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白の賢者 ~転生先は魔法の世界~  作者: 春野霞
第二章
39/44

20 魔法陣


 短刀に刻み付けた火の魔法陣はうまく発動したのよね。刀身の鉄に溝を掘ってミスリル銀を埋めたから魔力が拡散する事もないのよ。問題は杖で描く魔法陣。少しは描く速度も上がったのだけど、やはり一番簡単な図形のしか発動しないの。


 なにか解決方法は無いのかしらとお庭に咲き誇っている花を見ながら思案してみたけど、なかなか閃かないのよねぇ。夜に星空見たほうが閃くかしら。


 この世界の夜空はとても綺麗。星が多いというより一つの星が明るいの。恒星の距離が近くて密集しているあたりなのかも知れないね。そしてお月様は3つもあるのよ。もちろん公転周期が違うから毎日見え方が変わってくの。


 庭の椅子に横になって星と月を眺めながら、ボーっとしていたら頭の中はあっちに行ったりこっちに飛んだりと。別に脳がシェイクされている訳ではないのよ。いろんな考えが浮かんでは消えて行くって事。


 魔法陣・短刀・ノーム(土の精霊)・魔宝石・結婚式・シルク・ティー・四聖獣・精霊・泉・ドリ(樹の精霊)・杖・地竜・コア・ギルド・魔法士・学校・授業・魔道具・ミスリル銀・線・魔法陣。取りとめも無く連想が進んで行くのね。


 ん・・・ そういや借りてきた短剣の魔法陣って魔石で刻み込んで有ったよなぁ。細かいから描くのが大変だったし、たくさん描くから時間が掛かって・・・あれ? 魔法陣を魔力で描くと時間切れ、刻んだ溝に魔石を擦り込んで魔法陣にするのは大丈夫って。なんか解決方法が見えたような。



 思いついたら即やって見る。限度を越えなければ大丈夫なのよ。



 庭の花を折らないように玄関の通路の前へと移動して、地面に杖で触れ、魔法陣の図形を描いて行く。今までと違うのは魔力で描くのではなく地面に浅い溝を付ける様にする点。そして、その溝へと魔力を集めて魔力を結晶化する。つまりは魔法陣の形をした魔石が出来上がるって事。浅い細い溝だから魔石の量は少なくて良いのよ。

 やがて図形が完成したら、中心部に杖を当てて魔力を流し、魔石から魔力に戻すの。要するに魔力が魔法陣の図形の形になるという事ね。


 黒っぽい魔石が淡く薄緑に光った所で中心部分に魔力を流して風の魔法陣を起動するの。魔法陣から正面つまり上のほうへと空気が流れたよ。つまり魔法陣の魔法がきちんと発現したって事ね。

 良かった良かった。あとは方向ね、地面に書くのではなく、空中に描かないと横方向に向かないのよ。一つクリアしたらつぎの難題ですねぇ。


 三日程、あーでもない、こーでもないと試行錯誤した結果、固体化した空気を円盤状にして、その表面に魔法陣を描く事を思いついたのよ。まあ、放置すると溶けちゃうんだけどね。その代わり表面に結露した水が凍って適当に板状になってくれる。倒れ無い様に支えるのがちっと重いけどね。


 出来たら試して見たくなるじゃないですか、いくつか使えそうな魔法陣を探し出して、ティーさんとまた禿げ山に出かけたのよ。何時もはティーさんに追い払って貰っているライオンの体に鳥の頭のグリフォンってやつを的にするつもり。


 岩山の下のほうから見上げると、何匹かの姿が見えたのよ。早速固体空気の板を作ったわ。板は極薄く作るから反動もあまり考えなくて良いの。作った板に【光撃】の魔法陣を描いて、狙いを定め・・・起動。魔法陣から光束が飛んで行くけど見事外れました。至近距離なら外れないんだろうけど、なにせ百メートル以上離れていて、しかも目見当だからねぇ。


 何度も起動して撃ってみるけど、魔法陣自体の魔力ではなくて、周りの魔力を集める図形が入っているから、魔石は殆ど減ったりしないの。氷が溶けてしまわないように空気の固体化を掛け直しながら何度も狙うんだけど、やっぱり当たらないのね。


 だんだんイラついてしまって、狙いもろくに付けないで乱射したら、たまたま身を翻したやつがコースに入ってきて命中したのね。そのままストンと山の頂きの辺りへと落ちてきたので、残りの連中をティーさんに追い払ってもらい、見に行ったわ。


 体を貫いたとかではなくて、光が顔に当たって目からの強すぎる刺激に空間的な見当識障害を起こしたんだろうなあ。地面でじたばた暴れてるもの。或いは失明くらいはしてるのかも。とりあえず頭の後ろから近づいて、【冷凍】を掛けて楽にしてあげたよ。【光撃】の魔法陣は思っていた程の威力ではなかったのよね。


 動かなくなったグリフォンを狙っていろんな魔法陣を試してみたの。流石に至近距離からだと狙いも外れないのよね。火球(ファイアーボール)とか、氷矢(アイスアロー)気槌(エアハンマー)石礫(ストーンバレット)、いろいろとやってみたけれど、なんかどれもいまいち。


 やはり一般的な魔法陣では威力も一般的になってしまうのね。魔石で魔法陣を描くメリットとしては連射が効くくらいかな。ただ、回りから魔力を集めるから、回りが魔力欠乏状態になってしまってだんだん威力が下がって行くのは仕方ないのかしら。


 既知の魔法陣が威力不足だとしたら、魔法陣自体を威力の高いものに作り変える必要があるのかもしれないね。もっとも既知のものを解析してパーツに分解し、再度組み立てる事が出きればって事なんだけどねぇ。またしばらくは図書館で文献漬けの毎日が続きそうだわ。



 しとめたグリフォンはあれこれ試しすぎて、肉も皮もぐちゃぐちゃになってしまっていたので、ティーさんに近くの川に捨ててもらいました。次に来た時に、腐った匂いとかしたら嫌だもの。


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