第12話 ざまぁだっていろいろ 咲き乱れるの
綺麗なざまぁはできたでしょうか。
俺が国王になってからしばらく経った。
あれから皆んなどうなったかというと。
ブラッドエンドは今も楽しく辺境極悪都市としてやっている。
名目上は王妃付きの自治区。
統治は裏切りそうもない子悪党に代官を任せ、なんやかんや王族の知らないとこで悪してるらしいんですわーって事になっている。
アブナイお薬もアブナイ犯罪者も前より出入りを絞ったのでまぁ、基本的には国内の不満は納まった。
ヒステリーテはブラッドエンドに行ってからは「ホーッホホ!私の施しをおくらいッ」と右ストレートとドリルヘアアタックを武器に現地社交界で『姉さん』と大人気らしい。
知識欲の強いヒステリーテ長女は集められたあらゆる書物や各国の機密情報を日々読み聞かせしてもらってのんびり過ごしている。
そして時たま天災や国家運営や近隣諸国への嫌がらせについて相談するとなかなか良いアイデアをくれるので有難や人間図書館様。
ちなみに通訳はうちのバジルにそっくり次男くんがしている。
じっと見つめあって。
ふんふんと頷きあって(姪はぱちぱち瞬き)、「あのね〜、〜なんよ」とのんびりした口調で教えてくれる。
どんななまりだよ息子可愛い。
姪と息子の背後にほわほわお花畑が幻視される。
かんわいいなぁふふぇっおほ。
コイツらテラパシ○トかいっ!?って突っ込むと棺桶突っ込むからあかんで。
バジルさんの息子やで!?
そこはそっとしとき!
ヒステリーテ次女はブラッドエンドの騎士団に入った。
悪い人や悪そうな人やたぶん悪いことしそうな人をばっさばっさとやっつけている。
お陰で治安はとっても向上し、弱者から英雄扱いで本人も楽しくやっている。
さて、離宮に入った元国王夫妻と長男夫妻はそれは賑やかな二世帯生活を送った。
使用人はおらず、物資もほとんど無いので自分達で動かなければならない。
昼間は嫁と姑で相手を働かせようと怒鳴り合いの掴み合いの喧嘩になった。
結局、姑が嫁から離れたくなくて背負われていた息子は間違って殴ってしまいそこからは口喧嘩のみになったが。
元第一王子はそれが原因で意識不明となり数日後にそっとお亡くなりになった。
最後まで最愛の嫁につきっきりで看病されて満足そうなお顔だったとか。
その後、精気の供給源が無くなったラウアリも巨体がウソのように萎んでいきそのまま儚くなった。
息子夫婦を失った父はそれは落ち込んでいたが、数日後トチ狂ったのか山姥のようになった妻に追いかけられて死物狂いで離宮の敷地内を逃げはじめた。
元王妃は権力も地位も、あれだけ玉座に据えようと血が滲むどころか流血ダバダバ画策した息子達を失っても負けを認める事ができなかった。
結論として元王妃は元国王とまた子供を作って俺から王位を簒奪してやろうと思ったらしい。
ただ哀しきかな元国王の好みはほわほわ癒され系ママ上である。
キツめの正気がなさそうな貪り系肉食中年女子ではない。
でも元国王は家族で暖かな生活がしたかったのだ。
いささか強火だけど嫁さんとアツアツでヨカッタネ!
俺は自分の家族を愛でたり、貴族を虐めたりでなかなか会いに行けないのでせめてもの食品を仕送りしていた。
ほら元気なくなると面白くな、ゴホン、老人には優しくしなきゃね!
そんな父夫婦もあんなに騒いでいたのにある時すんと静かになった。
観察班の話だと寝室でガッチリ組み合って(格闘系)お亡くなりなっていたそうな。
夫婦はニコイチ、仲良しさんを離すのは可哀想なのでそのまま巨大な棺に入れときましょうそうしましょう。
俺はその成り上がりからして恐ろしい国王と皆んなに思われていると思う。
ブラッドエンドから出てからは法と社会秩序をちゃんと表面上守ってるよ?
でもまぁ、ちょっと過激だったのは仕方ないよね。
俺、家庭環境アレだったし。
まぁ、国王も向いてないと思ったからうちの長男が大人になったら早々に引き継ぎした。
俺そっくりのイケメン息子はそれはそれは頭も良いし、人当たりも良いし、お腹の中真っ黒だし。
俺よりずっと上手くやってくれている。
次男はブラッドエンドを含めて国内外を外交といってはふらついている。
見た目も中身もうちの嫁そっくりだから、きっと楽しくやっているだろう。
何してるかは怖くて聞けない、当たり障りない土産話が世捨て人にはちょうどいいんよ。
国王をやめた俺とバジルはまたあの離宮をリフォームして暮らしている。
ポカポカした優しい日差しがやんわり差し込む昼寝にピッタリな部屋。
2人寝そべると広すぎず狭すぎずいい感じで手がつなげる寝台。
少し老けた俺は寝台横に椅子を置いて座り、程よいベッドにはバジルが横になっている。
繋いだ手はいつもより少しだけ冷たい。
「君のお陰で俺の人生はとても楽しくなった。
ありがとうバジリスク」
バジルは笑ったが、少しだけ弱い笑い方で全然いつもの胡散臭さがなくて、穏やかで、綺麗な笑みだった。
「バジルって言われる方が可愛くてすきです。
あと、お願いしてもいいですか」
「はいはい、バジルさん。
大好きなお嫁さんの願いはなんなりと」
俺が耳をバジルの口元に寄せると、ふむふむはぁはぁなるほどね。
「大好きな私の可愛い子。
また逢いましょう」
それがバジルの最後の言葉だった。
俺のことずっと9歳児に見えてる?
ガチボケるには少し早いと思うけど。
いやいやバジルさんの一世一代のボケだと思おう。
俺の日課は離宮の庭に作ったバジルの墓参りだ。
毎日王城の庭師から届く花と厨房で用意されるランチボックスを持っていく。
墓に飾られた花を新しいものに替えて。
いつの間にか墓の周りに出てきたキノコ達。
季節によって色が変わるが、いつも同じ様なところに輪になって生えている。
可愛らしいその輪の中にボックスに入れてきたものを置く。
蜂蜜とドライフルーツがたくさん入ったケーキ、お高くて美味しいブランデーをキラキラと綺麗なグラスにいれて。
俺もグラスでちびちびと飲みながら昨日あったことを話す。
離宮からは孫達の楽しげな声が漏れ聞こえる。
お化け屋敷ごっこブームで不審死しまくり離宮は大人気だ。
面倒な仕事は息子達とその嫁が頑張ってくれている。
子供の時の苦痛はまだ思い出されるが、あの時の気持ちはどんなだったかもう朧げだ。
まさかこんなにのんびりとした余生になるとは思わなかった。
悪逆非道の王でこんなに穏やかに死ぬのは俺くらいじゃないだろうか。
さて死んだ時にとんでもない対価を払わされることだろう。
なんせとんでもないバジリスク(天災嫁)を延々と使い倒したのだから。
いや、俺こそ振り回されてた気もするけれど。
私と彼女との楽しかった人生に感謝を。
愛しい妻バジルに愛を込めて。
読んでいただきありがとうございます。
ハッピーエンドでいいんでねぇが?




