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第22話:上級生が下級生を指導……大問題起こしちゃった

 実はこの学園は上級生が下級生を指導する授業がある。

 

「はい、今日は上級生に指導してもらう日になっています」

「せんせ〜、私首席ですよね?誰に教えてもらうんですか?」

「……いません」

「?」

「――あなたに教える人なんていません。アクアさんは魔術科のトップです。首席というのは全ての学年合わせてのこと……一学年で第六席まで出るなんて前代未聞なんですよ?」

「そんなすごいの!?てか首席って一学年だけのことかと思ってた!」

「……説明されたでしょう……わたしだって知ってるわよ」


 初耳である。一学年で首席ならまだわかるよ?でも魔術科全体の首席……首席のこと、私合否のときに知らされたよ?強すぎんか?


「ということで、皆さん頑張ってください」

「「「は〜い」」」


 ホームルームが終わり、それぞれ指定された場所に向かう。

 私は……


「ん〜風が気持ちいい。雲一つないし、屋上日和だね〜」


 まぁ、そういうこと。

 することがないから、先生に「今日は自由に過ごしてください」って言われてる。サボりじゃないよ?

 ちなみにマリーたちも自由に過ごしてるらしい。

 ――あ、マリーとリリアがベンチ話してる。いいな〜


「みんな教えてくれる人いて、羨ましいよ〜」


 私はグラウンドや訓練場で上級生に教えてもらっている人たちを見ていた。みんな器用なのかすぐ身につけられてる。


「……あ……えへへ、いいこと思いついちゃった〜」


 先生の「自由に過ごしていい」という言葉を思い出して、私は浮遊魔法で空へ向かう。


「よし、めちゃくちゃ高いところに来たぞ。ここなら別に迷惑かけないでしょ」


 私は、魔法陣を発動した。


「父よ、母よ、祈りを捧げ(たてまつ)れ。我は海の巫女とし、世界の命運を背負う者――」


 自分が覚えている限りの言葉を(つむ)ぐ。

 これは魔法とは少し違う、巫女に代々伝わる伝説の魔法の一つ。ただ、これは一番弱い。


「――刮目せよ!」


 その声は世界に響く。ただ、一部の人以外は私が出した声と気づかないだろう。


生物ノ神子(エスペチアル・ミコ)


