第196話 トロール対冒険者
話が盛り上がって来たところで長々とお休みしてすみませんm(_’_)m
仕事もしてたんですが、どっちかって言うとオリンピック見てました(爆)
5年ぶりですからね、どうしても見ちゃいますw
しかも、日本選手団大活躍で、史上最高のメダル数でしたからね。
まだ、別の仕事は残ってるので毎日更新というわけにはいかないかもしれませんが、これからペースを上げていきますので、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
ブロームとアウレラが林を抜けると、そこには、あまり好ましくない状況が展開されていた。
トロールとゴブリンたちは、森から出ると横に広がった陣形のまま、それぞれが王国軍の兵士に向かって直進していた。
王国軍は、それに向かってしきりに発砲していていくつか命中弾も与えていたが、トロールはそれをまったく意に介さないかのようにゆっくりではあったが変わらぬスピードで進んできていた。
ゴブリンは巧妙にトロールを盾にするようにその背後について移動して来ていたため、銃弾をほとんど命中させることができないでいた。
すでに、トロールだけでなくゴブリンもその形がハッキリわかるほどの距離になっていて、アウレラとブロームは、その様子を見ると、一旦、足を止めた。
ブロームは、最初に見た時は森の中にいたせいで全身が見えていなかったトロールの全貌を見たことで、あまりの大きさと醜悪さに圧倒されて自然に足が止まっていた。
それに対してアウレラは、トロールの全身像を見た瞬間、母と姉が亡きものにされたあの日の光景が眼前に蘇って来て、怒りと恐怖でトロールの姿に見入ってしまい足が止まってしまったのだった。、
先程は、トロールの全身が見えていなかったせいで怒りのみが体を支配していたが、その姿をハッキリと見たことによって、あの日の恐怖も同時に湧き上がってきたため、それが幸いして怒りに我を忘れるという状態にはならなかった。
アウレラは、顔を上げて空を見上げると、大きく3つ深呼吸をした。
その様子をブロームは右斜め後ろから見ていた。
また怒りに我を忘れるようなら後ろから殴りつけてでも止めるつもりだったが、一瞬、興奮する様子を示したものの、すぐに深呼吸をして自分を落ち着かせている様子を見てブロームは安心した。そして、静かにアウレラに歩み寄った。
「行けるな」
ブロームは、アウレラの右肩に手を置きながらそう言った。その言葉はしっかりとしたものではあったが、あくまで優しいものだった。
「うん」
アウレラはしっかりとした視線でブロームを見つめて頷いた。
「その前に、ちょっと拳銃のマガジンを貸せ」
ブロームは、そう言いながら自分の拳銃を抜いてマガジンを外した。
アウレラも、同じように腰から拳銃を抜いてマガジンを外した。
ブロームは、自分のマガジンから上の2発を外すと、アウレラからマガジンを受け取って、上の2発を指で弾いて落とし、手に持った2発を込めた。
「これはホロ―ポイント弾と言って、フーゴが今日届けてくれた弾だ。生き物の体内に入ると大きなダメージを与えるらしい。お前に2発渡しておく」
「そんな弾が・・・わかった」
アウレラは、そう答えるとブロームから受け取ったマガジンを元の通りに拳銃に装填し、腰のホルスターに戻した。
ブロームは、地面に落とした弾を拾うと自分のポケットに入れた。
「よし!行こう!」
ブロームのその言葉で、二人は、仲間の冒険者たちが固まっている方へ走り出した。
トロールとゴブリンは横に広がって迫って来ていたので、王国軍の兵士たちもそれに合わせるようにかなり横に広く展開していたが、冒険者たちは、狭いエリアに固まるように王国軍のすぐ後ろに控えていた。
ブロームたちがさらに進むと、冒険者たちは、3分の2程度の人数が横に広がりながら銃をトロールたちに向けて、残りはその後方の真ん中に固まって、同じ方向に銃を向けた。
冒険者たちの前の地面は少し下がっていて王国軍はその下にいたので、冒険者たちから直接トロールたちを狙うことができていた。
「よし!あの、右肩から血を流してるヤツだ!」
ブロームたちが冒険者が固まっているそばまで来ると、パーシーが皆に向かって叫んだ。
「よし!」
皆はそう答えると、そのトロールに向かって一斉に銃を構えた。
「俺たちもやるぞ!」
ブロームは、冒険者たちのところに到達すると大きな声でそう言って真ん中のグループに入った。
「おお、来たか!頼む!」
パーシーはブロームに向かってそう言うと、続けてアウレラを見ながら言った。
「行けるか?」
「もちろんよ!」
アウレラは、少し笑みを浮かべながら答えた。
「アウレラにもホロ―ポイント弾を渡したからこっちに入れてくれ」
「そうか。わかった」
パーシーはそう答えるとトロールの方へ向き直った。
目の前では王国軍がライフル銃をメインにしてしきりに発砲していたが、パーシーはそれを意に介さないかのように、そのまま目標のトロールを見つめていた。
すでに、トロールは100マイン程度の距離にまで迫っていた。
「もう少し引き付けるぞ」
パーシーの言葉に、皆は、緊張した眼差しで迫って来るトロールを睨んでいた。
「さっき打ち合わせた通り、狙いは胸だからな!これだけデカいんだから、外したら恥ずかしいぞ!」
パーシーのその言葉に、皆は一瞬、表情が緩んだが、すぐに真剣な表情に戻った。
すでに、トロールは50マインほどの距離に迫っていた。
右手の方のトロールたちは、さらに近い距離まで迫っており、王国軍からの圧倒的量の銃弾を浴びで行き足が鈍るものもあったが、1体として足を止めるものはなく、徐々に王国軍との距離を詰めていた。
ブロームは、そこで冷静に全体を見渡し、トロールの数が全部で12体であるのを確認した。
しかし、すぐに目標のトロールに視線を戻し、拳銃を構え直した。
その時、目標のトロールが左から集中的に放たれた王国軍の銃弾のため、そっちを睨んで方向を変えた。
「まずい!」
トロールが横を向いたため、胸が狙えなくなり、ブロームは思わず叫んだ。
それから、急いで拳銃を腰のホルスターにしまうと、背中に背負っていたライフル銃を外し、素早く装弾するとトロールに狙いを付けた。
(少し遠いがいけるか!)
