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異世界マニアのおしかけ召喚者  作者: 伊部九郎
第3章 南部激闘編
203/564

第203話 鍛冶屋フーゴ

 去っていく魔導士たちを見ながら、マルケルがぼそりと言った。


「さっき、フーゴの店に行くと決まった瞬間、魔導士様たちは目配せもしないのに瞬時に、そして、同時に立ち上がったよな。素晴らしい行動力だ。あれが、この国の最上位の地位にいる理由の一つなんだろうな」


「確かに!・・・俺たちも見習わなくちゃいけないな」

 ハイケルがそう言うと、他の冒険者たちもうんうんと頷いた。


「あとは・・・パーシーが魔導士様に失礼なことをしないことを祈るばかりだ」

「あ、お前もそう思った?俺も、その点が心配だったんだよ」

 エドのその言葉で皆は笑った。




「それにしても、この地域の銃の普及率の高さは驚くばかりだな。兵士も冒険者もほとんどが銃を持っていたではないか」

 フーゴの店に向かって歩き始めたところで、モルナール魔導士がパーシーに向かって言った。


「はい、トキオが最初に拳銃を魔物討伐で使用した時の抜群の威力を聞いて、皆が欲しがりましたからね。と言っても、最初に欲しがったのは俺なんですけどね」

 パーシーはそう言って照れくさそうに笑った。


「抜群の威力?・・・具体的にはどのようなことだ?」

「トキオ一人で短時間のうちにグリベラーを3体も仕留めたんですよ。しかも、それぞれに使った弾は1発だけでした。それまでは、グリベラーを仕留めるのには数人でかかってやっとでしたからね、この話を聞いた時は天地がひっくり返るほど驚きましたよ」

「そういうことか。確かに、先月の戦闘の時も、新しい弾を使ったとは言え、剣や槍も通さないハードオークを簡単に仕留めていたからな。銃という物は、誇張でも何でもなく戦闘に革命を持たらしたと言ってもいいのではないか」

「俺もそう思います。だからこそ、それからすぐに大量生産を始めたんですよ」

「ほう、そうなのか」

「はい。特に、街の外に住む農夫に持たせるためにライフル銃が優先的に生産されました。俺たち冒険者なら、今まで使っていた剣や槍などの武器でも魔物を討伐できますが、一般市民にそういう武器を持たせたからと言って同じようにできるわけじゃありませんからね。実際、この街の郊外に住む農夫がボアドンをライフル銃で仕留めまして、それが、一般人による魔物討伐の最初になったんですよ」

「そんなことがあったのか・・・その時に使われたライフル銃は、今から行く鍛冶屋のフーゴとやらが作ったものなのか?」

「ああ、それはどうでしたっけねえ。その時にはすでに、街中の鍛冶屋を動員してのライフル銃作りが始まってましたから、そうじゃなかったかもしれません」

「そんなに早くから大量生産をしていたのか」

「はい。トキオが拳銃の威力を示す直前に、郊外の集落の一つが魔物に襲われて全滅すると言う事件が起こってましたから、ギルドや王国軍も協力して、細かいパーツは外注して作る体制を整えたんです。その生産体制は、すぐに近隣の街にも伝えられました。おかげで、郊外の農夫と、アティムやアルアビスの王国軍、それに、南部方面軍にもあっという間にライフル銃が行き渡りました」

「そうか。それは、良い判断だったな」

「はい。確か、大量生産することを最初に提案したのは、今から会いに行くフーゴだったと思います」

「そうなのか!それは、ますます会ってみたくなったぞ」

「はい。フーゴは他に、トキオとアウレラが持ってる刀も作った人間・・・あれ?そう言えば、先月、魔導士様たちはフーゴに会ってるのではないですか?」

「そうだったか?」

「勇者様に刀を届けに来た男がいたでしょう?あれがフーゴですよ」

「おお、あの者か!確かに、あのジークフリートの刀は素晴らしい出来だった。元々は、剣や槍を作っていたのだろうから当たり前だとしても、かなり腕利きの鍛冶屋なのではないか」

「そうですかね。少なくともこの街では一番です。銃を作り始めてからは、そっちに興味が行ってるみたいで色々と試してるみたいですが」

「何か新しい種類の銃を作っているということか?」

「はい、最初に作った銃はこのリボルバー式拳銃なのですが・・・」

 パーシー腰のホルスターから拳銃を取り出しながら言った。


「続いて、自動拳銃というのを作りまして・・・」

 そう言うと、リボルバー式拳銃をホルスターに戻し、反対側の腰に下げていた袋から、黒く四角張った拳銃を取り出した。それは、テリットたちが使っているのと同じ自動拳銃だった。


「それがこれです。俺も少し前に手に入れたんですが、まだ良く訓練していないので、今回は使い慣れたリボルバー式の方を使いましたけど」

 パーシーは、そう言いながら拳銃をモルナール魔導士の方へ差し出した。


「この街にはこんな拳銃もあるのか。王都では見たことがないぞ。回転式の弾を込める部分がないが、どういう構造になっているのだ」

「この拳銃の場合、弾はマガジンというものに入っていて、それは手で握るこの部分の中にあります」

 パーシーはそう言うと、拳銃からマガジンを抜いて、弾が見えるようにモルナール魔導士に示した。


「ほお~・・・まったく構造が違うのだな。どのようになっているのか詳しく知りたいものだ」

「この拳銃は、撃つと薬きょうが上から飛び出すようになってましてね。撃ってお見せするのが手っ取り早いんですが、ここで発砲すると付近の人たちが驚きますので・・・ああ、フーゴの店でなら撃てますから、そこでお見せしますよ」