 私は、()()()()を放った。


  ◇


「……ねぇマリー、なんか変な音しなかった?」

「変な音?」

「そうそう、なんか「なんちゃらせよ!」みたいな?」

「なにそれ、からかってる?」


 リリアはきっと冗談で言っているのだろう。わたしは笑う。


「違うし!ほんとに聞こえたんだから!」

「じゃあどこから?」

「えっと……ん〜〜あ!空から!すっごく高いところから聞こえたんだよね!」

「……空?」


 空と聞いて上を見るが、何もない。いや、何もないわけではなさそうだ。

 ――あれ、なんなの。なにか……見える


「あれ、何だと思う?」

「――あれ?」


 わたしが指を指した方向にリリアも目を向けた。


「ねぇ、なんかすっごい魔力反応あるんだけど――マリー?」

「……あぁ大丈夫。少し変な感じがしたから」

「本当に?あの戦いからマリーちょっと元気ないみたいだし、ウチ心配だよ」

「本当に大丈夫だから。ありがとう、心配してくれて」

「……うん!いつでも相談していいからね!」


 その純粋な笑顔に何度救われたことか。きっと数えられない。だから……リリアは最高の親友なの。


「ん〜にしてもあの魔力反応気になるなぁ……よし、今からめっっっちゃ集中するから静かにしてね!」

「……何するつもり?」

「ウチ気になりすぎて眠らなくなりそうだから魔力反応について調べるの!ウチの魔力探知ってすごいでしょ?」

「その代わり土壇場には使えないけど」

「ひっど!仕方ないじゃん!集中しないとできないんだし!とにかく静かにしてて!」

「はいはい、わかったわよ」


 仕方なくリリアに任せてみることにした。

 すると……


「――っ!!やばいやばい!」

「?なにがそんなに――」


 不意に上空を見る。そこに広がっていたのは――


「何よこれ……なんで魔法陣があるのよ!」

「しかもめっちゃ大きいんだけど!?空見えませんけど!?」


 青い魔法陣が展開されていた。その大きさは、端から端まで空が見えないほど。

 ――一体、なにが……


『――ミコ』

「――今なにか声聞こえなかった!?」

「聞こえたわ!なにが起こるっていうのよ!」

「わ、わかんないよそんなの!でも、ヤバいこと起こる!」


 そんな会話をしていると、魔法陣の中心から神のように神々しい存在が現れた。その手には……一本の剣。


「なになになに!?今度は人!?神!?」

「いえ神じゃないわ……あれは、ただの魔法よ!」

「そんな魔法あったっけ!?究極魔法はそんなのできないって!」

「そんなのわかっ――」


 言うか言い終わるかの間に、その神?と思わしき存在が剣を前に突き出した。剣先に光が集中していく。


 キィィィンッ……ズォォォ!!!!


 何もないところへ放たれた、とんでもない威力の光線。


「あ……」

「うぁ……」


 なにも言えない、言葉が出てこない。

 数秒後、なにか違和感を覚えたと思ったら――


 ズバァァァン!!!


 光線を放った張本人の胴体が貫かれた。自分が放った魔法によって。


「――ぶっ!あはは!自分で自分の魔法でやられてるじゃん!あはは!」

「……そんなことある?」

「いや…普通ないけど……!世界一周とかしてきたんじゃない?面白すぎでしょ!」


 制御ができていないのか、あえてしていないのかよくわからない。ただ、面白いということに変わりはない。


「あれ、魔力反応消えた。魔法陣もなくなってる……」

「……まぁ危機?も去ったことだし、話の続きでもしましょうか」

「うん!この出来事で今日一日話せるね!」

「そうね」


 確かにリリアの言う通りだろう。今日のことは学園中で噂になる。


  ◇


「ふぅ……なんか変な終わり方したけどいっか」


 そう、私の放った魔法は変な終わり方をした。まさか自分の放った魔法にやられるなんて……面白すぎ。

 ――そろそろ戻ろっと

 私は屋上に戻り、大の字に寝そべった。


「あ〜太陽の光って当たるだけで眠くなる〜」


 日焼けしない?って思う人いるかもしれないけど……しません!ちゃぁぁぁんと守ってます!結界でね!


「日向ぼっこって……好きぃ……すぅ……」


 そのまま眠ってしまった。だって……気持ちよすぎなんだもん!



 

「――きて!起きて!」

「ん…んぅ?リリアぁ?」


 起きるとそこにはリリアが。なんか焦ってるみたい。

 

