表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/42

第18.5話:魔生史上一番のやらかし。そして実習の終わり

18話の続きです。

「た、大変失礼しましたー!」


 あたしは巫女様に対して土下座をした。本当なら許さない状況。でも、目の前の人は……


「大丈夫。安心して」


 すんなりと許してくれる。こんなに優しい人は……この世に二人といない。この人以外なら、あたしはこの世に存在しなかっただろう。


「ほ、本当ですか? あたし、処刑されない?」

 

「うん、私が許す。だから安心して」

 

「う、うぅ……」

 

「あ、裸のこと忘れてた。まずは服着よっか」

 

「で、でも……服巫女様に消されて――」

 

「ん〜じゃあ移動させるね。また〜」

 

「えっ――」


 その瞬間、あたしは光に包まれ……気づけば魔王城に。

 ――どこまでも……お人好しなんだから


  ◇


「ど、どうなったの?」

 

「ウチら助かった……?」

 

「……うん、あの魔族は私が倒したから。もう大丈夫」

 

「……俺らが出る暇もなく終わったな」

 

「そ、そうですね……私たちいる意味ありました?」

 

「ないね!」

 

「はっきり言わないでよ! なんか悲しいじゃん!」

 

「事実なんだけど……」

 

「うっ……ウチ正論には弱い……」


 うん、いつも通り。さっきの緊迫した空気から一変して、柔らかな、日常のような空気に。アリアのことがなかったみたいになってるけど……いっか。


『皆さん、聞こえていますか? これで実習を終わります』

 

「やった〜! 終わりだ〜!」

 

「ついに終わったわ。早く帰りましょう」


「そうしよ〜ウチ早く風呂入りた〜い」

 

「じゃ、じゃあこの後みんなで温泉行きませんか?」

 

「いいね! あ、ルイは別だよ?」

 

「わかってる。女性の風呂場を覗くほどバカじゃない」

 

「ふぅん。私たちの風呂場見ても何も変わらないし、どっちでもいいけど」


 そう言い残して、私たちは実習を終えた。

 

 その後は学園の外にある温泉に訪れる。人は少ないが常連が多く、昔から愛されているってマリーに聞いた。


「ここか……結構広くない?」

 

「そうね、早く脱衣所行きましょう。時間がもったいないわ」

 

「シャルル早くしよ! ウチもう待てないし」

 

「俺はここで。また上がったときに」

 

「ま、またね。ルイ君」


 そうマロンが言うと、ルイが小さく頷いた。そして男湯に入っていく。

 

 脱衣所は結構広いところだった。風呂を上がったあとはここでコーヒー牛乳とか紅茶が飲めるらしい。凝ってるね〜

 

 私が服を脱ぎ始めると、視線を感じた。なぜか、三人がこちらを見つめてくる。


「? どうしたの?早く脱いでよ」

 

「い、いや……ウチそんなの見せられたら自信なくすって……」

 

「り、リリアちゃんもですか? 同士がいてよかったです……」

 

「リリア、マロン。この人には勝てると思わないこと。いい?」

 

「勝手に話進めないでよ! なんのことかさっぱり」

 

「……堂々とその体見せられてるこっちの身にもなってよ……」

 

「それってどういう……」


 自分の体をよく見る。水色の下着のセット、もっちりしてそうな太ももなどなど……確かにこれを見たら自信なくすかもしれない。男子が見たら鼻血が止まらないことだろう。


「……そんなこと気にしてる暇ないって〜」

 

「そ、そうね…気にしたわたしたちが悪いわ」

 

「そうだよね……ウチらも脱ごっか」

 

「そうしましょうか……なんかごめんなさいシャルルちゃん」

 

「いいよいいよ、全然気にしてないから。これが宿命ってやつ」

 

「メンタル強いわね。見習わせてもらうわ」


 そしてマリーたちも脱ぎ始めた。うん、私を見て自信なくす理由がわからん。自分たちだって相当……これ以上言わないでおこう。なにかが起きそうだし。


「あ、お風呂の前に必ずシャワー浴びてね☆」

 

「……誰に向かって言ってるの? そっちには誰もいないわよ?」

 

「何って、見えない幽霊に向かってだけど」

 

「頭おかしいんじゃない?頭痛といい幽霊に話しかけるといい……」

 

「不思議だよね〜」

 

「シャルルが言うこと!?」

 

「だ、大丈夫なんですか……?」

 

「そんなこといいじゃん〜」


 私は背を向けてシャワーを浴び始める。それを見た三人は顔を見合わせ、小さく笑う。実に平和……な日常。何度も思う、これがずっと続けばいいのに……と。


「ふぅ……極楽極楽……」

 

「一週間ぶりの風呂は格別だねぇ……染みるぅ……」

 

「はぁ……」

 

「すっごく気持ちいいです……」

 

「シャルルほんっと肌スベスベ。なにしたらそうなるの?」

 

