第2話:永久を生きる君に
――あの入学試験から二ヶ月――
世立総合学園入学式。
春の季節にふさわしい桜が咲く中、世界一の学園の入学式が行われていた。
開始はまだだが、残り数分だった。
人数はたくさんいて、ほとんど揃ったと思うほどだった。
色々な席では隣同士でおしゃべりをして仲良くなったものもいたことだろう。
そんな中、教師たちはやけに慌ただしかった。
「おい!魔術科を首席合格した「シャルル・アクア」はどこだ!どこにもいないぞ!」
「「・・・……えぇ!?!?!?」」
まさかの出来事に、教師一同声が揃ってしまった。そして、奥にいた教頭が顎に手を添えながら、状況を伝える。
「えぇ、今現在シャルルさんの欠席は伝えられておりません。まさかとは思いますが……寝坊かと」
「きょ、教頭……今日は入学式ですよ?首席が寝坊などありえるものなのですか?」
「――偏見はいけませんよ。ただ、このよう事態は初でして……対策ができてないのです」
淡々と会話をしているが、その顔には困った様子が隠れる様子もなく晒されている。
◇
――とある一室――
そこには問題の首席がいた。どうしているかというと……
「zzz……」
幸せそうに爆睡をかましていた。全く急ぐ様子もなく、ただ単に寝ていた。いい夢を見ているのか、口角は上がっていた。
――シャルル・アクア――
世立総合学園魔術科の入学試験を全て満点で合格したスーパー少女である。
彼女の成績はこうだ。自身の魔力量を測定できる水晶を破壊、筆記試験満点という開校初の快挙を成し遂げた。
数分経った後、眉がピクリと動いた。
「んー!!!朝だー!!!!」
家に響くほどの大声で起床を体現した。そして、目線の先は時計。現在の時刻午前9時、入学式は8時半から開始なので遅刻である。秒間、目を点にして凝視していた。そして……
「遅刻だー!!!!」
そう元気に叫んだあと、ベッドから降り、しゃがみ込んで丸くなる。先程の大声とは逆に、か細い声で。
「やらかした……私首席だから新入生挨拶あるのに……」
立ち上がって頬を両手でペチっと叩き、切り替える。
「遅刻は遅刻!なるべく早く行……けど怒られるし……いや!私は行くぞ!!!」
自分に言い聞かせたあと、準備を爆速で終わらせた。制服に着替え、コッペパンを食べながら浮遊魔法で学園に向かう。
浮遊魔法の使用は法律上問題ないが、魔力を消費してしまうため、使う者はいない……はずだった。
浮遊魔法で数分移動し、学園の校門にたどり着く。閉まっていたため、浮き上がって通過する。
「ふぅ……とりあえず着いたけど……場所どこ」
周囲を見渡すが、式が行われていそうな場所はどこにもない。よく耳をすましていると、「新入生の皆様、ご入学……」と聞こえてくる場所があった。
「あそこか!!」
一目散に声のする方向へ走った。そして勢いよく重い扉を開ける。
「たのもぉ!!!」
ドアを開けた途端全員の視線がドアの方向、シャルルに向かった。そして……時が止まった。だれ一人として声を出そうとしなかった。
前で話をしていた学園長も一時的に止まり、はっとしてシャルルに向き合い、マイクを使って話しかける。
「――シャルルくん、式中は静かにしたまえ。とにかく席に座りなさい」
「・・・……席どこかわかりません!!」
学園長は片手で頭を掻き、失望したときのように声を出した。
「……そこじゃよ。まったく……今年の首席はどうなっておるのだ」
「ありがとうございます……遅刻してすみませんでした……」
「はぁ……では、話の続きをします。この学園は――」
学園長は何事もなかったかのように話を進めた。自分の席につき、溜息をついて姿勢を正す。
――なんともありませんように……なんともありませんように……
少し長い学園長からの説明が終わると、生徒全員が大きく背伸びをした。
「――以上私からでした。お疲れでしょうし少しリラックスしても構いません。それと、シャルルくん、君はあとで学園長室に来なさい」
は目を点にして「は?」とでも言いたげに口を大きく開ける。周りの新入生たちはクスクスと笑っていた。
――神様!!見放した!うぅ……首席がこんなので大丈夫なの!?私学園の威厳なくしたんじゃ……やばいやばい!!迷惑かけたくないのに!!
頭を抱える。
新入生たちが笑う中、二人だけ笑っていない生徒がいた。
「なにをしているんだあいつは……首席だろうが。しっかりしてほしいものだよ」
「ルイ、そこまで言わないの。でも私も気になるわ。首席ともあろう人間が初日から……しかも入学式に遅刻などするものなの……?」
「わからないよ……だけど、今年の首席はやばい奴ってことはわかる」
「同感よ」
その会話が聞こえない位置にいたシャルルはいつの間にか切り替え、呑気に鼻歌を歌っていた。
「ふんふん……痛!!……なに、頭痛?」
――また頭痛!?最近多いよぉ……痛いしやめてぇ……
一度かなり大きな頭痛を感じたがすぐおさまった。心の中の声は痛みに耐えきれていなかったため、うるさい。
「続きが気になる……!」
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