3話
あれから何度か戦闘があったり、採取可能な植物の採取をしながら進み、塔の外に出たマサキは塔の近くにある探索者を支援する組織の探索者協会でモンスターからのドロップアイテムや採取アイテムの売却を行なった。
治癒草の採取を毎回見かけたらしていたのが大きく、今回の探索で一万円を超えた金額になった。
採取をせずにモンスターを倒して手に入れたドロップアイテムだけだったら三千円くらいだったはずだ。
モンスターを倒すだけじゃなくて採取もしっかりとしていけば暮らしていけるくらいには稼げるだろう。
「けど、俺は強くなりたいんだよなぁ。」
試練の塔の100階層を目指すとするのならば1階層という低層で過ごす時間は減らしたい。
塔の攻略の為に必要になる装備や道具にお金を掛けたいからお金を貯めるのは当たり前だけど、その分だけ採取に時間を掛けるとモンスターと戦える時間が減る。
「まあ、でも採取をする行動でも何かしらの能力値を上げる切っ掛けにはなるかも知れないんだよね。どうしたもんかなあ。」
とりあえず今回の手に入ったお金を使って昼食を食べてから午後にも塔に登ろう。
探索者協会の近くにあるモンスターのドロップアイテムを使用した料理を提供する食堂で昼食を食べる。
メニューとして安い1階層に出てきたラビットの肉が使用されたラビット肉のステーキ定食を食べて、マサキは再び試練の塔に入った。
「ステータスオーブが手に入るといいんだけど。」
モンスターを探しながら、ついでに治癒草がないかと確認しながら歩いていく。
やはり塔の入り口近くは人の出入りも多いせいでモンスターも治癒草も見当たらない。
入り口から10分離れた位置でようやくスライムを発見した。
「見つけた。」
マサキの方に向かって来ないスライムの姿に、まだこちらに気が付いていないと判断して一気に駆け寄って槍を振り下ろして叩き付ける。
それだけでスライムは縦に裂けて弾けて動かなくなる。
相手が気が付いていない状態での奇襲の上に、その相手がスライムという事もあって余裕を持って倒せた。
「出来れば穂先で切り裂く様にして倒せる様になるのを目標にした方が良いかも……おっ、ドロップ……あぁ!!」
スライムからドロップしたアイテムの中で始めてみたアイテムがドロップした。
それは青い色をした玉。
これを実際に見るのは初めてだが、画像では見たことがある。これはステータスオーブだ。
このステータスオーブを使う事でステータスの能力値を1つだけ上昇させられるアイテムで、モンスターからのドロップで稀にドロップするか、塔の宝箱の中に入っていたりする。
「本当に出るなんて思わなかった。今日の俺って運が良い。」
魔石を回収してステータスオーブを手に取って使おうと思った。
「あ、もしかしていけないか?これ……。」
ステータスオーブを使おうとした時に思い付いたそれはステータスオーブに【倍加】の力を使うことだ。
「これが出来れば俺だけ倍でステータスポイントが手に入る!」
周りを確認して人やモンスターが居ないかを見てからマサキは【倍加】をステータスオーブに使った。
「うぐッ…………はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………。」
ステータスオーブに【倍加】を使った瞬間に体から一気に体力が抜けた。
全身から力が入らなくなり、マサキはその場で倒れてしまい荒く呼吸を繰り返しながら動けなくなってしまう。
このままだと不味いと体が動かせない状態に焦りながらも、マサキは自分の息を整える様に呼吸していく。
5分くらいした頃にようやく少しだけ体を動かせる様になったマサキはリュックから体力の回復を促す回復薬を飲み干した。
「ゴホッゴホッ……気管に入った……ゴホッ……。」
咳き込みながらも体力回復の回復薬を飲み切ったマサキはそこから数分座り込んで体力の回復に努めた。
「本当に今日の俺は運が良かった。」
もし倒れている時にスライムに襲われでもしたら確実にマサキは殺されていただろう事は簡単に理解できる。
今回は本当に運が良かっただけ。
死ななくて済んだ事に安堵しながらもマサキは手に持っているステータスオーブを見た。
「こんな苦しい思いをしたんだし、これでポイントが倍加されてなかったなんて事になるなよ。」
マサキは手に持ったステータスオーブを握り締めてステータスオーブを使った。
頭の中にステータスポイントが2ポイント付与されました。と聞こえた。
「良かった。増えてた。」
ステータスオーブに【倍加】使ってステータスポイントを増やす作戦は成功した。
これでマサキはこれから普通の人よりも2倍早く成長することが出来るようになる。
早速手に入れたポイントを使ってステータスの能力値を上げることにした。
ステータス
レベル1
生命力0
体力2
魔力0
筋力0
耐久力0
精神力0
敏捷0
器用0
固有スキル 【倍加】
アクティブスキル 【】【】【】【】【】【】【】【】【】【】
パッシブスキル 【】【】【】【】【】
俺の固有スキル【倍加】は体力が消費されるからこそ、その体力を上げることにした。
これで少しでも【倍加】を多く使用することが出来るだろうし、次にステータスオーブに【倍加】を使うことがあっても倒れて動けなくなることも無くなるかも?知れない。
「実感がないけど少し休んでから動くとしよう。」
水分補給をしたりしながら体を休めて少しでも多くの体力を回復してからマサキは探索を再開する。
移動を開始してから1分も経たずに草むらこら飛び出て来たスライムと遭遇することになった。
既にスライムはマサキに気が付いている状態、にじりにじりとじわじわと接近して来ている。
いつ飛び跳ねて体当たりを仕掛けてくるのか、そのタイミングを見計らいながらマサキは槍を構えた。
「跳ねた!」
スライムが飛び跳ねて体当たりを仕掛けてきたのに合わせて、マサキは槍を突き出して攻撃を行なった。
飛び跳ねて体当たりを行なっていて空中のスライムに槍は突き刺さるが、スライムの弱点であり心臓部である核には命中しなかった。
「当たらないか……。」
マサキは槍に刺さったままのスライムを槍から外す為に振るって槍からスライムが飛んで行く。
先ほどの一撃でスライムに相当のダメージがあった様だ。
スライムの動きはかなり鈍くなっている。
そんな状態のスライムの核を貫くのはそこまで難しくはなく、マサキはスライムを倒すのだった。




