第2話 ノリのいいお姉さんは好きですか?!
素敵なお姉様に憧れる。
(優しいに限る)
ハァハァ今の俺のありのままを伝えるぜ。
実家(城)で毒殺されかけて家出。
親父にもらった金でえっちいお店にたくさん行くために新しく護衛をやとったらご縁のある暗殺者(仮)だったんよーん。
なんでたよ!?暗殺者は忍べよ!
さっと仕事したらどっか潜んで出てこないでくださいませんか!?
暗殺者(仮)は安物人形の笑顔みたいな胡散臭い顔で俺と叔父さんと握手を交わす。
表の世界でそんな大胆な!
ってかたぶんおら達ターゲットだよね?
そんな堂々と会っていいの!?
もしやこのまま身近から命を狙うのか?
安心したところを後ろからアーッ!なのか。
いや前回から8年間何してたん?!
潜伏にしても微妙に長いよ?
めちゃくちゃ忘れかけてたよ!
俺の頭は冷や冷や、心臓はバクバク。
だがここでとちると人生ゲームオーバーやで自分。
まだ俺の青春ボーイは遊び足りないんだ。
南区のマリンちゃんも、東区のドスエちゃんも会えてないんだ。
いや冷静によく見るとなんか雰囲気似てるだけであの暗殺者(仮)と別人かもしれない。
疑わしきは罰せずだぜ俺。
俺は冷静を装うことにした。
「俺はセシルだ。あんた名前は?」
「バジり・・・あ、えーとバジルで。よろしくお願いします主人」
言い慣れない感じ偽名じゃんけ。
何?言い馴染みのある草の名前適当に出したでしょ。
俺もバジルたっぷりジェノベーゼ好きよ。
って偽名は事前にちゃんと覚えてよ!
騙される方もどきっとするでしょ。
え、ちょっともしかしてオレのセシルに被せてんの?
こ、こわ!
殺す相手に名前寄せてくるのなんか怖い。
いやいや、俺の思い出のあの人がこんな杜撰な近づき方するわけないって。
「ちなみに年下の9歳男子に口移しで薬を飲ませるのどう思う?」
暗殺者(仮)は少し色づいた頬に右手を当てる。
「ぷにぷに唇にちょっと苦い薬がアクセント。大変美味しゅうございました」
それは暗殺者の感想や!
この犯罪者め!いや、性犯罪者め!
俺のファーストキスがトラウマもんですよ。
ても叔父さんに言うと血みどろ大決戦が開催されるから黙っとこ。
うん、今夜は予約が取れないお姉さんの予約日だからね!
例え暗殺者が横に居ようとも噂のステファニーちゃんに会うまで俺は死ねない。
結論から言おう。
バジルはめちゃくちゃ有能だった。
習慣のようにやってくる王妃の刺客を叔父さんとバッタバッタと倒して行く。
バジルは棒術を使うので撲殺メインだ。
つまり返り血が少なくなってありがたい。
叔父さんは大雑把に乱切りなので、部屋でやろうものなら掃除が大変だし、弁償の金もかかる。
護衛より殲滅派なんだよね。
あとバジルの棒は伸縮自在で腰に下げていても目立たない。
叔父さんはどデカい剣を背負ってるのでめちゃくちゃ目立つ。
夜の店だとあからさまな刃物には女の子が怖がるからね。
「バジル。今日は西区の『夢魔の酒場』で(コソ」
バジルとはどこでもいっしょ。
「分かりました主人(コソ」
俺を抱いたバジルが宿の窓から夜の街にフライアウェイ。
「だぁあ!!!こらお前達夜遊びはいかんぞぉ!!(怒」
オッサンの怒鳴り声を遥か彼方に、今日も俺は夜の街へ楽しく繰り出すのだった。
バジルは飲み屋でも凄い。
例えばお高い飲み屋で高級感のある半個室に女の子を侍らせている時。
バジルはいつもは俺の横で和かに座っているが、常に酒や皿の匂いを嗅ぎ、怪しいものは止めてくれる。
例えばセクシィーなお姉さんといちゃつくお宿にいる時。
バジルは壁際で置物かと思うくらい気配を消して待っているが、暗殺者に気がつくとささっと素っ裸の俺と脱ぎ散らかした服をシーツに包む。
んでもって抱き上げて窓の外へフライアウェイ。
この護衛様ってば仕事出来すぎん?
そして本当にすごいと思うのはこの色欲アホ王子成金ムーブに一切の不快感を出さな事。
バジルは護衛の仕事だからと割り切って無関心かといえばそうでもない。
夜遊びの帰り道、俺の後ろを歩くバジルをちらりと振り返る。
見守られている様な、どこか温かさを感じる視線なのだ。
ぶっちゃけお母さんに見守られてる様で最近ちょっと萎えてきた・・・。
俺ちゃん遊び倒して根性捻くれ擦れてるけど、ナイーブなお年頃なのよ。
この胡散臭い笑顔に母性を感じるとは俺もそろそろぶっ壊れてるのかもしれない。
てかいつ俺を暗殺するのよ?
もうしなくてもいいんじゃない?
いや、する気もないのか?
「バジルとずっと一緒ならいいのにな」
「いいですよ」
俺が無意識にぽつりともらした独り言にバジルはすぐに返事を返してきた。
いつも静かに後ろからついて来るだけなのに反応早いがな。
背後から「くふふふっ!くふふふっ!」と小さく上機嫌な笑い声が聞こえる。
この気持ち悪い笑い声が可愛く聞こえてきた俺の頭はよほど酒でぶっ壊れてるに違いない。
俺は酒臭いため息をついてバジルの手を取ると近くの適当な神殿に向かう。
寝こける爺さんの神官を金貨の入った袋で叩き起こし、神像の前で結婚の儀式をしてもらう。
神殿の特別な本に著名すると正式な夫婦になれる。
これは本人達でないと誰も取り消せない。
俺の本名に神官の爺さんが青ざめてるが知ったこっちゃない。
ざまぁみやがれ俺を国益のため輸出予定だった国王夫妻。
誰が3つ向こうのオバタリアン帝国の女帝の第12王配になるかってんだ。
いや、その、カッコいいお姉様には興味あったんだけどね。
あと勝手にごめんね叔父さん。
一番最初に言うから許してくれ。
それからバジルよ本名バジリスクってなに?
え、可愛くないから愛称で呼ばれたかった?
はぁ??草と魔物(天災級)じゃ全然危険度が違うんですけど。
まぁいいか、バジルはご機嫌でずっと「くふふふっ!」って笑ってるし。
神官の爺さんが一般的に気味の悪い笑顔で笑い続けるバジルにドン引きし始めてるし出よっか。
夜の教会にバジルはあかんねん、怪談系最凶の嫁やねん。
街一番の豪華な娼館に行き、部屋だけ借りるとバジルと初夜としけこんだ。
なんてこったい。
護衛の怪談系お姉さんはお布団の中では超えちぃお姉さんでした。
しかも、ふよんなお胸を枕に頭なでなでしてくれるオプション付きだ。
「いい子、いい子。主人はいい子」
俺の嫁最高!
昼過ぎに帰った俺達。
街中探し回っていた叔父さんが頭の血管キレそうなくらい怒ってたけど、結婚の報告したら泣いて喜んでくれた。
俺は家族に恵まれてるね母さん。
読んでいただきありがとうございます。
おねショタは崇高なジャンルの一つです。




