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第14話 港の街で待ちし者

 あれから数分のところに港の街があった。ようやくライト達は港の街に着いたのだった。本当は船に乗りたいがレオの親を捜さないといけなかった。


 どうやって親を捜すのかをレオは気になって訊いてきた。確かにとライトとアル-シャが思っていた矢先のことだ。急に門のところにいた女性が走り立ち止まった。


 女性の顔は実に不安そうだったがレオのところまできた途端に顔が明るくなっていった。それを見たライトとアル-シャはまさかと思い顔を合わせ始めた。


「ああ。間違いないわ。セシルだわ、この子は」


 やはりレオの親と思えた女性はレオのことをセシルと呼んだ。レオことセシルは困惑した。だが心の底でもしかしてこの人がお母さん? と希望を抱いた。


「お母さん?」


 思わず声に出したレオことセシルは間違いを気にしながら言った。もし間違ってたらと思うと自信なんてないに等しかった。


「ああ。そうよ。セシル。私が……貴方のお母さんよ」


 ライトとアル-シャは女性とレオことセシルの顔が似ていることもあってか顔を合わせるとお互いに頷き合った。そしてアル-シャが保護者であることを告げようとした。


「あのすみません。この子を保護した者です」


 告げた時のアル-シャはまだ真顔が抜けていないほどに緊張していた。だがここで折れていてはレオに申し訳ないと頑張って言い続けていた。


「そうですか。あの……ありがとうございます。誘拐された我が子をここまで連れてきてくださって」


 アル-シャも女性も名乗らずにいた。だがそれでもセシルがなにも言わないところや安心しているところを見ると信頼するには十分だった。


「よかったな。レ――。いや。セシル」


 アル-シャは戸惑ったが一瞬の内に修正した。本当は悲しかった。だがこれも運命の内だと思い耐えることにした。


「うん!」


 セシルは笑顔を満面にし頷いた。アル-シャはそうだなと言い聞かせ涙を奥にやった。


「さぁ。いきましょう。セシル」


 セシルの母親は促すように連れていこうとした。だが肝心のセシルは不服そうになりなにかを言いたそうだった。


「あ! お構いなく! 私達は宿に泊まりますので!」


 嘘を付いた。本当は船に乗り次の陸地を目指すつもりだった。セシルとの出会いを否定はしないがおこがましいことは避けるべきだ。


「ですか。……セシル。帰ったら温かい飲み物があるわ。一緒に飲みましょうね」


 それを聴いたセシルは残念そうにしながら軽く頷き帰ることにした。ここでどうやらお別れのようだ。母親はセシルの手を握り締め離れていった。


「いってしまったな。あの母親……ここでずっと待ってたんだな」


 ライトは静かに泣くアル-シャに優しく問い掛けた。アルーシャにも当たり前のように親がいるがこんなにも恋しくなったのは初めてに近かった。


 また優しく問い掛けたライトももういない母親を思い返し天国で待ってくれていると信じていた。もし天国でずっと待っているのならそれはそれで本望だった。


「ああ。なんて良い家族なんだ。私にもあんな温もりがあっただろうか」


 アル-シャはレオとの思い出を走馬灯のように思い返していた。今になって思えばレオとの思い出は短いがそれでも温かみを感じられる出来事だった。


「俺は知っている、アル-シャの温もりを」


 ライトは本当のことを言った。だがアル-シャはライトの言葉をお世辞と捉えていた。だがそれでも嬉しいとアル-シャは感涙に浸っていた。


「そうか。ふふ。私も知っているぞ。ライトの温もりをな。なぁ? ライト? 人はなんで泣くのだと思う?」


 急な質問に答えが出ないライト。そうと言わんばかりに困惑の表情をしていた。だがふと思いついた。それは答えになっていないかも知れなかった。


「人は受け入れたくないがために泣く。そして最後には思い切り笑えば良い。きっと今の自分がいつも以上に好きになると思うからな」


 ライトの最大の助言だった。これ以上に思いつく言葉なんてなかった。むしろ逆にライトが自分がなにを言ったのかが分からなくなっていた。


「あは。そうだな。……笑っていこう。なぁ? ライト」


 アル-シャは泣くことを止め少しなりとも笑った。そしてライトの言ったとおりだと思い笑って過ごすことにした。


「ああ。良い笑顔だな。アルーシャ」


 そんなライトは真顔だった。泣くことも笑うことも忘れたかのような存在になりつつあった。それを危惧したのはアル-シャだった。


「ライトこそ笑ってくれよな。ほら。にっこりとな」


 う! とライトは不意を突かれた。仕方がないのでライトは不器用ながら笑顔を作った。こんな表情をしたのはいつの頃の話だろうか。


「あははははははは! なんだ、それ。有難うな。ライト」


 こんなにも笑い飛ばしてくれた女性はアルーシャが初めてだった。なんだか人が恋しくなってきた。ライトの心にこれが人を愛するということなのかと思い始めた。


 こんなにも清々しくいられるのは間違いなくアル-シャのお陰だった。ライトはこんなにも守りたくなるなんて思いもしなかった。人は受け入れるために笑うのだろうか。


 そんな疑問もいずれ分かってくるような気がした。だがいつになるかなんて分からない。その時までライトとアル-シャは一緒にいられば良いと思えてくるのだった。

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