第12話 迷宮都市ラグナ
大きな門をくぐると、通りは冒険者であふれていた。 剣、槍、杖、大荷物。
魔物を連れて歩く者もいた。
「すごい人だな」
ルナが鼻をひくひくさせ、フィンが肩の上で翼を畳んでいる。
ギルドに入ると受付の少女がぱっと顔を上げた。
「いらっしゃいませ!」
紹介状を渡すと、少女は目を通して微笑んだ。
「話は聞いています。私はリーナです。ようこそ、迷宮都市ラグナへ」
ワイバーンの素材は、買取所で思った以上の値がついた。しばらくは食べるにも宿にも困らない。
「ラグナの冒険者は、ほとんどが迷宮が目的です。なので依頼はあまり多くありません」
「迷宮はいくつあるんですか?」
「3つ。それぞれ性質が違います。最初は、一番浅い光苔の迷宮がおすすめです」
そのとき、後ろから低い声が飛んできた。
「おい、新入り!テイマーか?」
振り返ると、大柄な冒険者が腕を組んで立っていた。
「魔物に戦わせて、自分は後ろから指図か。楽な職業だな!」
「ガルドさん!」
リーナが眉をひそめる。
「ハズレ職って言われてる意味が分かるか?迷宮はな、自分で戦えねえやつが来る場所じゃねえ」
ベルは、一瞬だけ息を止めた。
十歳の頃の笑い声がよみがえった。
けれど、不思議と胸は静かだった。
「忠告感謝します」
それだけ答えると、ガルドは舌打ちして去っていった。
「…すみません。ラグナでは、自分で戦わないテイマーを軽く見る人もいるんです」
「大丈夫です。慣れてますから」
ベルは笑った。
リーナは、申し訳なさそうな顔をしてから続けた。
「それと、慣れるまで1人で迷宮に入るのはおすすめしません。最初は経験のある人たちに同行をお願いしましょう」
◇
宿は、リーナが紹介してくれた星降り亭に決めた。
出迎えたのは、10歳くらいの女の子だった。
「いらっしゃいませー!お母さーん、お客さん!」
女将はルナとフィンを見てにっこりと笑った。
「魔物連れは大歓迎さ。リーナの紹介だろ?それなら尚更さ」
「リーナさんとお知り合いなんですか?」
「はっはっは!私はあの子の母親だよ!」
「そうだったんですね!」
セリアと名乗った女の子が、ルナを撫でて目を輝かせていた。
◇
その夜、ベルは窓の外を見ていた。
(会えるかな)
レオンたちは今この街のどこかにいる。
会えたら何を話そうか。
◇
翌朝、ギルドに入るとリーナが手招きした。
「ベルさん、おはようございます!今日、同行してくれる方が、奥のテーブルにいますよ!」
ギルドの奥に、4人が背を向けて座っていた。
その後ろ姿に見覚えがあった。
背中に抱える盾。杖の形。腰に下げた二本の剣。
(嘘だろ!?)
ベルの足が止まる。
テーブルの4人が同時に振り返った。
「「……あっ!」」
「……あっ!」
5人の声が重なった。




