引っかいた跡。踏み荒らされた地面。


「下から、何かに追われてるんだ」


レオンが頷いた。

「ベルの読みを信じる。戦わずに道を空けよう!」


全員が通路の脇に身を寄せ、魔物たちが通り過ぎるのを待った。


しばらくして、静寂が戻った。


ベルは深く息を吐いた。

4人が自分の判断を信じてくれた。

それが、少しだけ胸に染みた。


    ◇


5階層へ降りる階段の前に、冷たい風が吹いていた。


「ワウ……」

ルナが足を止めた。

全身の毛が逆立っている。


「ルナ?」

小さく震えていた。

初めて見るルナの怯えだった。


「…大丈夫か?」

ルナは首を振らなかった。

けれど、震えながらも一歩、階段へ足を向けた。


「行けるのか?」

「ワウ」


ベルは、ルナの頭を撫でた。

そのとき、階段の下から遠吠えが響いた。


低く、長く、闇を這うような声だった。

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