「早く行かないと!呼び出されてるんだよ!?」

「なんでぇ……そんなに焦らなくてもいいじゃぁん……」

「今日の「超巨大魔法陣」、あれシャルルでしょ!?それで学園長に呼び出されてるの!早く!」

「やだ」


 行きたくないので、拒否をする。怒られる予感しかしないもん。


「ふぅん、そんなこと言うんだ。生意気だね!」

「ちょっとなにして――ひゃぅっ!!」

「行きたくないならくすぐるからね!」

「ほんとにやめ――あはは!だめだめ壊れ――ひゃぁっ!」


 リリアの猛攻は止まらない。むしろ加速するばかりだった。

 私は……


「わかった……わかったから……」

「言ったな?取り消せないからね!」

「もう……変なことされたぁ……」

「シャルルが拒否するからじゃん!ウチだって連れてこないと怒られるんだし!」

「……じゃあ早く行こっか〜」

「置いてくな〜!!!」


 私はリリアのことは気にせず歩き出す。なんか聞こえけど気のせい気のせい。

 学園長室に着くと、すんなり開けてくれた。


「お邪魔しま〜す、なんの用で――」

「シャルル君!とんでもないことをたようじゃな!世界が大騒ぎじゃ!」

「え、あ…え?」

「とぼけるんじゃない!あの光線、シャルル君が放ったもので間違いないな?」

「あ、はい。先生から自由に過ごしていいって言われたから……」

「自由すぎじゃ!限度というのが――」

「シャルルに限度とかわかんないですよ!学園長だって知ってるでしょ?」

「ぐっ……」


 リリアのド正論に言葉が詰まる。私は胸に矢印が飛んできて刺さった。


「ぐふっ……痛いところ突いてくるね……」

「事実でしょ。痛いもなにもないよ」

「ぐはっ……」

「……リリア君、これ以上はシャルル君がもたない。やめてくれんか?」

「は〜い」


 数分間心を落ち着かせることに集中した。言葉の攻撃とは時にナイフより鋭くなる。辛い……


「ふぅ……で、あの魔法がどういう影響を?」

「そうじゃな、特に大きな変化はないんだが……魔界の者共が宣戦布告だと勘違いしておるのじゃ」

「それ結構大惨事じゃない!?」

「その者たちはあくまで弱い魔族じゃ。幹部や軍の魔族共ではない。安心するのじゃ」

「よ、よかったぁ……もしかしたら全面戦争になってたってことでしょ?危機回避だ〜」

「……まぁそうじゃな。だが、自由にも限度がある。それを忘れるでないぞ」

「は〜い」


 学園長室を出て、リリアと一緒に廊下を歩く。なんか心地良い。似たもの同士だから?そんなわけないか。


「シャルル問題児だね!学園公認になっちゃう?あ、もうなってるか」

「なにそれ!ひど!私これでも首席で一番強いんですけど!?」

「それ関係ある?」

「……ないです」

「だよね!首席とか関係なくシャルルは問題児なの!わかった?」

「……はい」


 否定のできない事実を突きつけられる。ここまで追い詰められたのは初めてかな?




「……えへへ、今日もきれいになってる」


 私は寮に戻って笛の手入れをしていた。使ってる布は、前結界の修復をしたときに報酬としてもらった最高級のやつ。


「あとちょっとで、また吹けるのか〜楽しみだなぁ……」


 七月二十日、この日は「神祭」と呼ばれる世界共通のお祭り。

 人・魔物関係なく世界にいる全ての生物が祈りを捧げないといけない。ちなみに屋台とか色々あるから、めっちゃ回りたい。みんなで。


「笛吹いて、みんなで回って……いい日になるといいな」


 そんな思いを込めて、手入れをする。なんとなくだが、輝きが増した気がする。

 ――水竜も応えてくれてるのかな


  ◇


「リリア、そろそろ神祭でしょ?」

「ん〜そうだね、でも今回もパーティーとかで屋台行かないんでしょ?やだな〜」

「いいえ、今回は違うわ。父上から「今回のパーティーは大人のみで行う」と言われたのよ。つまり……」

「屋台行けるじゃん!やった!」

「そういうこと、だから一緒に回らない?みんなで行きましょ」

「うん!」

「あ、その代わり一つきになることが……いや、わかること」

「気になるんですけど!?」


 わたしは無理やり話を終わらせた。きっとわたしたちがパーティーに参加しないことは広まっているだろう。

 ――そうなれば、起こることなんて予想がつく

「続きが気になる……!」


「もっとないの!?」


という方は下の☆☆☆☆☆から、応援をお願いします。


正直に書いてもらって大丈夫です。よければ感想も。


ブックマークいただけたら泣いて喜びます。


天然で鈍感な愛香君と愛香君が好きすぎるアリスちゃんのシリーズも見てもらえると嬉しいです。


今後もよろしくお願いします。

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