第12話:体育祭……?
体育祭当日。
普通より大きなグラウンドに魔術科の生徒たちは集められた。学科によって曜日が違うらしく、体育祭は魔術科で最後だった。
服装はもちろん体操服。
生徒たちはおよそ千人ほどで、六月にもかかわらず熱気で汗をかく者もいる。
グラウンドには生徒たちの親もおり、楽しみにしている様子だった。
体育祭開始まで残り数分。
生徒たちはテントの中、椅子に座って待っていた。
「ついに体育祭……くぅぅ楽しみぃ!」
「あなたはそんなに楽しみだったの? 首席は単純ね」
「だって異世界の行事だよ!? 楽しみに決まってるじゃん! でもクラスが違うリリアとルイとマロンと敵なのは悲しいかな……」
「受け入れなさい」
――それは同感するけど、敵は敵。勝たせてもらうわ
私とマリーは隣同士なので必然的に会話をしていた。グラウンドには生徒たちの会話が聞こえ、多すぎて何言ってるかわからない。
「……」
「どうしたのマリー」
「少ししたいことあるんだけど、いい?」
「いいよ?」
突然の提案に困惑した。マリーがしたいことなど決闘以外にあったのかと、再認識した。
――なにするんだろ……気になります!
単純だった。どうなるかも知らず、ただ興味だけで動いていた。数十秒後後悔することだろう。
「腕を上げてもらえる? 肘が顎くらいの高さまでで」
「こ、こう?」
腕を上げた。腕が高めのガオーポーズになった。
体操服なので袖から脇が少しだけ見えた。『チラ見せ』が発動。男子が「えっ……」と言ったが、なにを言いかけたのかなんとなくわかるだろう。
「ありがとう、じゃあ」
ムニッ
「・・・」
なにをされたかわかっておらず、思考が止まる。目は点になっていた。
「……ここも」
ムニッ ムニッ
「・・・……はぁ!?」
――うん、あのとき見た人? の胸と腕、そして脚全体が似た形、でもこれで断定できない
意識が覚醒して状況を理解した。
「――な、ななななにしてんの!」
「……なにって、胸を触ってるだけじゃない。ただの検証よ」
「検証でこんなに揉むやつがいるかぁ!」
マリーが胸を揉んでいる手を引き剥がして腕で隠す。流石に私でもこの行為の予想はできないし!
――マリーなにしたいかわかんない! デリカシーって言葉を知らないの!?
「うぅ……」
「ありがとう、なんとなくわかったから」
「胸揉むことでわかることってなんなの……」
全身が真っ赤になって顔を手で隠す。恥ずかしすぎて死にたそうだった
。
――柔らかかった……何考えてんの私…!
自分がしたことの重大さを今理解したらしく、マリーも赤くなっていた。
そんなときに――
『今から体育祭を始めます。静かにしてください』
放送のあと、一気にざわざわがなくなり、しーんとした。
『今から体育祭を始めます。選手宣誓』
生徒の代表の二人(私たちではない)がグラウンドの中央に立つ。
「僕たち――」「私たちは――」
途中から何言ってるかわからなくなった。顔を手で隠したままだった私はなにも聞いていない。これはマリーも同様。
――ん?
顔を上げた。そして空の上を見たがなにもなかった。そしてまた出来事を思い出して赤くなる。自業自得のループ。
『では競技を始めます。一年生のリレーから』
一年生(私たち含む)が一斉に並び始める。人数が多いので広めにスペースを取っておいたらしい。
「「駆け足よーい! 進め!」」
「「「いちに!いちに!」」」
駆け足をした一年生がグラウンドの中心に走り始める。そして奇数と偶数で半分で別れた。
一走の私は駆け足が終わったあと、バトンをもらいスタート位置につく。
『位置について! よーい!』
パンッ!!
掲げた銃から号砲が鳴ると、スタートした。一人あたり約百メートル走るらしく、後半はバテる者もいる。
私はバテることなく圧倒的なスピードで次々追い抜く!
そしてマリーにバトンが渡る。
「はい!」
渡った途端ものすごいスピードで突き放す。
だが、一人が追いつく。
「ほらマリー!甘いよ!」
リリアだ。
そのまま抜き去り、観客席からは歓声が上がる。
「くっ……負けてられないわよ!」
マリーも加速するが、風の使者の二つ名は伊達ではない。察知してさらにスピードを上げた。そのままルイにバトンパス――
「――っ!!水よ守れ!我らの盾となれ!」
私は水を生成し、巨大な盾を作った。頭上からは核魔法が放たれていた。
衝撃によって風が起き、光に包まれた。
「「「きゃぁぁぁっ!」」」
「なんだ!?」
「見えないぞ!」
そんな叫び声が聞こえる。私以外の誰も、状況を把握していなかった。
「……なに考えてるんだろう。魔王君は」
「ん……んぅ……シャルル? 無事? それよりさっきなんか――」
「マリー!!怖かったよ゙ぉぉ゙ぉ゙ぉ゙!」
リリアが豪速球並のスピードで走り、マリーに抱きついた。
「だ、大丈夫だから。ね?」
「うぅ……だってぇ…突然死にかけたら怖いじゃん……」
『……えぇ皆さん、体育祭を一時的に中止にします。』
――ちゃんと話し合わないと。来週にでも魔王城に行こっと
「続きが気になる……!」
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