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SEVEN~警視庁特務課~  作者: 桂木 京
第11話:絶望の夜

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謎の集団

「あんな大柄な刑事、ウチにいたっけ……?」


悠真が不審に思った箇所をサブモニターに拡大表示し、司と志乃に共有する。


「……四課の熊田課長より一回り以上大きい。あんな規格外の体格をした人間、警視庁の全職員名簿にも載っていないはずよ。誰なの……?」


カメラに映るその男は、まさに「動く城壁」だった。

そして異様なのはその大男だけではない。

彼の背後には、およそ警察組織には似つかわしくない三人組が悠然と歩いていた。


小柄で神経質そうな若い男。

背中を丸め、枯れ木のように細身の老人。

そして、場違いなほど鮮やかな金髪をなびかせた、女子高生風の少女。


「志乃さん、顔認証の照合を急いで!」


「了解! ……ダメです、データベースにヒットしません。完全に『外部』の人間です!」


「直ちに各課に通達! 非常ベルを鳴らして! 全員、警戒レベルを最大に引き上げて!」


司の鋭い指示と同時に、庁舎内に警告音が鳴り響く。

映像の中では、異変に気づいた十数名の警官たちが、不審な四人組を取り囲もうと駆け寄っていくのが見えた。


「ただ誰かを訪ねてきただけ……ならいいのだけれど……」


司の微かな希望は、次の瞬間に打ち砕かれた。


「あっ!!」


悠真が声を上げる。

先頭を歩いていた大男が、警告を発しようとした警官の首を無造作に掴むと、紙屑のように壁際まで投げ飛ばしたのだ。


その一撃を合図に、現場の温度が沸騰する。

「不審者制圧!」の叫びとともに、周囲の警官たちが一斉に四人へ飛びかかる。

数からすれば圧倒的に警察側が有利。

ここは日本警察の中枢、警視庁なのだから。


しかし、モニターに映し出された光景は、一方的な「蹂躙」だった。


「あの子……信じられない強さだわ!」


大男が重戦車のように警官をなぎ倒す傍らで、金髪の少女が舞うように動く。最短距離で急所を打ち抜くその格闘術は、訓練された警官たちを赤子のようにあしらっていく。


「あの小柄な男性は……ただ隠れて見守っているだけですね」


「待って、あのおじいちゃん……何かやってる。……みんな、マスクを着けました!」


老人が古びた鞄から「それ」を取り出した瞬間、他の三人はあらかじめ用意していたかのように、奇怪な形状のマスクを装着した。


「あれは……ガスマスク!?」


司の血の気が一気に引く。

老人の手にある容器から、無色の死神が解き放たれようとしていた。


「全館に通達! 敵は何らかの神経ガス、または毒素を所持している! 全員、防護装備を着用して! 換気システムを遮断!」


司は叫びながら、コンソール横の非常用レバーを引き下げた。

警視庁全体を包み込む「完全封鎖」の重低音が足下から響いてくる。


「志乃さんと悠真くんは、ここから絶対に出ないで。司令室を内側から完全ロックして!」


「司さん、あなたは!?」


「私は……現場に向かう。これだけの戦力を投入して侵入してきたのよ、あいつらには明確な『目的』がある。ここで座して死を待つわけにはいかないわ」


司は、壁のロッカーから予備のガスマスクと特殊警棒をひったくった。

その瞳には、8年前のあの日に誓った「二度と仲間を失わない」という強い決意が、スタイリッシュな冷徹さとなって宿っていた。


「司令室を頼んだわよ」


一言だけ言い残すと、司は自動ドアの向こう側、静寂と悲鳴が入り混じる暗い廊下へと消えていった。

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