第13話:魔王と巫女の関係
――魔王城――
「……変な来客が来たな」
「そうですね。このまま待っていて大丈夫ですか?魔王様」
「もちろん。迎え入れよう」
その時、扉が開く。比較的新しいのか鈍い音はせず、すんなり開いた。
「……久しぶり。魔王君」
「……そうだな。数年ぶりか? 巫女」
そう、言葉を交わした。
相変わらず、きれいなものだ。我が魔王に就任してから、なにも変わらない。数億年、ずっと……
◇
私は巫女として魔王の前に立つ。普段通り緊張はなく、友達のように接した。なぜなら友達だから。魔王と?まぁ私は巫女だからすごく偉いの! ふふん、すごいでしょ。
「立っているのも辛いだろう、腹は空かないか?食事でもしながら話そう」
「そう、じゃあお言葉に甘えて」
魔王君とそのメイドに続いて、私も歩いた。
魔王城はめちゃくちゃ広いので食堂に着くまで数分かかった。全然学園より広い、なんで?
「ここが我の食事をするところだ。メイドや護衛たちと一緒に食べている」
「いいな〜私は友達とだし、帰ったとしてもユラとアイしか相手いないし……羨ましい!」
「お前に友達がいるのか……我も羨ましいぞ。魔王ゆえ、友達など――」
「私がいるじゃん。忘れないでよ?」
自分が友達判定じゃないことに驚いたが、ちゃんと友達だと魔王君に伝える。なぜか魔王君は目をそらす、少し残念そうなのは気のせい?
「……お前を友達と思ったことはない」
「ひど……違うの?」
「――それより飯だ。もう運ばれてくるだろう」
「ちぇ〜」
宣言通り料理が運ばれてくる。
「すごく美味しそ〜!」
私は目をキラキラさせて舌なめずりをした。だって高級料理ばっかなんだもん!こんないいもの先々週食べたけどいくらあってもいい!
「ねえ! 食べていい? 待ちきれないよ!」
「まぁ待て待て。他も来る」
扉が開かれ、四体の魔族と三十体のメイドが集まる。
「魔王様! 飯の時間ですかな?」
「魔王様! 私ご飯の時間大好きなんですよ!」
「任務完了です、午後は幹部全員休暇をいただきたく――」
「疲れた〜魔王様ボク頑張って――」
メイドは気にする様子もなく席に座るが、幹部はそういかなかった。
「「「「・・・……誰?」」」」
四人揃って言葉を発した。見ず知らずの青髪の人が座っていたらそりゃ、びっくりするよね。
「あ〜はじめましてかな?私、巫女」
「み、巫女……様?」
「魔王様、これは一体……」
「落ち着け、こやつは巫女だ。海のな」
「う、う……」
「「「「海の巫女様!?」」」」
「こ、これは失礼を……」
「本当に巫女様なの!? あたしずっと会いたくて!」
「こりゃたまげた。アクア・アイランドのシャルル様とは」
「あはは、大丈夫大丈夫。ほら、食べよ!」
立ち尽くしている幹部に話しかけて、食事を促す。それを素直に受け取ったのか、幹部たちは席に座り、料理を食べ始めた。
驚くほど静かな食事だった。一切喋ることなく、みんな料理を堪能していた。時々見せる魔王君の笑顔、ちょっと可愛い。そのナイフとフォークできれいに切り分けるお肉、漂う只者ではない覇気、魔王とは思えない花のような匂い……最高。
なんで赤くなってるの私!魔王に恋する乙女なんていないから!でも……気になっちゃうよね。
「……何見ているのだ、お前は」
「い、いや? なにもないけど!」
「ならその上目遣いをやめろ」
「し、してないんですけど!?」
私はいつの間にか上目遣いをしていたらしい。手は太ももの間に置き、顔を下に向けた。
「あれぇ? もしかして巫女様って――」
「う、うるさい!そういうの食事中はだめなの!」
「――マジかよ巫女様……」
「魔王様、どういうことかわかりますか?」
「? なんの話だ。ただ赤くなっているだけではないか」
「あはは……鈍感の暴力。あたしたち幹部ですら対応できない……」
「そういうことだから! 食べ終わったでしょ? ごちそうさま!」
「ああ、ごちそうさま」
食事を終えて私は客室に案内された。そこは意外と大きく、学園の部屋に比べればこっちに住みたい。
もふもふの青いパジャマを着て、ベッドの上で仰向けになり足をパタパタさせていたところに……
「巫女様! お話しにきましたよ!」
「すみませ〜んこいつ聞かなくて」
「大丈夫。あれ、幹部って四体だよね? あと二体は――」
「女子会なのに男が混じったら気持ち悪いし〜」
「あと私たちのことは『体』じゃなくて『人』にしてくれないですか? 呼びづらいでしょ?」
「わ、わかった……」
この二人の幹部は私になんの用なのか、気になってしまう。変なことじゃありませんように……
「巫女様って……魔王様のこと――」
好きなの?
「・・・……はぇ?」
チョットナニイッテルカワカンナイから放心状態になった。多分この時の私はバカになって足し算すらできないだろう。
「いやだから、さっきまでの巫女様の行動見てたらそうとしか思えないって〜わかりやすすぎ〜」
「そうですよ? 魔王様が気づいてなかったから大丈夫だったけど、幹部全員気づいてるからね?」
「・・・……〜〜〜〜〜〜っ! そ、そんなことないから! 絶対違うから!」
ポンッと湯気が出そうなほど赤くなってしまう。両手で顔を覆って、暴れたい衝動を抑える。
「へぇ……まぁそれだけですけど、今日一緒に寝ていいですか?一人寂しくて」
「うん、いいよ」
「頑張ってくださいね〜巫女様。ボク応援してますから〜」
「だからもうその話はいいでしょ! おやすみ!」
「「は〜い」」
私は話を強制的に終わらせて、寝る。色々なことがありすぎて、即眠りに落ちた。
――ふふ、可愛いシャルルちゃん。おやすみなさい。
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天然で鈍感な愛香君と愛香君が好きすぎるアリスちゃんのシリーズも見てもらえると嬉しいです。(長編化も考えてます)
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