ブロームはそう考えつつ、ゆっくりと呼吸をしながらトロールの頭部に狙いを付けた。
そして、息を止めると引き金を引いた。
バン!
ブロームの放った弾は、トロールの右耳に命中した。
「グアー!」
トロールは、そう咆哮すると、右耳を押さえてこっちを向いた。かなり効いたようだった。
その瞬間、ブロームはトロールと目が合った気がしたが、その途端、スピードを上げてこっちに向かって突進して来た。
それは、今までの進行速度が嘘のようなかなりのスピードだったため、その距離が一気に詰まった。
「よーし!狙え・・・」
パーシーがそれを見て言った。
冒険者たちの前にいた兵士たちは驚いて、向かって来るトロールに向けて一斉に発砲したが、トロールは銃弾を食らいながらもスピードを緩めず突進して来た。
「・・・撃て!」
ババババン!
パーシーの号令で、前列に展開していた冒険者たちが一斉に発砲した。
その銃弾は、見事にトロールの胸に吸い込まれていった。
「グアーーーー!」
トロールは、再び咆哮を上げると、大きくスピードを落とした。
しかし、それでも倒れずにさらに向かって来た。
ババババン!
前列の冒険者たちが再び発砲した。
銃弾はすべて、また、トロールの胸に着弾した。
「グオウ」
トロールは苦しそうに再び胸を押さえて、完全に足が止まった。
すでに、トロールとの距離は10マインほどになっていた。
「よし!次だ!左膝だぞ!狙え・・・撃て!」
そのパーシーの号令で、真ん中後方に控えていたホロ―ポイント弾を装填していた冒険者のうちの5人がトロールの左ひざ目がけて発砲した。
ドドドン!
ホロ―ポイント弾は、すべてトロールの左膝がしらに命中し、大きな血しぶきが飛び散った。
「ガアァァァ!」
トロールは、左膝を破壊されて前のめりに倒れ両手を地面についた。
それでも、顔だけはこっちに向けて冒険者たちを睨んでした。
「ようし、とどめだ!眉間を狙え・・・・・撃て!」
ブローム、アウレラ、パーシーを含めた残りの5人がトロールの眉間に向けて発砲した。
ドドドン!
他の冒険者たちも、一斉にトロールの顔面に向けて発砲した。
トロールは、顔面を大きく破壊されて、声もなくゆっくりと地面に突っ伏した。
「撃ち方やめ!」
そこで、ブロームが大声で叫んだ。その言い方は、兵士の号令のようだった。
そのため、前方にいた王国軍の兵士たち全員が上官からの命令と勘違いし、一斉に発砲をやめた。
「行け!」
ブロームはそう言うと、アウレラの肩を後ろから強く叩いた。
アウレラは、チラッとブロームを見た後、腰からチドリ抜きながら走り出し、大きくジャンプして兵士たちの頭上を飛び越えるとトロールに向かって突進した。
トロールは、その足音が聞こえたのか、大きく破壊されて血まみれになった顔を上げながら左手を伸ばして来た。
バン!
しかし、次の瞬間、その肩にブロームが発砲したホロ―ポイント弾が命中したため、腕は力なく地面に落ちた。
それと同時にアウレラは飛び上がった。
「こんのおぉぉぉぉぉ!」
アウレラは絶叫しながら、チドリを両手で逆手に持ち替えると、トロールの頭頂部に体重を乗せて突き立てた。
トロールは、一瞬硬直したあと、ゆっくりと前のめりに顔を地面に落とし、完全に動かなくなった。




