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試練の塔  作者: 甲羅に籠る亀


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2/12

2話

 探索を再開してからもマサキはスライムを倒し続けてリュックに重みを感じた頃、試練の塔の入り口が遠くなってくるくらい離れた位置に来たからか、スライムとは別のモンスターをマサキは発見する。


 「まだ距離があるけど、近付いたら気付かれそうだ。」


 発見したモンスターは1メートルサイズの大きさを持った兎のモンスターのラビットだ。


 姿形が兎に似ている様に講習での話では聴覚が発達していて接近すれば隠密系のスキルでもない限りは気付かれるモンスターの様だ。


 隠れながら接近していても確実に気付かれるからこそマサキは堂々とラビットに向けて足を進めて行く。


 気付かれない様に進まずに堂々と向かって行くマサキにラビットはすぐに気が付いてラビットの方からも接近して来た。


 「早いな。」


 スライムとは違ってかなり早いスピードでマサキに接近していくラビットに対して、マサキは槍を構えながらラビットを警戒する。


 「まずは動きを見る。」


 スライムよりも早いスピードに翻弄されそうな予感がするラビットを警戒するマサキはまずラビットがどんな風に動いて来るのかを確認する事から始めた。


 「ッ!?」


 牙を剥き出しにしてラビットは飛び跳ねて噛み付いて来ようとした。


 それに対してマサキはラビットの攻撃を回避することに意識を向けていたからこそ、ラビットの首を狙った噛み付き攻撃を余裕を持って回避する事に成功する。


 「凶暴過ぎだ。兎のくせに。」


 額から冷や汗が流れるのを感じながらラビットを正面にする様に動いていくマサキ。


 それからもマサキはラビットの攻撃を何度も何度も回避し続けると、ラビットの行動にも慣れたタイミングで槍をラビットがジャンプして向かって来るだろう位置に構えた。


 「狙いが単調で助かったけど、結構衝撃が来たな。」


 ラビットの狙いが首の噛み付き攻撃の単調のお陰で槍の穂先に自分から刺さりに来たラビットはそのまま串刺しになった。


 1メートルサイズもある兎モンスターのラビットの体重は重たいせいで腕や手首に負担が掛かったせいで痺れる様な感覚が起こってしまった。


 腕や手首の痺れが抜ける間に槍をラビットから引き抜くと、マサキは槍が曲がったり穂先が欠けたりしていないかを確認した。


 「見た感じじゃ問題なさそうだな。まだ買ったばかりだし壊れたりして欲しくないから大事にしたいけど……。」


 武器を大事にし過ぎた結果、マサキ自身が怪我をしたりする方が問題と言うのもあると考えているとラビットが光になって消えた。


 ラビットの消えた場所には魔石しかなかった。ラビットはドロップアイテムは落とさなかった様だ。


 その事を残念に思いながらも魔石を回収したマサキはその頃には腕や手の痺れも無くなって探索に戻った。


 ラビットは厄介なモンスターだなと思いながら歩いているとスライムを発見する。


 「2匹、か。まぁ、スライムだし。問題ないだろう。」


 2匹同時の戦闘は初めてのマサキだったが、相手がスライムだと言うこともあって戦うことにした。


 まだスライムは気が付いていないと、そう判断したマサキは自分からスライムたちとの距離を詰める為に駆け出した。


 「【倍加】!まず1匹!!」


 【倍加】で威力を倍にした振り下ろしはまだマサキに気が付いていなかったスライムを真っ二つにしてしまう。


 仲間のスライムが一撃で殺されたことに驚いているのか、まだマサキに対して行動を起こそうとしていないスライムにマサキは横に槍を振るった。


 振るった槍の柄に直撃したスライムは弾かれる様にして吹き飛びながら地面を転がっていく。


 「そこまで飛ばないか。」


 【倍加】で威力を倍にした訳ではないからそこまで飛ばないのはおかしくはない。


 「死んだか?」


 吹き飛んだスライムが動かないかと警戒しているとスライムが動き出してマサキに向かって飛び跳ねて移動してくる。


 そこからはスライムの着地の瞬間を狙った倍加の一撃でスライムを倒して2匹同時の戦闘にマサキは勝利した。


 「倒せはしたけど2匹同時に相手にするのをした方がよかったかな。」


 2匹同時にスライムからの攻撃を回避する練習をする方がよかった様な気がしながらマサキはスライムたちのドロップアイテムを回収して次に向かう。


 それからマサキは探索を続けて休息を挟みながらスライムやラビットを相手にした。


 「もうそろそろ12時になるし一旦出るか。」


 試練の塔の外に出ようと移動を開始して少し経った頃に腰まである背丈の草むらからガサガサと音がした。


 すぐに草むらに向けてマサキは槍の穂先を向けて槍を構える。


 「なんだ、スライムか。な、3匹!」


 草むらから出て来たのはスライムだった。でも3匹も出て来たのに驚く。ここまで2匹同時に戦うことは数回あったが3匹は初めてだからだ。


 【倍加】で威力を倍にすれば簡単に倒せる相手であるスライムだが、ここまでの戦闘での体力の消費もあって連続3回も倍加して戦うのは少し厳しい。


 でも【倍加】を使わずに戦うのを考えると3匹同時に相手にするのは【倍加】を使うくらいに体力を使う様な気がする。


 「考える暇もないか!」


 スライムたちはマサキが考える暇も与えずに攻撃を仕掛ける為に飛び跳ねて接近して来る。


 「もういい!一気に片付ける!!【倍加】だ!!」


 マサキは【倍加】を使用すると一番距離が近いスライムを叩き潰して一撃で殺すと、残りのスライムたちから距離を取る為に背後にステップする様に後退する。


 「危な。もう少し飛ぶのが遅かったら当たってたな。」


 先ほどまでマサキがいた場所に向かって体当たりを仕掛けるスライムたちの姿がそこにはあった。


 あと少しで攻撃を受けるところだったと安堵しながら着地した瞬間を狙ってもう一度倍加した振り下ろしの攻撃でスライムを仕留める。


 「2回連続は体力使うな。でもこれであと1匹だ。」


 残りのスライムは【倍加】を使わずに刺突で傷付けながらスライムの動きを鈍らせる様にして仕留める。


 こうして3匹のスライムを倒したマサキだったが、これまでの【倍加】を使用した戦闘もあった事で消耗した体力を回復する為に少し高い体力回復用の魔法薬を服用した。


 それから何度かの戦闘があったが同時に複数体の敵を相手にする様な戦闘は起こらずに無事に試練の塔から脱出するのだった。

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