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試練の塔  作者: 甲羅に籠る亀


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4/12

4話

 結局昨日はあれから新たにステータスオーブが手に入ったなんて事はなかった。


 今日はモンスターと戦って戦って戦う日にする事にした。


 採取をせずにモンスターからのドロップアイテムだけでどこまで稼げるのかを調べる為にも必要なことだ。


 朝6時という時間でも探索者の姿を見られる。


 この時間帯から活動しているのだろうが、武器や防具などの装備した姿を見る限りでは1階層で活動する様な人たちには見えない。


 1階層で活動する様な探索者は俺くらいしかまだ居ないのだろう。


 試練の塔の中に入った俺は入り口から離れてモンスターを探す為に歩いて進んだ。


 「お、いたいた。」


 最初に発見したのはスライムだった。


 まだスライムは気が付いていない。


 駆け寄って全身の力を込めて槍を振り下ろし、槍を叩き付けられたスライムはそれだけでスライムは二つに分かれて消えていく。


 スライムがいた場所にはドロップアイテムが落ちていた。魔石とスライムの皮だった。


 どちらも換金できるアイテムだ。リュックに仕舞って探索に戻る。


 それからも俺はスライムを見つければ駆け寄って槍を叩き付けるか、スライムの攻撃を避けてから刺突で反撃してスライムを倒していった。


 「ここからはラビットも出て来る辺りだな。気を付けよう。」


 まだ攻撃を受けたことはないが、ラビットの蹴りや首を狙う噛み付きは凶悪だ。


 腹に蹴りを受ければ内臓にダメージを受けるし、首に噛み付きなんて致命傷になる。


 これまでも何度かラビットを倒しているがそれでも油断は出来ない。


 それでもラビットの攻略は難しくはないから問題は油断しないことくらい。


 ラビットがどこに攻撃を仕掛けてくるのか見え見えなのが倒しやすい理由だ。


 そんなラビットの事を考えているとラビットの後ろ姿を発見した。


 距離としてはまだ気が付いていない様だが、それもすぐに気が付いてしまうだろう。


 「ま、気付かれるのなら気付かれるでいいけど。」


 堂々とラビットに近付いて俺がいる事を伝えれば、それだけでラビットは俺の方に向かって駆け寄ってくる。


 「首ッ!」


 首を狙う高さまでジャンプして攻撃を仕掛けてくるラビットに対して、俺はラビットの軌道上に槍の穂先を向けて槍を動かさない様に固定した。


 「やっぱりこの方法だな。」


 蹴りを仕掛けて来るのなら腹から下を狙ってくるので回避一択だが、首を狙って来る時は狙いが確実だからこそ、槍を構えるだけだからラビットを簡単に倒せる。


 ラビットはそれでも油断は出来ないから緊張感はあるけど。


 槍の穂先を地面に下ろしてラビットが消えるのを待つ間に、周りの様子を確認しておく。


 ここで確認しなかった場合、もしかしたら駆け寄ってきたラビットから奇襲を受けるかもしれないからだ。


 この1階層で死ぬ者の半分くらいはラビットの奇襲が原因らしい。


 本当に警戒を忘れてはいけない。ここは試練の塔なのだから。


 俺は一度周りの確認をしてからラビットがドロップした魔石を回収して移動する。


 数分後、またモンスターを発見した。


 見つけたモンスターはスライム。けれど、そのスライムの数が3匹もいた。


 俺の方から奇襲を仕掛けて1匹を倒しても、その間に残りのスライムたちが戦闘体勢に入ることを考えて戦わないといけない。


 でもやっぱりここは奇襲だろう。


 まだスライムたちは俺のことに気が付いていなち様子を見せている。


 一気に俺はスライムたちに駆け寄って槍を振り下ろしてスライムの1匹を倒す。


 やはりこの間にスライムたちは戦闘体勢に入ってしまっていた。


 でもまだスライムたちは攻撃を仕掛けて来ていない。


 俺はこの隙に右側のスライムに刺突を繰り出し、スライムに刺さったと判断したらすぐに槍を引き抜いて後方に飛び退いた。


 ダメージを受けたスライムが1匹、無傷のスライムが1匹。


 ここからスライムたちがどう動くかを警戒しながら俺は回避と攻撃をいつでも行なえる様に思考する。


 「来た。」


 無傷のスライムから攻撃を仕掛けてきた。


 俺はすぐにスライムが跳んでくる軌道上から移動して攻撃を躱しながらも残りのダメージを受けているスライムに意識を向ける。


 意識を向けたダメージを受けているスライムはどうやらダメージを受けて動きが鈍くなっていた様だ。


 今にも攻撃を仕掛けて来そうなダメージを受けたスライムに、俺はここでトドメを刺す気持ちで刺突を繰り出した。


 1回目の時よりもより深く身体に突き刺さる様にダメージを受けたスライムとの距離を縮めて突き刺す。


 致命傷は受けただろうが、それでもスライムは倒れない。


 ここでもう一度刺突をすればこのスライムを倒せるだろうが、俺はあともう少しで倒せるスライムから距離を取って無傷のスライムに視線を向けた。


 無傷のスライムは攻撃体勢に入っていた。


 今にも飛び跳ねて体当たりを仕掛けようとしている姿を見てすぐに回避行動に移す。


 跳んでくるスライムの軌道上から離れた俺はここで無傷のスライムを倒すことに決めた。


 もうダメージを受けたスライムは放って置いても致命傷を受けて何もしなくても倒せるはず。


 それなら無傷のスライムをここで倒せば、致命傷を受けているスライムにトドメを刺すだけで戦闘は終わる。


 スライムからの攻撃を回避した俺はここで【倍加】を発動して振り下ろしの威力を上げた一撃でスライムを倒す。


 全力で振り下ろした攻撃でなくても倍加すれば問題なくスライムは倒せた。


 残りのスライムを見るとそこでは何とか俺に攻撃を仕掛けようとしているスライムの姿があった。


 でもあれはもうすぐ倒れるだろう。


 周りを警戒して他にモンスターは接近して来ていないかを調べてから最後のスライムにトドメを刺して最初に倒したスライムのドロップアイテムを回収する。


 今回の戦闘でも残念なことにステータスオーブはドロップしなかった。


 その事を残念に思いながらも探索を続ける。


 それからも遭遇するモンスターを俺は倒していった。


 この辺りはラビットやスライムが1〜3匹で行動しており、戦闘回数もそこそこ多くて段々と疲労を感じ始めてきた。


 ここからは少し休憩を挟みながら探索しよう。


 途中で水分補給や軽食を食べたりしながら体力の回復を努めて行なっていく。


 それでも段々と疲れの方が増してきた時に時計を確認すればあと1時間で正午になる。


 5時間も探索をしていたらしい。


 俺は試練の塔を出て昼食を食べに向かうことにした。

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