「そうか、頼む」


「はい・・・あ、着きましたよ。あそこです」

 パーシーは、フーゴの店が見えて来たのでそれを指さした。

「おお、あれか」




「フーゴ~、いるか~」

 店に入るとすぐに、パーシーは店の奥に向かってそう呼びかけた。


 しばらくする、奥からフーゴが出て来た。


「ああ、パーシーか。どうし・・・え!魔導士様!?」

 フーゴは、驚きの表情を浮かべて硬直した。


「すまぬな。少しお邪魔するぞ」

 モルナール魔導士がそう言い、他の二人とともにパーシーの後に付いてフーゴの方へ歩いて行った。


 それを見たフーゴは、我に返ると慌てて深々とお辞儀をした。

「このような場所にお越しいただき光栄です!」


「そうかしこまらずともよい。今日は、いくつか聞きたいことがあって参った。ここに来る途中でパーシーと話をしていて、聞きたいことが少し増えたがな」

 モルナール魔導士はそう言って微笑んだ。


「そうですか、なんなりとどうぞ」

 フーゴはそう言ったものの、緊張で体を固くして身構えた。


「まず、最初に、このホロ―ポイント弾というものはトキオから聞いて作ったと聞いたが、製造に難しい点はなかったか?それと、期待した性能を安定して発揮することはできたか?」


 その質問に、フーゴは少なからず驚いた。

 魔法使いの頂点に立つ人が、本来、専門外であるはずの武器、特に銃に多大なる関心を示したからだ。


「はい・・・実を言いますと、製造は徹甲弾と比較してもかなり大変でした。最初のうちは、なかなか、トキオから聞いていた効果が出なかったのです。出始めてからも、その効果が安定せず、弾によってかなりばらつきがありました。先端の形状を微妙に変えて、一番効果の大きい形状がやっとわかって来たところで今回のトロール騒ぎが起きましたので、試験中だった色々の形状のものをかき集めて戦場の冒険者に届けたわけです」

「ということは、今回使ったものは、その効果が一様ではなかったということか」

「はい、そうです。もっとも、それほど大きな差ではなかったでしょうし、今まで使っていた普通の弾に比べればかなり大きなダメージをトロールに与えられたはずです」

「大きなダメージか・・・具体的にはどう違うのだ」

「トキオから聞いた話なんですが、銃弾というものは生物のような内部が柔らかいものの中に入るとその体内に大きな空間を作って、それがダメージなるそうなんです。ホロ―ポイント弾だと、先端が平たくつぶれる分、その空間がより大きくなって、よりダメージが大きくなるということでした。実際、俺が試験してみた結果でそれが確認できました。ただ、物に当たったら潰れると言う特性上、貫通力は普通の弾より劣ります。だから、使う相手を選ぶ弾ってことが言えると思います」


「ふうむ・・・なるほどな」

 フーゴの説明を聞き終わると、モルナール魔導士は難しい顔をして考え込んだ。


「それでは、ホロ―ポイント弾を作るためのコツのようなものはすでにわかっているということだな」

 モルナール魔導士は顔を上げると、しっかりとフーゴの目を見て聞いた。


「そうですね・・・まだ、完璧とは言えませんが、大体のポイントは掴んだと思います」

「そうか・・・では、次だが、先ほどパーシーに自動拳銃というものを見せて貰ったが、今までのリボルバー式に対する利点はなんだ」

「最大の利点は一度に撃てる弾数が多いってことですね。18発撃てますからリボルバーの3倍です」

「なに?そんなに違うのか」

「はい。あと、もう一つは引き金が少し軽いということです。だから、力のない者だと、こっちの方が命中精度が上がる可能性が高いです。トキオの発案で、女の冒険者は男の冒険者より力が劣ると言うことで、少し小さくて口径も小さい分反動の少ない拳銃を使っていたんですが、自動拳銃は男性と同じように使えるようです」

「なに?女性用の拳銃というのがあるのか?」

「はい。実際に、アティムの女性冒険者は、皆、これを使っています。ただ、アウレラはトキオが王都に行くときに自動拳銃を渡したので、それからはずっとそっちを使っています。以前の女性用のリボルバーと同じように使えているようですよ」

「アウレラというのは、以前に王都にも来たトキオのパーティー仲間だな」

「そうです、そうです」


「しかし、それほど前に自動拳銃が出来上がっていたのに、トキオはなぜ王都でそれを作るように指示しなかったのだろうか。そなたは何か聞いているか?」

「え!?そうなんですか?俺には、王都に行っても作ってもらうと言ってたんですが・・・リボルバー式拳銃は作っているんでしょうか」

「それは作っている。ライフル銃の生産を優先したこともあって、少し前にやっと量産が始まったところだがな」

「少し前にですか。じゃあ、そのせいかな・・・リボルバー式拳銃の方が構造が単純で作りやすいんですよ。だから、まずはリボルバー式の生産を軌道に乗せたかったんじゃないですかね」

「・・・なるほどそういうことか・・・ということは・・・・この街で、自転車、リヤカー、猫車というものを作っていたりするか?」

「自転車、リヤカー、猫車?・・・初耳ですね。なんでしょう、それ」

「そなたが知らないのであれば、多分、作っていないのであろうな。それも影響しているのかもしれん」


「はあ・・・」

 フーゴは、最初はモルナール魔導士が単なる興味から質問しているのだと思っていたが、だんだんと、何か目的があって質問しているのが分かって来て、イヤな感じを覚えたのだった。

 銃弾による威力の違いが明確に分かる動画を見つけました。

 拳銃弾と小銃(この小説で言うところのライフル銃)弾の圧倒的威力の差が驚きです。

 興味のある方はどうぞ。

 https://www.youtube.com/watch?v=kWL-0S74mEg


 これが人間に向けて使われているのかと思うと恐ろしいです。

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