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第10話 行き倒れの子供

 ライトとアル-シャは次なる森を目指した。なにごともなくこれたが森の出入り口でなにやら倒れ込んでいる子供がいた。

 怪しかったがライトは見過ごせないと言い張り頑なに助けたかった。一方のアル-シャもそこまで言うのならと手助けすることにした。

 二人が森の出入り口までき子供のところで立ち止まると意外にもアル-シャが先に両膝を地面に付け話し掛けようとしていた。


「大丈夫か!」


 アル-シャが子供を揺さぶると目を覚まし始めた。どうやら気を失ったのではなく行き倒れになった状態のようだ。

 胸を撫で下ろしたかのような空気が辺りを覆う。意外にも見るだけとなったライトはいざとなったらなにをしたらいいのかと思ってしまったようだ。

 それにしてもこんなところに子供が一人なんてなんの冗談だとアリーシャは思っていた。この子はうつ伏せでいつからいたのか。


「ううん」


 とは言え寝ぼけているのに間違いはなく子供はうつ伏せの状態から何事もなかったかのような雰囲気を出しつつ立ち上がった。

 きっとだが子供は森の中で迷子になりようやく出たところで力が尽きたのだろう。二人はもうそれしかないと訊くまでもなく決めつけていた。

 迷子の子供は立ち上がりほんのちょっと経つと急に衝撃的な反応をした。なんと迷子の子供は意固地になるほどに思い返し始めた。


「ああ!?」

「うん? どうしたのだ?」

「大変だよ! 俺達の村が!」


 急激に思い返したから身も心も毛立つ感じがした。そんな光景を見たアル-シャも立ち上がり訊くことにした。すると迷子の子供は慌てて説明し始めた。


「村が? どうしたのだ?」

「助けてよ! ねぇ! ……騎士様なら!」


 どうやら迷子の子供はアルーシャの恰好を見て偉い人と認識したようだ。だが心なしかライトに眼中がないように感じられた。


「落ち着いてくれ! 村が……どうしたのだ?」

「う。俺達の村が……賊に襲われて。妹達が」


 二人は思わず衝撃を受けた。聖王国は魔王に足を取られ精一杯の状況だった。いくら風の国が解放されたとしても今は他の森を護るに徹することができなかった。


「賊か。……ライト!」

「無論だ。助けよう」

「ライト! なら話は決まりだな! なぁ? 村まで案内してくれないか」

「うん! 有難う! こっちだよ!」


 迷子の子供が案内をしてくれるそうだがなにやら嫌な予感がした。それだけではない。迷子であることを忘れている二人にも問題があった。何事もなければいいのだが。




 不思議なことに迷子にならずに村までこれた。それにしてもこの村は襲われたとは思えないほどに整っていた。だが二人はなにも疑問に思わなかった。


「ぐふ。ぐふふ。ふははははは!」


 村の中心にくると急に迷子の子供が高笑いをし始めた。この時になってようやくライトはこれは罠であることに気付いた。一方のアル-シャは困惑していた。


「連れてきたよ! ねぇ! 出てきてよ!」


 迷子の子供を餌にどうやらライト達は賊の村に立ち入ってしまったようだった。未だにアル-シャは現実が理解できていなかった。


「おうおう。作戦通りじゃねぇか。まさかな。こんなにも早くくるとはな」


 賊の親玉が中心に出てきた。太い腹は服では覆い被せずにいた。だから腹を出し逆に威厳を辺りに与えていた。


「そこの餓鬼。悪いことは言わねぇ。そこの嬢ちゃんを頂こうか」


 餓鬼とはライトのことだ。ライトは逆に高笑いを始め辺りに妙な空気を与えた。周りにいる賊の下っ端は苛立ちを覚え始めた。


「待て! 言わなきゃ分からないようだな。そこの銀髪赤眼よ。痛い目を見たくないのなら去るんだな」


 ライトにとってこいつらは雑魚も同然だろう。だがアル-シャを守りつつ戦わないといけなかった。それは難しいことだった。


「そうか。……残念だ。ライト! やれ!」


 ようやくことの真相を把握したアル-シャはライトに戦えと言った。ライトは言わずとも戦うつもりだった。アル-シャは帯剣を引き抜きライトは身構えた。


「おうおう! 雑魚風情のくせに刃向かうのか! この俺様に! いいだろうよ! 後悔してもあの世行きは変わらない! いくぞ! お前達!」


 もう既に賊の下っ端達に囲まれているが狙うはやはり賊の親玉だろう。だが敵はそう簡単には狙わせてくれずに人の壁を作っていた。


「おい! 決して上玉は殺すなよ! 生け捕りにしろ! その他は殺せ! 良いな!」


 賊の親玉が口から放った言葉を訂正しろと言わんばかりにアル-シャは怒っていた。ライトは決して弱くはない。むしろ聖王国の希望だった。


「笑われているな。ふ。見せてやれ。ライト。もう……我慢する必要なんかない」


 嘲笑う雰囲気が出来上がっていた。やはりどこの世も腐っていた。たかが髪色がなんだと言わんばかりにライトは暴れまわろうとしていた。


「分かった」


 その直後だった。圧倒的な速さで瞬間移動をしまずは一枚と言わんばかりに抜き去った。賊の下っ端の顔面から煙が立った。一瞬で爆発させた。


「は!? なんだぁ!? この速さは!?」


 賊の親玉が驚きを隠せないでいた。だが一枚減ってもまた増えるという構図になっていた。これは実に暴れ甲斐がありそうだ。


「ぐぅ。ええい! もっと壁を作らんか! なにをしている!」

「しかし! 手に負えません! どんどん破られていきます! ぐは!?」

「これで最後の一人か」

「ぐほ」


 無慈悲なまでの攻撃だった。なんとライトは一気に近付くと顔面を持ち爆発させ倒れる前に踏み台にし一気に離れるを繰り返していた。だが最後は必要性がなく耐えた。


「ぐは。なんなんだ、お前は」


 ライトは跳びかかり賊の親玉の顔面を掴んだ。もうライトを止められる者はいなかった。この世で止めれるのは数が知れているだろう。


「俺か。俺はただの魔喰鬼だ」

「ぐはぁ」


 ライトはそう言い残すと賊の親玉を気絶させた。本当はこのまま放置せずに捕まえたいが今はそうも言っていられなかった。仕方がないので村をあとにし旅に出た。

 その時に仲間になったのがあの子供だった。さすがにこのままではいけないとアル-シャが保護者になることにした。子供の名はなかったのでアル-シャが名付けた。

 子供の名はレオ。この世界を生き抜いてほしいとアル-シャが名付けた。そしてレオの話を聴くとすっかり反省しているらしく短剣使いとしては上出来だと言う。

 だがレオの生まれ故郷である港街までとの条件付きだった。果たしてライト、アル-シャ、レオは無事に目的地まで辿り着くのだろうか。

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