第31話:海旅行 四日目
この日はちょっと別の趣向でいくことにした。別荘の周りの森を一日かけて探検する。
「よし、みんな揃った? しゅっぱーつ!」
「「「「「おー!」」」」」
リリアを先頭にして森の探検を開始する。ダークネス家でもこの辺りは調べていないらしい。つまりお宝が眠っている可能性が……!
「はぐれないでくださいね。入り組んでて複雑なんです」
「そうね……枝とか葉が邪魔して面倒だわ」
「地面ぬめぬめしてるやん!」
「雨とかで濡れてるのか……」
「気にしてる暇ないって! 行こ!」
早く行きたいという欲が強すぎてリリアを抜いて先頭に出た。マリーたちはこうなることを予想していたかのように何も言わない。むしろにこやかに笑っていた。
「木でっか……なにこれ」
少し進むととんでもない大きさの木がズラリと並んでいた。
「数十メートルはあるんじゃないかしら……大森林以外でこんなことありえるのね」
「なにか影響してんのかな」
「ん〜今考えても無駄! 探検に難しい話は不要!」
「そうだね! めんどくさいし!」
そのまま話を終わらせて進み続ける。湿気なのかすごくジメジメしてるが正直そんなの気にならなかった。楽しさのほうが上。
「ん? なんだろこれ、石?」
森の中心にたどり着くとそこには大きな石がそびえ立っていた。文字が書いてあるので石碑の可能性が非常に高い。
「なんて書いてあるのかしら……読めないわね」
「ん〜……もうわかんない! ウチこういうの苦手なの!」
——ていうことは読めるの私だけ!?
そう、私にはこの文字が読める。アクア・アイランドに古くからあり、今でも使われている文字だからだ。読めないとおかしいってわけ。
「文脈的にここらへん掘ってみろってことちゃう? ほら、こことか」
サインが指した文を見てみると確かにそう感じる。この理由はアクア・アイランドの文字が人間界の文字を参考にして作られているから。文とかが似るのもサインがなんとなくで読めるのも必然ってこと。
——ん? てか人間界の文字を参考にしたっていうの数億年前だよね? サインなんで知ってるの?
そんな疑問を思い浮かべていると、ナイスタイミングでマリーが質問してくれた。
「なんでサインはわかるの? わたしたちにはさっぱりよ」
「実はな、あたいのスキル『結晶』はかなり昔のものやねん。やから今の文字じゃなくて昔の文字が大半なんよ」
「つまりスキルを上達させていくうちに勝手に昔の文字を覚えたってこと?」
「そゆこと!」
——うん、そういうことね。変な考察しちゃった
つまりサインはただ覚えただけで『昔の人』とか『異世界人』とかではないらしい。はぐらかされてたらほんとに疑うところだったよ!
「掘ってみよ! なにか見つかるかも!」
「マロン、大丈夫なの?」
「は、はい。この期間は自由にしていいとお母さんに言われてあります」
「許可されたことだし、開始!」
私たちはそれぞれの魔法で作ったスコップを使い地面を掘っていく。掘ったところは後で埋めて元通りにするつもりなので安心だ。
「ここか? いやハズレだな……」
「ここ! だめかぁ……」
「えい! あ! これは——石でした……」
みんなが頑張って掘っているときは様子が見たくて掘っていない。私は『掘ってますよ』というアピールをするためにみんながその場所を掘り終えた瞬間に掘る。これがサボるための秘訣というやつだ。
「よっこらしょっと……」
「おりゃ! あ、なんかあたった!」
「なになに!?」
「ちょっと待ってね! 今掘るから!」
リリアが掘り起こすとそこには一冊の本? があった。なんというか本というよりかは絵本に近かった。なんでかって? めちゃくちゃ薄いんだもん。あと絵が幼稚。
「これ、なんだろ」
「なにか重要なことでも書いてあるんでしょうか……」
「読んでみよ!」
ずっとずぅっと昔、わたしたち人が生まれるもっと前、生き物が生まれるもっと前、二人の人物がいました。
一人は海を守り、一人は世界を見守りました。
世界を見守る一人は巫女となり、海にいる母を崇めるようになりました。
次第に人も増えました。わたしたちは生まれた瞬間から崇めなければなりません。それがこの世界に生まれたときに課される義務なのです。
アクア・アイランドを建国、戦いに介入しないが、海を汚すなら容赦しない……そういう約束を巫女は世界と結びました。
ですが、その約束は破られました。
人と魔物の戦いが起こったのです、
大地は荒れ、空は曇り、光が届かなくなりました。
食べ物のためにたくさんの動物が死に、植物も枯れました。
その影響は海にも及び、陸近くの海では汚れているところもありました。
それを見かねた巫女は戦争に介入。両者の攻撃を防いぎ戦争を終わらせました。
だけど、傷が残りました。
魔法で完治することはなく、誰一人として生きさせることはできませんでした。
しかし、そんなところに巫女の母が登場し、巫女の記憶と力を代償に復活させました。その復活には数億年かかりました。
こうして、海の巫女は転生しました。
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