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03_宇宙に咲く花_01/03

 その全長およそ一〇〇〇mの大型輸送艦は、ホークワイド超銀河団とワクニ超銀河団に挟まれた海峡ヴォイドを進んでいた。

 三胴式の艦体に貨物ブロックを接続したそれには、推進ノズルなどは見当たらない。

 当然だ。

 艦に搭載されている通常航宙用の数学的物理改竄マス・フィジカル・ハッキング航行システムにおいて、化学推進器ブースターの類は、彼我の相対速度調整用のスラスタ程度で事足りるからだ。

 その艦の艦橋では、艦長席キャプテン・シートに足と腕を組み、グラビア雑誌を顔に乗せたまま、シートをリクライニングさせてほとんど横になっている地球人類テラリアンの男を中心に、二重同心円を半円に切った様に設置されたオペレータ席が有り、各部門と艦長の伝令を整理する役目を担っている。

 同心円の内側、キャプテン・シートのすぐ左手は副長席となっており、そこには爬虫人類レプティリアンの女性・ウェロニカが腰を据えていた。

艦長キャッテン。トランスンダデータ照合。トゥガル海峡入口、目標おくひょう宙域、近傍に他艦影無し……

 ……あ、()ロー()が本艦後方二〇宇宙海里の亜空間デイコスモスに艦影捕捉。船籍照合。出した。船籍『カタミ』。ユリシーズです」

 口唇の形状のせいで破裂音の出せないレプティリアン特有の訛り混じりに、ウェロニカが艦長にそう報告する。

 艦長と呼ばれた男は、ウェロニカの報告に反応して跳ねる様な勢いで身体を起こし、シートを定位置に戻しながら

「……ラ・メール一家か。現状速度とプローブとの間隔維持打っとけ。あと連邦港湾公安部にも定型テンプレ頼む。それから、コントロールと出力こっちまわせ」

と、艦橋ブリッジの隅々までよく通る低い声で指示をまわした。

 ウェロニカはウェロニカで公安には既に定型を打っています、と言いながら、カタバミ向けに定型を組みながら答える。


『宛:カタバミ/ユリシーズ 艦長:ロ・ワゾー

 発:コピ・コピ=ルアク/エル・サン・コピ 艦長:ミゲール

 求:現速度維持および当艦プローブとの相対距離維持

 由:当艦の機動に因る異常接近回避のため』


「艦長、決済お願いしす」

「ん」

 テンプレを組み合わせて作った打電文をミゲールにまわしたウェロニカだったが、

「ロニー、カタバミの艦長は変わったはずだ。銀河標準時で二年前。今は娘のリュウールになってる。そこだけ変えて後は平文で送っちまってくれ」

とリテイクを食った。

 自分もあらかたの情報は押さえていたが、こう言う細かい部分まで把握しているのが、ミゲールと言う男だった。

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