第17話:新しいダンジョンを発見!!
「入ってみる?」
「いや、先に報告を――」
「オッケー、入るね〜」
「話を聞きなさい!」
私はそのまま洞窟の中に入っていく。ちゃんと聞いた上での行動。質問したら、多分「いいよ」と言ってくれたから。
「……人工物?」
「は? 何言って――」
「ほら見てよ! レンガ、鉄壁、ドア。明らかに自然生成されるものじゃないよ!」
「……でも、ここは誰一人として踏み入れたことない領域よ。そんなこと……まさか、ダンジョン!?」
「えぇ!? これが!?」
『ダンジョン』という言葉に私はびっくりする。確かにダンジョンかもしれない点がいくつもある。
ダンジョンが生成される条件はたった一つ、魔濃度が高いこと。ここは、さっき感じた匂いと関係があるかも…
「奥に行ってみましょう」
「う、うん! ちょっと怖いけど」
「首席が弱音を吐いてどうするのよ」
「だ、だってぇ……暗いところとか怖いし――」
カランッ
「……なに今の!?」
「確かに気になるわね……」
「あ! あそこにめっちゃ大きい扉ある! ボス部屋かな」
「禍々しいわね……結界がなかったら挑戦すらしなさそう」
マリーがそう言うのは初めてだったかもしれない。いつもなら『わたしなら勝てる』とか『負けるわけないわ』とか言うから。扉から漏れ出るオーラで実力を見抜いたと……なんかすごいねマリー。
「開けてみる?」
「……ええ。あなたがいれば、きっと大丈夫」
「うん! 行こっか」
ドアを開ける。古いのか鈍い音がした。その先には……
「っ! 伏せて!」
「なん――でぇ!?」
間一髪、マリーが叫んだおかげで攻撃を受けずに済んだ。
――今の何!? 尻尾!?
「……あれは……竜王!?」
「竜王!? なんでここに!?」
「わからない……でも…本物よ」
「……やるしかないの? 竜王倒せって言うの?」
「……正直、倒せない。竜王は、死ねないから」
そう、竜王は倒せない。一度殺したとしても、また蘇る。消耗戦になると、勝ち目はない。そもそも……勝負を挑むことがバカなの。
『愚かな小娘たちよ、この竜王に勝負を挑むのか?』
「っ…頭に直接……」
「竜王は口で喋れないからね……可哀想」
『ほう、お主…名は』
「――シャルル」
『……シャルル…いい名だな。巫女と一緒だ』
「……え?」
『巫女と一緒』、という言葉にマリーは固まる。巫女の名前が『シャルル』という誰も知らない新事実を前に、驚きを隠せなかったんでしょ。まぁ事実なんだけど。
「竜王、ちょっとお話いい?」
『受け付けよう』
『あのね――』
竜王の頭に話しかけてるからマリーには聞こえてないと思う。これだけは、話しておかないと。
『……承知した』
『よろしくね』
「ねぇ、さっきから竜王が動かないんだけど……戦うのかしら?」
「うん! 竜王が試練として『攻撃を食らわせられたら勝ちにする』って!」
「……わかったわ。わたしもできる限りやらせてもらう」
『位置につけ、始める』
私たちは竜王から少し離れて、構えをとる。その時竜王が叫ぶ、開始の合図。話通りだね。
「いくよ! 水ノ叫び!」
「氷ノ花嫁!」
それぞれ上級魔法を放つ。最初から本気で、手加減するつもりはない。でも私は加減するけど。
『ふん、弱い』
竜王が強く息を吐くと私たちの魔法が相殺された。
「はぁ!? 上級魔法を息だけで!?」
「私の魔法、結構強めなのに……」
「デタラメすぎるでしょうが……」
「生姜焼き食べたい!」
「なんの話よ! 集中しなさい!」
『楽しくお喋りする暇はないぞ』
そう言うとブレスを放ってくる。結界のおかげでかなり防げてるけど、流石に全部じゃない。ちなみに私が本気で結界張ったら攻撃通らないよ☆
「あつ! 体内どうなってるのよ!」
「あ〜癒される〜」
「温風!?」
『炎よ、水を喰らえ』
「竜が魔法!?」
「素晴らしいね〜」
「危機感! これやばいのよ!?」
そのギャグ漫画みたいな展開を繰り返していると、威力がとんでもない炎が放たれる。流石に結界で守るのは……無理!
「マリー! 相殺するよ!」
「これを!? ……やってみるわ!」
「水神ノ導き!」
「氷神ノ導き!」
二つの類似した究極魔法が放たれる。『神』とついた魔法は基本的に超上級魔法として分類される。しかし、それを使いこなせるのはごくわずか。マリーなんかすごい人?
『……ほう』
「はぁはぁ……相殺、できたの?」
「――うん! できてる! すごいじゃん私たち!」
『補足だ、お主ら…この竜王に傷をつけた』
「……え?」
「つまり……!」
『お主らの勝ちだ』
「……ほぇ?」
あの冷静なマリーから間抜けな声が出る。勝てると思ってなかったらしい。抜けてるところもあるなんて……絶対爆モテするでしょ。
「やった! やったよマリー!」
「……そ、そうね……信じられない……」
『誇れ。竜王に傷をつけた存在など、ほとんどいない』
「そのほとんどって何人いるの?」
『ふむ……お主ら含め三人だ』
「三人……」
私とマリー、あと一人は……きっと魔王君だね。勝てないけど、傷くらいはつけられそう。ちなみに私は昔竜王と戦って圧勝だったよ〜
「てか、竜王がなんでここに」
『……迷子だ』
「――ぶっ! 迷子!? あはは! 抜けてるね!」
「竜王が…迷子?」
『適当に移動してたら、いつの間にかこうなった。早く空を飛びたい』
「……よし、マリー……上に魔法放つよ」
「……なるほど、天井に穴を空けるのね」
「いくよ!」
「「土ノ採掘」」
天井に向かって魔法を放つと、ぽっかりときれいに空いた。そこからは、雲一つない青い空があった。
『感謝する。また会おう』
「またね〜!」
「次は迷子にならないでほしいわ……」
こうして、竜王の迷子劇は幕を下ろす。なんかすごい大事件だったけど、結果オーライ。
少し探索してわかったけど、ここは……竜王の魔力が強すぎたためできたものだったらしい。洞窟から出られなくなった竜王が寝てると、いつの間にかダンジョンが出来上がったそう。にしても濃すぎでしょ。
「続きが気になる……!」
「もっとないの!?」
という方は下の☆☆☆☆☆から、応援をお願いします。
正直に書いてもらって大丈夫です。よければ感想も。
ブックマークいただけたら泣いて喜びます。
天然で鈍感な愛香君と愛香君が好きすぎるアリスちゃんのシリーズも見てもらえると嬉しいです。
今後もよろしくお願いします。




