第13話 再会
「ベル、だよな!?」
先に口を開いたのはレオンだった。
「うん。久しぶり」
その一言で、時間がほどけた。
「ほんとにベルだ!背伸びたでしょ!」
ミリアが飛びついてきて、ルナの前にしゃがみ込む。
「ルナ! 覚えてる?」
「ワウッ!」
「しかも、もう1匹いるじゃんよ!」
フィンがミリアの指先に頭を寄せた。
「フィンっていうんだ」
セシルは微笑んで、ベルの手元を見ていた。
カイルは何も言わなかったが、口元がわずかに緩んでいた。
「聞いたぞ。Dランクになったんだってな」
「レオンたちこそ。Cランクおめでとう」
4人が少し照れたように笑った。
◇
光苔の迷宮の入口は、冒険者の列ができていた。
一歩入ると、ベルは息を呑んだ。
壁一面に、青緑色のヒカリゴケが広がっている。
柔らかな光が、岩肌を内側から照らしていた。
「綺麗だな…」
「だろ?」
レオンが笑った。
「でも、気を抜くなよ。迷宮は外とは違う」
ベルは分かれ道のたびに立ち止まった。
荷物持ちの頃からの癖で、どの道を通ったかを頭に刻む。
「…待った」
ベルが手を伸ばして止めた。
「その石、色が違う」
足元の1枚だけ、わずかに黒ずんでいた。
カイルが矢の先で軽くつつく。
かちり、と音がして壁から針が飛び出した。
「…よく気付いたな」
カイルがベルを見た。
「荷物持ちの頃の癖で」
「いい癖だ」
それだけ言って、カイルは前を向いた。
◇
2階層で、フォレストウルフの群れに遭遇した。
「来るぞ!」
レオンが前へ出て、盾で牙を受け止める。
ミリアが二本の剣で脇を抜け、セシルの風の魔法が敵の足を弾いた。
カイルの矢が的確に動きを止めていた。
あっという間に群れが消えた。
「すごい……」
「技や魔法は、鍛えれば覚えられるからね」
セシルが言った。
「スキルは授かりもの。魔法や武技は、鍛えた分だけ身につくの」
セシルは少し照れたように笑った。
「私は、古い魔導書を読むのが好きでね。昔の言葉も、少しだけ読めるんだ」
ベルは感心した表情を向ける。
ただ、自分のスキルだけは違う。
「じゃあ、次は俺たちが!」
ルナとフィンが、ベルの左右に並ぶ。
「リンカー発動」
髪が銀色に染まると、ミリアが目を丸くした。
「え、えっ、髪が!?」
ベルは、構わず前へ出た。
「ウェポンチェンジ、ルナ!アクセルリンク!」
迫るウルフを爪でいなし、フィンの風が背中を押す。 1体、2体… 最後の1体を倒したところで、ベルは能力を解除した。
「すごいじゃん、ベル!」
ミリアが叫ぶ。
レオンは、言葉を失っていた。
セシルが、じっとベルを見つめている。
「……ベル。スキルが増えてるの?」
「うん。ルナと契約してから少しずつ」
「そんなこと、聞いたことないよ!?」
「俺にもまだ分からないんだ」
ベルは正直に言った。
「調べてるけど、手がかりもなくて」
セシルは、少しだけ考えて頷いた。
「強くなることはいい事だよね!けど、何かあったら言ってね」
「…ありがとう」
そのとき、フィンの身体がふわりと浮いた。
「……フィン?」
ベルが振り返る。
淡い光がフィンを包んでいた。
その光は少しずつ強くなっていく。




