第11話 洞窟の中で潜む魔物
なんとアル-シャ以上にレオの方が道案内が旨かった。レオは自信満々に先導し目的地である洞窟に着いた。すると洞窟の手前で商人と守り人がいた。
これから入る洞窟は暗いのでランタンが必要だった。早い話がランタンなどを売っているということだ。アル-シャとしては節約したいがないと入れないだろう。
仕方がないと言わんばかりにアル-シャは革袋を出しランタンを買うことにした。それにどう考えても洞窟の中にも魔物はいる。無視はできなかった。
だからこそにアル-シャは革袋からお金を取り出し三人分のランタンを買った。それはもうレオから見ても太っ腹だった。ライトも今のアル-シャに好感を持った。
買ったあとは当たり前のように腰にランタンを付け始めた。アル-シャとライトは苦戦せずに取り付けれたがレオはやや苦戦していた。教える姿はまるで家族だった。
なんとかランタンを付けれたレオは意気揚々と案内しようとした。だがここからは洞窟を抜けるだけと思いライトが先導した。レオは大人しく真ん中にいることにした。
この洞窟は暗いので目が弱った魔物が多く光が効きづらかった。さらに狭いのでライトの俊敏な動きは封じられアル-シャは帯剣が使いづらかった。
一方のレオは短剣でこの洞窟では向いているがいかんせんまだ子供だった。さすがに子供を先頭に立たせては二人の名が折れる。故に今の隊列が万全と二人は感じた。
ちなみにアル-シャはランタン以外に短剣を買っていた。もちろんライトの分も買ったが不器用なほどに扱えなかった。レオの方が幾百倍も上手かった。
だがライトは仕方がないと短剣で洞窟内を挑もうとしていた。どこまで扱えるかは分からないが倒すべき相手は絶対に倒すと誓った。もう失うのは嫌だからと。
ようやく三人は洞窟に入っていった。この時のライト達は進むことしかできなかった。もしあそこで進まないを選んだとしても後悔しかないと思った。
先頭を歩くライトはこの先になにが待ち受けているかなんて知らないでいた。それはアル-シャやレオも一緒だった。この洞窟に潜む魔物とはどんな怪物なのだろうか。
ライトのランタンの灯りがちょっとした闇を照らし出す。くっきりとは分からないのだから歩を進めるたびに緊張する。地味に精神にくるとはこのことかと思い始めた。
余りのきつさに会話をなくし無言のまま突き進んでいた。すると次第に洞窟内は開け始め最後には広い空間に出た。そこには水晶が散りばめられており光っていた。
「きれいだな。ここは明るいぞ」
アル-シャが喋れるほどに気が晴れた。だがライトは空間の先を見ていた。なんだか一本道のようで蜘蛛の巣が通行を邪魔立てしていた。その瞬間にライトは思った。
「不味い! 立ち止まれ!」
ライト以上に前に出ようとしたアル-シャに言い放った。と次の瞬間――。天井裏に張り付いていたなにかが落ちてき無事に着地していた。
「あ! ああ!? あれは……マザークリスチュラだよ!」
レオが急に怖がり始めた。なんとライト達の前に大きな蜘蛛型の魔物が現れた。マザークリスチュラは水晶から閃光を発し獲物にめまいを引き起こしてから捕食する。
余りにも大きいと思い及び腰だが三人は一斉に短剣を構えた。どうやらマザークリスチュラは殺気を感じやすくいきなり怒り始めた。戦いの始まりだ。
「レオは下がっていろ!」
アル-シャがそう言った。レオは言われたとおりに引き下がった。ライトも及び腰だが思い切ってゆっくりと前に進み始めた。初めての魔物だ。進むには倒すしかない。
これでは切りがないとライトは一か八かで走ることにした。大体だが慣れてきたようだ。一方のアル-シャは走るライトを見て勇気を得ていた。レオから離れられないが。
走ってくるライトを見たマザークリスチュラは威嚇をしたあとに尻尾を持ち上げ糸を発射した。ライトは瞬間移動で回避したかったが方向が定まらなくなるとやめた。
仕方がないのでライトは飛んでくる糸を短剣の刃で切り落とした。剣術ではないがそれなりにしっくりきていた。どんどん切り詰めるライトの先に光の点滅が起きていた。
「は!? 気を付けろ! ライト!」
時既に遅いと強烈な閃光が起きた。浴びたライトは思わず腕で防ごうとした。だが余りに光が強烈過ぎて前が見えなかった。その次の瞬間には糸が飛んできた。
「レオ! すまん!」
このままではライトが捕食されると思いアル-シャは走り出した。取り残されたレオは賢くアル-シャのあとを追い距離を保っていた。
だが問題なのはライトの方だ。ライトの腕や足にはいくつもの糸がくっ付いていた。このままでは身動きが取れずに捕食時間になってしまう。
そこに現れたのがアル-シャだった。アル-シャは短剣で急ぐように糸を切ろうとした。だが思った以上に手遅れだった。思う以上に刃が通らなかった。
「ど、どうしてだ!? 私では守れないとでも言うのか! 私の……馬鹿野郎!」
どうしてアル-シャでは切れないのか。それはライトの方が力が上だからだった。もう既にライトは人並みではなかった。魔喰鬼の力がライトに恩恵を与えていた。
「逃げろ」
「逃げないぞ! 私は!」
「逃げろと言っている!」
「ふざけるな! 約束を忘れたのか!」
「は!?」
ライトはアルーシャとの約束を忘れていた。戦いに集中する余りに忘れていたのだ。だがライトですら思った以上に糸を解けなかった。
「無理だ」
「諦めるな! 私は絶対にライトを見捨てない! 良いか! 絶対にだ!」
「あ! 危ない! お姉ちゃん!」
レオの声が空しく響いた。既にマザークリスチュラはアルーシャの背後まできていた。そしてマザークリスチュラは前脚でアル-シャを吹き飛ばした。
「アル-シャ!」
「ぐは!?」
空しいがライトは叫んだだけだった。だが目の前に起きたことでライトに異変をもたらした。さっきまでの気負いは消え人としての怒りが込み上げていた。
「ライト。諦めるな。私が付いている……ぞ」
アル-シャは地面に叩き付けられ気を失った。小言並みとは言えライトには確かに聴こえた。全ての気負いを怒りに変えライトは踏ん張ろうとした。
「お兄ちゃん! やっつけてよ!」
「は!? ……うおおおおお!」
まるでライトはレオを風の精霊シルフィと重ねた。そのお陰でライトは覚醒しもっと踏ん張り始めた。だがマザークリスチュラは最後の止めを刺そうと尻尾を持ち上げた。
そしてライト目掛けて貫こうとしたその時にライトの糸は解けた。気付いたときにはライトはマザークリスチュラの頭上におり短剣の柄を両手で持っていた。
勢いのままにライトはマザークリスチュラの頭に短剣の先を突き刺した。これを機にマザークリスチュラは最後の暴れを起こし力なく沈んでいった。ライトは勝った。
「お兄ちゃん! お姉ちゃんは気を失っただけみたいだよ!」
「は!? アル-シャ! アル-シャー!?」
戦いが終わった中でライトはアル-シャ目掛けて走り出した。そしてアル-シャの近くで立ち止まると持ち上げここから出ようとした。早く出ないといけなかった。
先に進もうとしたが蜘蛛の糸が邪魔をしていた。仕方がないのでライトはレオのランタンの火を使い蜘蛛の糸を燃やした。これによって先に進めるようになった。
この洞窟はまだ先がありそうで慎重に進まないとまたこうなりそうで怖かった。果たしてライト達はこの洞窟を抜け出すことができるのだろうか。




