第30:海旅行 三日目
「おーいみんな! こっちにビーチバレーするコートあるで!」
ビーチの方向からサインの大きな声が聞こえてくる。こちらに手を振っているので私たちを呼んでいるんだろう。
「びーちばれー? なにそれ」
「わからないわね。行ってみましょう」
ビーチバレーという単語がよくわからないままサインのいる方向に歩いた。
導かれるままついていくと、長方形に作られたエリアがあった。
「ここやで! でっかいやろ!」
「これがびーちばれー? のコートなの? てかこのネットなに?」
「まあとりあえずルール説明しよか」
簡単に言うとこう。
一 ボールを落としてはいけない
二 ボールに触れられるのは三回まで
三 打ったボールが相手コート外だった場合相手チームの得点になる
他にも色々あるけどこんな感じ。ルール多くて面倒だね。あ、ついでに語句とかも教えてもらったよ。
「えっと、六人やから半分で分けれるな! ちょうどいいやん!」
「チームはどうする?」
「そうやな……『シャルル・マロン・サイン』と『マリー・リリア・ルイ』でどう?」
「いいね! やろっか!」
チームができたのでそれぞれのエリアに向かう。なんかあっちチームワークありそうで怖い。
「いくよ、えい!」
リリアのきれいなサーブがこっちに来た。受け止めれるか心配……
——ここ!
ボールの着地場所に行くと、同時にマロンが入ってきた。やばい、ぶつかる!
咄嗟の判断で踏ん張り、なんとかぶつかるのを防いだ。
マロンは私に気づくことなく普通にレシーブをした。あのままタックルしたほうがよかったかな?
「さ、サインちゃん!」
「了解! シャルル!」
私にトスが上がった。大きく飛び上がってサーブを……
——打つ!
数時間後
「ふぅ……楽しかった!」
「そうね……それより疲れたかも。一旦休まない?」
「そうしましょう。流石にこれ以上は脱水症状になります」
ということで休憩することになった。私も汗かいたし日陰で休みたいかも。
パラソルで汗を拭きながら涼しんでいると、ルイが差し入れとしてソーダを買ってきてくれた。
「……やる」
「! ありがと!」
「姉さんも」
「ん、ありがとう。気が利くわね」
その後もルイはみんなにソーダを配った。私たちだけの特別というわけじゃないらしい。いい弟をもったね〜マリー。
「ふぅ……これ美味しいね」
「ん……ほんとね。塩分が入ってるのかしら」
「だからごくごく飲めるの? 頭いい〜」
このソーダを作った人に感心しながら海の波打つ音を聞いていた。この音は私の子守唄みたいなもの、いつの間にか寝てしまう。
「すぅ……すぅ……」
「……寝たわね」
「ん、んぅ……? 夕焼け……」
周りに人は少なく、ほとんど帰ったようだ。
「あれ……マリー? みんな……どこ?」
見渡す限りどこにもいない。あの五人は仲間を見捨ててどこかに行くことはないので安心しているが……なんでいないんだろ。
諦めず歩きながら散策を進める。すると……
「あ、ちょっとそこのお嬢ちゃん。暇? 遊ぼうよ(尻やわらかそ〜なんだこれ餅かよ)」
「絶対楽しいからさ、な? いいだろ?(うっひょ〜胸でっか。こりゃきたわ)」
「俺たち話うまいから楽しいぜ?(こんな体で一人なのが悪いんだよ。狙われるのは当たり前だろ)」
男三人組に声をかけられた。これが噂のナンパというやつだろう。なんか不愉快。
「……なに? 私友達探してるんだけど」
「そう固いこと言わずにさ〜」
一人の男が私の肩を掴んできた。まるで逃がすわけないと言うように。
もう一つ、気になるのが目線。全身を舐め回すような下心丸出しの目。こんな体だから仕方ないとしてもこんなことになるとは思わないじゃん。
「……やめて。気持ち悪い」
「悪いことはしない。逆にいいことしてやるからさ」
めんどくさくなって男から視線を外すといつの間にか囲まれていた。逃げるスペースなんてほとんどない。
「逃さねぇぞ?」
「大人しくついてこい。な? 痛いことされたくないだろ?」
——正気? 私が誰かわかっていってるのかな
そんなことを考えている隙にどんどん距離を詰められる。
——はあ……仕方ない
私は水となってその場から消えた。もちろん探知されないような対策をしてあるので探すことは困難。
「チッ……逃がしたか」
「……逃がすわけないだろ? 絶対捕まえてやる」
「……なんとか逃げ切れたみたいだね」
移動できる距離はそこまで長くない。ほんの数百メートルだ。だけど相手は場所がわからないから追ってくることはない。
「よし、マリーたち探そ」
またマリーたちを探すため歩き出した。
運命というのはこういうところで使われるのかな。なぜか目の前に五人がいた。
「……あれ、なんでいるの?」
「……そっちこそ」
数時間探したのに、結局はビーチにいた。
話を聞くと五人は海に潜って魚とかサンゴ礁とか見ていたらしい。私を置いて……ずるいじゃんか!
「まあ会えたことだし、帰ろっか!」
そのまま私たちは帰ることになった。なにか違和感というか嫌な予感というかを、感じるけど気にする余裕はない。
「続きが気になる……!」
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