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第23話:ちょっとその日は予定が……ってギチギチ!

「なぁいいだろ? 頼むからさー」

 

「だーかーら! その日は予定があるんだって! 何度も言わせないでよね!」

 

「なんでだめなんだよリリア! オレたちのほうが楽しいって!」

 

「後悔させないからさ、な?」


 虫みたいにしつこい。パーティーに参加しないからって予定がないわけじゃないし!

 

 こんな時、いつも助けてくれる存在が一人いる。


「あなたたち、わたしの親友に何してるの? これ以上リリアに関わるなら凍らせるわよ?」

 

「――っ……行くぞ」

 

「お、おう……」


 マリーの威圧だけでつきまとってきた人たちは去っていった。


「……マリー! ありがとぉ! ウチができないことを簡単にやってのける!」

 

「リリアはそういうの苦手よね。ああいうのはズバッと言っていいのよ。わかった?」

 

「うん!次からそうするよ!」

 

「……信用がなさすぎるんだけど」


 グサッ


 ウチの胸に矢印が飛んでくる。

 

 的を射た的確な言葉。ウチのライフはもう半分削られただろう。


「ま、まぁ大丈夫! ウチこう見えてするってときはしてて――」

 

「――してないでしょ?」


 グサッ


 またもや矢印、これで二つ目である。

 

 もうウチのライフはほとんどなくなった。


「……マリー、そういうのは言ったらだめなんだよ。さっきの人たちと違うんやから、ズバッて言ったらだめ」

 

「そうなの? リリアいつも平然としてたからつい……」

 

「少なくとも、ウチらはだめ!するならシャルルにして!」

 

「シャルルはいいのね……」

 

「当たり前でしょ。シャルルなんにもわかってないし」

 

「リリアにしてはよくわかって――」

 

「そういうところ!」


 なんにもわかってない。マリーだって人のこと言えないじゃん!

 

 シャルルもマリーもどこか抜けてるところがあるのはウチでもわかる。てかシャルルは抜けすぎ。


「ちゃんと約束、守ってくれたのね。ありがとう」

 

「――あったりまえじゃん!親友だもん!」

 

「こっちでシャルル・ルイ・マロン・サインは誘っておいたから。みんなでお祭り、楽しみましょう」

 

「うん! もう待ちきれないよ!あと一週間かぁ……」

 

「長いようで、短いわよ。お祭りの日はもっと短い」

 

「一瞬だもんね!ずっと続いてほしいよ〜」

 

「……そうね」


 お祭りのことを考えると、必然的に笑顔になる。

 ――楽しみだなぁ……


  ◇


 私は、自分の予定表を確認していた。

 

 今回の神祭は三日間に分けて行われる。

 

 一日目:お祭り

 二日目:儀式

 三日目:パーティー


 三日目のパーティーは、貴族や王族のみで行われる。

 本当なら一日目に行われるはずだが、私がお祭りを経験したことがないということで特別に三日間になった。感謝感謝。


「にしても予定が詰め込まれすぎてるな……」


 さて、どうしたものか。

 

 このままじゃ私倒れるかも。


「……なんとかするか」


 そう、あと一週間もある。だけど……


「これから一週間、稽古だもんなぁ……国に戻らないと……」


 私は巫女、一応毎日練習をしているのだが……完璧ではない。忘れた部分などがある。それを取り戻すために国に戻って稽古をつけてもらう。もちろんユラとアイに。


「今年も二人と儀式できるのかぁ……やった」


 そんな思いを抱いていた。ただ……稽古がとんでもなくきついものになるとは、このとき思っていなかった。




「シャルル様、そこもう少し低く」

 

「こ、こう?」

 

「そうですそうです! あとは全体の繋がりとか意識してください」

 

「う、うん!」


 私は国に戻って稽古をしていた。

 

 ユラとアイの指導で今まであやふやだった動きにキレがついた気がする。


「すごく良くなりました!」

 

「流石です、たった数日で去年よりきれいになってます」

 

「えへへ、それほどでも〜」

 

「調子に乗らないでください。まだ続けるので」

 

「えぇ!? もういいじゃんか!」

 

「だめですよ? ユラたちも一緒に儀式するので連携とかしないとなんですから!」

 

「ここまではシャルル様の稽古、これからはアイたちと稽古です」


 その事実に私は撃沈する。この数日自分のことばっかりで忘れていた。

 

 きっと今の私は『ガーン』という効果音が似合っている。それほど、落ち込んだ。


「そんな顔しないでください。アイも頑張るので」

 

「そうですよ、お互い様です!」

 

「それはそうだけど……」

 

「じゃあ始めます。ここから数時間ぶっ通しです」

 

「拒否権ないですからね!」

 

「もうやだぁぁっ!」


 言葉では否定しながらも、私は稽古を続けた。




「はぁ……はぁ……つ、疲れたぁ……」

 

「お疲れ様です。休憩のあとなにしますか?」

 

「そうだね……久しぶりに夜風に当たりたいかな。私いい場所知ってるんだ」

 

「そんなのあるんですね……一緒に言っても――」

 

「……ごめん、それはできない」

 

「――なぜですか」

 

「ユラも行きたいです……」

 

「とにかくだめなの、私だけの秘密。ごめんね」


 私はそう言って、稽古場を去った。


「……なにかあるんだろうね。意味深発言してたから」

 

「――ユラの勘ってよく当たる」

 

「今更?」




「ふぅ……疲れた体に夜風が染みるぅ……」


 私は大きな岩に腰を下ろして、冷たい風に当たっていた。

 

 昼は畑仕事のある人たちがここにいるが、夜はいない。つまり、一人になるときは絶好の場所ということだ。


「……一人っていうの、たまにはいいよね」


 そう、つぶやいた。そして――


「ん〜♪んん〜ん〜ん〜♪」


 無意識のうちに、鼻歌を歌っていた。

 

 これは、儀式の時に笛で演奏するものを、歌にしている。歌詞は何年も前に覚えた。



 

 数時間、ずっとそこにいた。


「……そろそろ戻ろっと」


 私は立ち上がり、最後に曲を口ずさみながら歩いた。

「続きが気になる……!」


「もっとないの!?」


という方は下の☆☆☆☆☆から、応援をお願いします。


正直に書いてもらって大丈夫です。よければ感想も。


ブックマークいただけたら泣いて喜びます。


天然で鈍感な愛香君と愛香君が好きすぎるアリスちゃんのシリーズも見てもらえると嬉しいです。


今後もよろしくお願いします。

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