「……さぁ。教えるつもりはないかな〜ひ・み・つ☆」


 本当は私にもわからない。ムダ毛すらない、生まれてから今でもその質問をされると頭に「?」が浮かぶ。てか生まれてからずっと()()()()()()だったし、自分についてはこれっぽっちも知らない。唯一知ってるのは、私が強くて重要ってこと。

 

 ――知ってるなら教えたんだけどね


「え〜いいじゃん! ちなみにウチは保湿もしてるし、乳液も化粧水もとか色々使ってる。女の子は可愛いが正義だから頑張ってるの!」

 

「わたしもそういうのはしっかり力を入れてるわ。いい容姿に生まれたもの、保持しないと」

 

「女の子は基本お肌のケアはしてますよ。だからこそ教えてほしいんですよね……」


 ――だから知ってるなら言ってるって!あ、心の中で言っても意味ないか


「まぁ本人が言いたくないみたいだし、わたしたちでがんばりましょうか」

 

「うん!ウチもそうするよ!」

 

「それぞれ体質がありますもんね」


 謎に納得していた。完全に置いていかれた私はポカーンとする。頭はロード状態、きっとこのとき私だけ時が止まったことだろう。


「これ以上はのぼせるわ。先に上がるわね」

 

「じゃあウチも〜」

 

「私も上がります……長居はよくないと思うので」

 

「じゃあ私はもう少し堪能しとくね〜」

 

「のぼせる前に上がるのよ」

 

「……うん」


 そうして、三人は風呂場から去った。脱衣所からは楽しそうな笑い声、なにか約束事をしているように見えた。


「……()()()()()()()()()()()()


 無意識の言葉、頭がズキズキする。なにか思い出しそうな……そんな頭痛。でも、思い出せない。

 

 ――なんで、泣いてるの

 

 私の目からは、大粒の涙。どうやっても止まることはなく、悲しみなのか、安心なのか、わからない。なにもわからない。


「やだ……やだよ……」


 何に対して嫌なのか……私は知らない。

 

 何分そうしていただろう、流石にまずいと思って風呂を上がった。手はふやけておらず、むしろきれいになっているかもしれない。


「あ、上がってきたわね」

 

「さっきまでなにして――」

 

「……? なに?」

 

「いや、なんでもないよ」


 リリアなりの気遣いだったのだろうか。私の顔を見た途端急に優しくなる。私の目が赤くなっていたことが原因だろうけど。


「それより、ルイが近くのカフェで待ってるらしいの。行きましょ」

 

「そうなんだ……じゃあ行こっか。すぐ着替えるから外で待ってて」

 

「はい、待ってますね。マリーちゃん、リリアちゃん、先に行っておきましょう」

 

「ええ、カフェで待ってるから」


 そう言うと、外に出ていった。

 

 私はすぐ着替えて、マリーたちが待っているカフェに到着する。案外おしゃれで、雰囲気がある。


「おう、遅かったな」

 

「ルイ、今のシャルルにはあんまり話しかけないであげて。なにかあったみたいだから」

 

「姉さんが言うなら……わかった。言う通りにするよ」


「ありがとう」

 

「ほらシャルル! こっちこっち! 早く座りなよ!」

 

「こ、ここ…空いてるのでどうぞ」

 

「ありがと。じゃあ遠慮なく」


 私はマロンの隣に座った。ふかふかで、結構いいとのろの代物だとわかる。


「すみませーん、注文お願いしたいんですが」

 

「はーい!」


 近くにいた店員さんが小走りでこちらに向かってくる。この店に合ったいいお姉さんみたいな感じ。


「ご注文お伺いします」

 

「わたしはミルフィーユを一つとコーヒーを」

 

「ウチはチョコケーキとカフェラテ!」

 

「俺はモンブランとブラックコーヒー」

 

「あ、私もルイ君と同じもので……」

 

「……私はショートケーキ。あとカフェオレ」

 

「かしこまりました。ご注文は以上ですか?」

 

「ええ、お願いね」


 店員さんはまた小走りで厨房に向かっていった。


「ここ『笛の海炎』って言うんだ〜ウチのお気に入り!」

 

「そうなんだ……不思議な名前してるね」

 

「でしょ? でも美味しいし関係ないよ!」

 

「……そう、だね!」


 リリアの言葉に私は上機嫌になった。チョロいって思うかもしれない、でも私はチョロい。すぐ機嫌良くなるから。


「おまたせしました、ご注文の品になります。ごゆっくりお過ごしください」

 

「ありがとう」

 

「きた〜! いただきます!」

 

 

「ん! 美味しい! ここのショートケーキすごい!」

 

「……モンブラン、変わらない味でいい」


 それぞれ頼んだ品を楽しんでいく。ここだけは、平和だった。


 ――お眠り

「続きが気になる……!」


「もっとないの!?」


という方は下の☆☆☆☆☆から、応援をお願いします。


正直に書いてもらって大丈夫です。よければ感想も。


ブックマークいただけたら泣いて喜びます。


天然で鈍感な愛香君と愛香君が好きすぎるアリスちゃんのシリーズも見てもらえると嬉しいです。


連続投稿したいけどストックが……


今後もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