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反抗期少年  作者:
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4

返す言葉に詰まる。


逆光で、彼女の表情は見えない。


「俺の母親も中退です」


結局、こんな言葉しか思い付かなかった。


あら、と明るく返してくれた彼女に、でき婚で、と付け足す。


「デキコン?」


「妊娠したから、学校辞めて結婚したらしいです」


「あら、私とおんなじね」


「妊娠してるんですか?」


ええ、とお腹を優しく触る。


言われてみれば、膨らんでいるように見える。


「風邪ひかないように、気をつけてください」


「ありがとう」


雨は、止みそうにない。


「親は反対したのよ」


彼女が独り言のように言う。


「え?」


「結婚と出産」


そうなんですか、と相槌を打つが、一般的な家庭では当然だろう。


「堕胎って、赤ちゃんをグチャグチャに潰して、掻き出すらしいの」


一瞬、想像してしまった。


「検診の時、赤ちゃんの心臓の音を聞いたの。生きてる人間だって知ったら、殺すなんて私にはできない」


俺の反応を待っているようだが、言葉が見つからない。


「お母さん、幸せそう?」


「どうですかね。息子はこんなんだし。父親は、俺が赤ちゃんの時に死んだらしくて」


母親は今、幸せなのだろうか。





顔も見たことがない父親と、母親が出会ったのは高校2年の頃。


「あの人、私に一目惚れしたのよ」と母親は自慢げに言うが、本当のところは分からない。


家族に内緒で交際を続け、2年目に妊娠が発覚。


お互いの両親に反対され、家出同然で駆け落ち。


父親は、寝る間も惜しんで働いたらしい。


「ホストクラブの方が儲かるって、あの人は言ったんだけど、女の人にベタベタされるなんて嫌だったの」


そして、出産。


その後のことは、ほとんど知らない。


知っているのは、俺が1才の時に父親が死んだことだけだ。

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