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反抗期少年  作者:
6/7

5

「凄いね」


長い間黙っていた女は、息を吐くように言った。


「なんて言ったら良いのか、全然分かんないけど、凄い」


それはきっと、母親に対する言葉だろう。


「そう、かもしれないですね」


「もし、この子の父親が死んだら、なんて想像できないわ」


「はい」


「でも、この子は絶対に私が守る」





「京子」


突然、穴の向こうに男の顔が現れる。


「迎えに来てくれたの?」


穴の中から、嬉しそうに女が返す。


「こんなところで、男と密会か?」


制服姿の俺を見て、冗談を言う。


「ええ。雨宿りしてたら、遅くなっちゃった」


「とっくに止んでるぞ」


「あら、本当。気づかなかったわ」


本当に気づいてなかっただろうに、白々しく答える。


息の合った猿芝居が、可笑しくも微笑ましい。


「さて、帰ろうか」


男は優しく言って、女に手を差し出す。


「ええ」


女はその手を取り、お腹を庇いながら、ゆっくりと穴から出る。


そして、此方を覗きこみ、俺に問う。


「行く宛がないなら、うちへ来たら?」


「いえ、俺も帰ります」


「そう。じゃあ、ばいばい」


男と手を繋ぎ、帰っていく。


その背中を見送り、俺も穴から這い出た。

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