第15話 整備中の船を後にして
ライトとアル-シャは港を目指した。だが話によると船はまだ整備中だった。最新の魔動器で動く船だ。風がなくても進めるので重宝されているが値段が高い。
故に貴族以上しか買えない。だが聖王国の名に恥じることはできないと王様が一隻だけ港に解放させた。だからと言って貴族や王族が常に乗っている訳ではなかった。
まさか魔王討伐の為に重宝するとも思わなかったがどうやら運は良いらしかった。まさに歴史的な産物だけに壊れることもある。今まさに整備中だった。
「すまない。ライト。今しばらく待ってくれ」
「待つが暇だ。ちょっと海辺に行かないか」
「え? 別に良いが」
「変なことは考えていない。ただ息抜きがしたいだけだ」
「ああ。いくとしよう」
こうしてライトとアル-シャは海辺へ向かうことにした。だが港街の出入り口にある門をくぐろうとしたその時だ。後ろからセシルの声がした。
「待って! お願いだよ!」
セシルに呼び止められた二人は立ち止まり振り返った。するとセシルが走ってき十分に近寄ると立ち止まった。
「お父さんが! お父さんが!」
慌てているようでライト達は落ち着くよう促した。そのお陰もあってセシルは落ち着き説明をし始めようとした。
「あのね! お父さんが森の遺跡から帰ってこないって! お母さんが!」
セシルの言葉にライトとアル-シャはお互いに目を合わせた。だがすぐに本当のことだろうと思い二人とも助けたいと思い始めた。
「森の遺跡か。厄介だな。あそこは確か今は閉鎖されている筈だ」
アル-シャが言うのだから本当だろう。だがどうしてセシルのお父さんがそんなところにいったのだろうか。
「お父さんは悪くないんだ。僕を捜しだそうとして」
セシルのお母さんがあんな状態だとお父さんはそうなるかとライトとアル-シャは思った。
「だからさ! 今度こそ! 本当のお父さんを助けてほしいんだ!」
「セシル。……分かった。だがあそこは今や魔物の巣窟だ。下手をすれば知能を持った魔物が牛耳っているかもな」
「それでも助けにいくべきだ。助けるのに脅しはいらない」
「別に脅してなんかいないさ。ただ覚悟をしろと言っている。セシルはこの街で待っていろ。必ずお父さんを助けてやるからな」
「うん! 分かった!」
「よしよし。良い子だ」
「へへ。あとこれを」
セシルが撫でられたあとに持っていた両刃直剣入りの鞘をライトに渡そうとした。だいぶぼろがきているがまだ使えそうだった。
「これを? 俺に?」
「うん! はい!」
セシルは素直に両刃直剣入りの鞘をライトに渡した。これでライトは三つ目の武器を手に入れたことになる。素手、短剣、両刃直剣と段々とらしくなってきた。
「それはね。お父さんのなんだ。でも今は使わないしそれを報酬にお父さんを助けてほしいってお母さんが言ってたよ」
「そうか。有難く使わせてもらう」
「一人で装備できないのなら私が手伝うぞ」
「分かった。その時は頼む。アル-シャ」
こうしてライトは両刃直剣入りの鞘を背中に装備した。ライトは不器用なのでアルーシャにほぼほぼ手伝ってもらった。
「おお! 似合ってるぞ! ライト!」
「うん! 勇者みたいでかっこいいよ!」
「そ、そうか」
意外にもライトは照れ臭そうにしていた。だがすぐに照れ臭いは直りやる気が出てきていた。
「よし! あとは森の遺跡にいくだけだな! いくぞ! ライト!」
「ああ! いこう! アル-シャ!」
どんどん人らしくなっていくライトを見てアル-シャは心惹かれていた。だがそのことは黙っていようと思った。全ては旅のためにと。
もう既に人の気配なんてない。それしか思えないくらいに森の中は荒れ果てていた。まずは森を抜けなければならないとアル-シャは言う。
「こんな人のいないところを通っていったのか、本当に」
「信じよう。いくしかない」
「ああ。いくか」
歩を進め始める二人だったがいくてを阻む茂みなどが邪魔をしてくる。これは相当に骨が折れるぞと二人は覚悟した。
進めば進むほどに方向が分からなくなる。これでは誰でも迷子になるだろう。だが森の遺跡までは真っ直ぐに進めば良いだけだとアル-シャは言っていた。
だから二人はただひたすらに真っ直ぐを目指した。すると段々と開けた場所になっていき最後には巨大な遺跡が見えてきた。
「あともう少しだ! ライト!」
「そうか」
「あとちょっと……。よし! 着いたぞ!」
森の遺跡は木々に覆い尽くされておりもう既に不安が重たかった。だがライトとアル-シャはここに誰かがきたのならなにかある筈と思っていた。
するとライトとアル-シャは焚き火の跡を見つけた。これは間違いなく人が点けた物だった。きっと入る前に休んでいたのだろう。
出入り口付近にあることから入るのに手間がかかったのかも知れなかった。温もりがなかったことを考えれば数時間以上は経過している筈だった。
「セシルがこれるところかよ、ここは」
「無理だ。だが……親ならどこでも捜しにいくのだろう」
「そんなもんか、親は」
「ああ。そんなもんだ」
「そうか。とにかく先に進もう。ライト」
先導したのはアル-シャだ。今すぐにと二人は遺跡の中に入り込み探索するつもりでいた。はたして二人は無事にセシルのお父さんを見つけることができるのだろうか。




