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気づけば、近所の公園へ来ていた。
真っ暗で誰もいないそこには、大きな象の滑り台がポツンと佇む。
久しぶりに上ると、小学生の頃の記憶が蘇る。
「陸ー、帰ろー」
放課後、毎日同じメンバーで、ここへ来て遊んだ。
鬼ごっこ、缶けり、ケイドロ。
何をするのも、楽しかった。
ずっと明るければいいのに、と何度も思った。
暗くなると、母親が順番に迎えに来るから。
ひとり、またひとりと、帰っていくから。
迎えに来た母親と、他愛もない話をしながら帰る彼らを、毎日順番に見送った。
最後のひとりが帰ると、公園には俺だけが残った。
ポツリ、と頬に水滴が落ちた。
空を見上げると、灰色の雲が覆っていた。
掌を向けてみれば、そこにもポツリと落ちてくる。
それは、すぐに音を立てる雨へと変わった。
仕方なく滑り台を下りて、象の穴の中へ体を捩じ込む。
入り口から侵入してくる横殴りの雨を避けようと、奥へ移動するはずが、思いっきり頭をぶつけた。
尻餅をつかないよう、咄嗟に手で庇う。
地面は、ひんやりしていた。
ゆっくりと体育座りをして、それを払い落とす。
象の全身を叩きつける雨の音を聞きながら。
やむまで、ここにいようと思った。




