第3話 実家と書いて死地と読む
警備員さんとか警察官とかセコ○を見るとびくってなる。
ノリと勢いでバジルと結婚しました。
前に飲み屋で絡んできたオッサンは言ってたよ。
『結婚は冷静に考えてちゃできねぇ!ノリとパッションだせ』
知らないオッサン!俺はやってやったよ。
ちなみにそのオッサンはその後怖そうなオバサンに連行されて退店して行った。
名残惜しそうに引きずられていたが、その顔は迎えに来てもらえてちょっと嬉しそうだった。
ウザ絡みにちょっとイラッとしたので酒の代金はオッサンにつけておいた。
結婚したのでバジルにも色々個人的なことをやんわり聞いてみた。
出身地は家族であっちこっちに転々としてたから正確には知らないけどだいたい北の方だそう。
冬が来た回数的にだいたい24歳で、どっかにまだいるかもしれないけどだいたい6人兄妹の末っ子だろうとな。
うーん人生だいたいが過ぎるがな。
どうやら何年も前に大きな仕事を失敗してしまい、家業を辞めて出奔したそうな。
それからは護衛やらでなんとなく食い繋いできたらしい。
たぶんその失敗って俺原因じゃない?
え、俺助けたから家出したの!?
あ、うん。根掘りんはほりんするのはやめとこう!
コイツの人間予報は寿命を縮めかねん。
いつか俺が受け止められるような大きな男になったら聞こう。
そして俺の結婚は速攻で王城(実家)にバレました。
あの爺さん神官チクったな。
なんで分かったかって言うと、宿の部屋に転がる王城からの使者が手紙を持って来たから。
いつも実家からの御使いは毒とか刃物とか持って来るのに、珍しくキラキラした服で真正面からドアをノックしてやって来た。
礼儀正しき者には相応の対応をしなきゃね!
なんやその偉そうな向上と上がりきったケツアゴと上から目線は!?
こちとらキラキラ王子さまやぞ。
頼れる俺の騎士様達に刈り取ってもらうのは命じゃなくて意識にしてもらいました。
「うげぇ親父(国王)からだ。
成人祝いに祝賀会をひらくから嫁と一緒に出る様にだってさ」
家出以来、嫁(王妃)にビビってなんの音沙汰も無かったのに急に呼びつけるなんて怪しすぎる。
王妃にとっては俺の成人祝いなんてスルーされた方がいいはずだ。
まぁ、甘く見積もって平民の嫁を貰ったことを馬鹿にしたいか、最悪は俺達の命ごと狙ってくるかだろう。
俺を余興かなにかと勘違いしてるのかな?
だが、国王の召喚を断るのは牢獄行きまっしぐら。
俺達は相談してせめて安全確保がしやすい離宮に滞在許可を取る。
金に物を言わせてサクッと必要品を準備していざ参らん!
実家(王城)に帰って来ました。
なんかにやにやしたガラの悪い衛兵に荷物検査されてます。
あ!一番上にあったみるからにキラキラの服を破きましたね!
不敬。不敬。俺の騎士様(叔父さん)が衛兵の腕を折る。
バジルさんが衛兵のヒゲを千切る。
これでもまだ俺は王族なんよ?
もう行っていいって?いやいやちゃんと仕事は最後までしましょうね。
ボロボロになった衛兵の代わりに出て来たチワワ並みにぷるぷるの衛兵達が速攻で荷物検査してくれました。
良かった良かった。
俺達も後から怪しい物があったなんて言われたくないからね。
離宮に行く前に厨房に寄る。
慌てふためく料理人達に武器を突きつけビビっらせる。
御用改である!
育ち盛りの王子に食べ物をたくさんあげましょう!
んで外に置いてあった木箱に食べ物や飲み物、調味料に調理道具や食器をつめこんで衛兵がくる前にアデュー!
盗賊みたいだって?まさか。
きっとゲストである俺達へ運ばれるはずだった物を先に持って行ってやるだけさ。
そうコレは親切心よ?
どうせ王城のご飯は途中でトラブルがあってどどかないか、食べると死ぬ仕様だからね。
俺達は木箱に軽量の魔法をかけて、身体強化魔法を使う。
頭の上に木箱を山積みにしてお家(ボロ離宮)までトンズラだ。
盗賊並みの練度である。
ちなみに俺の軽量魔法はなかなかの練度だ。
バジルに抱っこされるたびかけてたからね。
懐かしい実家(ボロ離宮)にやってきた。
帰って来たよ母さん。
感慨深くボロい石造りの館を見ていると、3階の端っこから野太い悲鳴と共になんか大きな物がポイっとされる。
そして近くの茂みに落ちてぐしゃっと音がした。
バジルはあっと思い出したように呟く。
「手が足りないと思って実家にハウスキーパーをお願いしておきました」
ああ、はいはい。
お掃除(危険を物理排除)ですね。
「出奔したのに実家使って大丈夫なのか?」
「家業からは追放されましたけど、実家とはやりとりしていたので客として依頼したんです」
出奔とは。
まぁ、家族と絶縁とはなってないようでホッとする。
俺のせいで家庭崩壊はどんな悪人家族でも申し訳ないからね。
ハウスキーパーは確実に王城側に許可取ってないよな。
まぁいいか、離宮は無人で貸し出しって話だったし前提条件に戻っただけですね。
お掃除お疲れ様です。
叔父さんは気がきく嫁だと上機嫌になった。
なんだろうこういう事おおらかに受け止められるのって辺境育ちだから?魔境なのかな?
離宮の玄関ホールに入ると真ん中あたりにどこか禍々しい黒いシミがあった。
ご丁寧に埃はなく綺麗な床に模様の様に残ってる。
あれ俺と母さんの吐血跡だね。
思い出の〜じゃないからね!
どっちかって言えばトラウマの〜だからね!
ハウスキーパーは事件現場までキープしなくていいのよ?
せっかく残してくれていたので城から貰って来た綺麗な花をお供えした。
母さんは故郷の家族のお墓に居るので滅多にお参りできないからな。
側妃様へのお花だからね。
バジルとこそっと祝賀会会場のどまん前の生垣からザックザックと大きい花を頂いたけど許されるでしょう。
さぁ、祝賀会まで1週間は離宮で来る刺客とサバゲーだぜ!
と思っていたらお手紙が届きました。
「バジルに次兄の嫁からお茶会の招待状だな」
十中八九なんかやってくるやつだ。
バジルの物理対応力が強いのは知っているが、腹の探り合いや嫌味の応酬はどうだろう。
バジルを見るといつも通り胡散臭い笑顔だった。
いや、ちょっといつもより笑顔が暑苦しいような。
「初親戚付き合いですね。
主人の妻として頑張ります!」
本人やる気だから行かせてみるか。
なんか面白そうだし。
「命大事に、無理はするなよ」
とは言え殺しても死なななそうな嫁である。
叔父さん新婚夫婦が仲睦まじいって涙ぐんでるけど、今バジルにサラッと親戚認定スルーされたからね。
え、叔父さんはお義父さんみたいなもんだから家族?
叔父さん号泣しちゃったよ。
ちょっと皆さんここ敵地ですよー気を引き締めてこーおーー!
お読みいただきありがとうございます。




