16 魔法士連盟
あたしが学校に通っている間、ティーさんは暇を持て余しているの。花の精が暇つぶしに全部をお花畑にしてしまった庭の真ん中にビーチチェアーのような横になれる椅子を置いて、一日中日向ぼっこね、虎って図体は大きいけど猫の仲間だからなぁ。
でも学校がお休みの日はティーさんの出番なのよ。授業で習った魔法、魔法陣のテストに人気のない所へ乗せて行って貰うのよ。以前の森とかだと火が着いたら困るから岩肌の山へとね。だって、森だと山火事になったりするでしょ、そんな事になったら目も当てられないじゃないですか。幸いシルフさんに運んで貰うと1時間くらいの所に禿げ山が有ったの。近くに村も道も無くって、ちょうど良いのね。
禿げ山にはライオンのような胴体と手足に鳥の頭と羽を付けた魔動物が居るんだけど、ティーさんが虎の姿で襲い掛かると蜘蛛の子を散らす様に姿をくらますの。久々に【鑑定】してみたら、グリフォンって出ました。空を飛ぶのが厄介ですよねぇ。まあ、次に来た時にはまた姿が見えるから何処かに逃げて行ったって訳じゃ無いみたい。いつかあたしが遠距離攻撃魔法を使えるようになったら、実験台になって貰いましょうか。
魔法陣をあれこれとやってみたけど、どうも図形を描くのが間に合わない。全部描き終る前に魔力が拡散してしまうのよ。何とか一番簡単な魔法陣を描くのに成功したのも何日もチャレンジした後だったわ。魔法陣ってかなり熟練が必要な技よね。
何とか魔法が発現した魔法陣、もともとが簡単な図形だから効果もたいした事なくて少しがっかり。まだまだ研鑽しないといけないって事ですね。
詠唱魔法は呪文を覚えるだけなんだけど、威力の制御が難しくて、結局火の魔法以外は諦めたの。で、思いついたのが形だけさも詠唱しているように見せかけておいて、実際には精霊さんに直接念話で実現したい事のイメージを伝えてやって貰うって方法。それに図書館に有った文献によると【詠唱短縮】とか【無詠唱】とか【詠唱破棄】とかって言葉が有ったから、多少省略してもばれないんじゃないかと思うのよね。
火の魔法だけは詠唱が安定して使えたので、ファイアーとか使ってみたの。【加熱】に比べると威力はすごく小さいけど、焚き火の点火には便利そうだわ。
自魔力魔法は両手?両杖?でうまく行ったよ。二刀流っていうか刀じゃないから二杖流かしら、二条流じゃないからね。ただねぇ、なんかイメージが合わないのよね、デ○バイン○スターと。
【加熱】は杖が燃える心配が無くなったので温度は上げ放題になったの。ただ反動がねえ、これを何とかしないと連続して複数回は使えないわ。
【風】は杖が飛んでいく心配は無くなったよ。二つの杖の中間から発現するからね。防御用としての使い心地はあまり変わらないけど、攻撃魔法としてはどうなのかしら、風を起こすだけだと威力がいまいちかもしれないのよね。もっとも【加熱】と組み合わせると髪を乾かすドライヤーとして使えるかもしれないわ。
【冷凍】はもっと温度を下げてみたよ。空気が液化して、さらに温度を下げると固化したのにはびっくりしたけどね。
【冷凍】で温度を下げると空気の液化、固形化まで出来るようになったので、【風】との組み合わせもいろいろ考えてみたのよ。マイナス百九十の冷えた風を送る、液化した空気を投げつける、固体化した空気の塊をぶつけるとかね。
特に固体化。練習の結果、塊を細長い棒状にする事が出来たのよ。つまり矢として使えるようになったって訳。冷凍矢って事ね、矢が当たるとそこから回りが凍り付いていくの、ある意味効果がすごいかもしれない。
ただボウガンにセットするのがね、冷たすぎて触れないのよ。
なんとか魔法陣で魔法が発現した、つまりは、魔法士連盟って所に加盟できる様になったのよ。詠唱魔法が使える、魔法陣を描いて魔法を発現できる、の二つが出来るのが加盟の条件なの。加盟するのは無償だけど、魔法の講習は有償。講習は学校に通うだけの時間が取れない人や、学校では教えてくれない実戦的な、危険度の高い魔法を覚えたい人が受けるらしいのね。
とりあえず登録をと思って、魔法士連盟本部って所へ行ったの。建物が大きくって圧倒されてしまいましたよ。お城みたいなんですもん。
「あの、すみません連盟に登録しようと思って」
「はいはい。ずいぶん小さな子だねぇ。魔法は使えるようになったのかな?」
受付のおじさんからは、すっかり小さい子扱いされてるんですけどぉ。まあ見た目小さい子にしか見えないですよね。
「はい。使えるようになりました」この際だから、小さい子って事でも良いや。騙すわけじゃないからね。勝手にそう思い込んだのは其方なんだから。
加盟は簡単に終わったの。易しい実地試験があったけど、詠唱魔法と魔法陣で魔法が発動すれば良いだけだったから問題なかったよ。
魔法士の証のプレートを貰ったけど、魔法士九級って書いてあったの。最初に貰うのは誰でも九級らしい。使える魔法の種類や威力が上がると級も上がるけど、級にあわせてそれなりの試験があるんですって。講習も級によって受ける事が出来るのが限定されているみたいだから、頑張って級を上げなさいって事なんでしょうね。
そういえば、あたしって精霊と契約してるじゃない?それって級に換算したりとかできないのかしらね。後日学校の図書館で調べてみたら五級以上ってなっていたのを見つけた。
なんか詐欺に遭ったみたいなんですけど。




