11話
ボスエリアの逃走からマサキは、今のままだとボスモンスターの巨大野犬には勝てないからと修行をすることにした。
ステータス能力値を育て、戦いの経験自体を積むために、マサキは野犬エリアで数多くのモンスターを相手に戦った。
ある時はラビット5匹に囲まれて魔力弾を使わずに槍と格闘だけでラビットを倒して。
またある時は野犬4匹を近くの距離で魔力弾だけで野犬の群れを倒したり。
またまたある時は倍加した身体能力に慣れる為に常に倍加した状態で野犬エリアを全力で走りながらモンスターを倒したりなど。
とにかく強くなる為にモンスターを倒して倒して倒しまくり、その結果5つほどステータスオーブを手に入れたり、初めてスキルスクロールを手に入れたりもしていた。
そしてこれが今のステータスだ。
ステータス
レベル3
生命力11
体力23
魔力12
筋力14
耐久力17
精神力12
敏捷15
器用14
固有スキル 【倍加】
アクティブスキル 【魔力弾】【魔力鎧】【】【】【】【】【】【】【】【】
パッシブスキル 【】【】【】【】【】
かなりステータスの能力値は成長したし、新しく手に入ったスキルスクロールを鑑定した結果、スキルは魔力鎧という魔力を全身鎧として身に纏うスキルだったから取得した。
魔力だから重さのない全身鎧の装甲は衝撃を通してしまうが野犬に噛み付かれても魔力の鎧を貫通することがないくらいには防御力があった。
ステータスオーブは何に使ったのかと言えば体力、魔力、耐久力を上げる為に使った。
体力は倍加を多く使える様にする為に。
魔力は魔力弾や新しく手に入った魔力鎧を使うのに多く必要になるから。
耐久力は身体能力を2倍にした時に掛かる負担を少しでも軽減する為に。
この様な理由でマサキはステータスオーブを3つの能力値に使った。
この2週間の修行で強くなった今なら巨大野犬も倒せると思いたいが、どうもあれから更に巨大野犬のことを調べたのだが、巨大野犬を倒した者たちの平均レベルが4レベルなのだそうだ。
しかも平均4レベルの探索者が5人のパーティーでの話らしく、ソロで巨大野犬を倒すとしたら能力値が最低でも15は全部上がってないと倒すのは難しいとの話だった。
この情報を知ってマサキはすぐにでも巨大野犬を倒すのを止めることにした。
まだ早いと思ったからだ。
そしてこうも思った。
なんで10年で30階層しか進めていない、と思っていたのは間違いで、これでもだいぶ早い方なのではないかという事を。
ここまで強くなるのにもここまで時間が掛かったのに、30階層までの攻略をしようと思ったのならどれだけ時間が掛かるのだろうかと。
「ここで普通なら倒せるくらいまで強くなったからボスと戦うよな…………でも、それでいいのか?……無茶だとしても、ここでボスに勝つ方がいいんじゃないか?」
例え無理なことだとしても、ここで無茶をして乗り越えれば、更に強くなれるんじゃないかと。
ステータスの能力値だけじゃない。
マサキ自身の存在が強くなる為に必要なことなのではないかと。
そう思うのだ。
マサキは考えた。
ここで無難に強くなってから挑戦して壁を乗り越えるのか、それとも無茶をして壁を殴り壊して前に進むのかを。
考えて。考えて。考えて。
そしてマサキは決断した。
「行こう。例え無茶だとしても俺は前に進む。俺が一番最初に試練の塔の頂上に登ってやるんだから!」
ボスモンスターの巨大野犬と戦う覚悟を決めたマサキはボスエリアの中に入って行った。
ボスエリアに入ったマサキはボスモンスターの巨大野犬に目を向ける。
「ウォオオオオオーーーーン!!!!」
戦闘直後の巨大野犬の遠吠えからマサキのボス攻略は始まった。
「「「「「ウォオオオーーン!」」」」」
野犬たちの遠吠えも聞こえてくる。
「まずは俺からの先制攻撃だ。喰らえ!!威力倍加魔力弾!!!」
威力を2倍にした魔力弾が遠吠えを終えたばかりの巨大野犬に向かって放たれた。
巨大野犬は倍加魔力弾を見てすぐに反応すると、向かって来る魔力弾の射線から離れた位置に移動しながらマサキの方へと向かって行く。
「チッ、魔力弾のスピードじゃ避けられる。」
それに巨大野犬との距離が離れ過ぎたのも問題だったか、と反省しながらマサキは魔力鎧を身に纏ってから身体能力を倍加して巨大野犬との距離を詰める為に駆け出した。
マサキと巨大野犬との距離はお互いが近付いている為にどんどんと縮まっていく。
マサキの槍の攻撃範囲に巨大野犬が入るのと同時に、先に攻撃範囲がマサキの槍よりも広い巨大野犬からの攻撃がマサキを襲う。
太い腕から繰り出される鋭い爪を持つ前足がマサキに振り下ろされた。
2倍に高まった身体能力で巨大野犬の前足の振り下ろしを回避する。
巨大野犬の前足が振り下ろされた地面はひび割れを起こして震動と衝撃波がマサキを襲うことになる。
震動でバランスを崩しそうになりながらも耐えているところに衝撃波までマサキを襲うのだが、そこを槍の石突を地面に刺してなんとか耐える。
揺れと衝撃波に耐えるマサキに巨大野犬は更なる攻撃を仕掛けてきた。
口を大きく開けて噛み付きを行なおうと巨大野犬はしていたのだが。
大口を開けている巨大野犬の口に槍から片手を離したマサキは手のひらを向けて叫ぶ。
「2倍魔力弾だっ!!」
大きさを2倍に倍加させた魔力弾が巨大野犬の開いている大きな口の中に入って行くと、そのまま2倍サイズの魔力弾は巨大野犬の口の中に消えていく。
マサキに大口が迫っていたが、その前に2倍サイズの魔力弾が巨大野犬の口の中で炸裂することになった。
「ギャウゥンッ!??!?!!!?」
魔力弾で傷付いたのだろう。口から血を吐き出しながら巨大野犬は仰け反って一歩、二歩、三歩と後退して後ろに下がっていく。
更に追撃を。
マサキは槍を片手に巨大野犬に追撃を仕掛けようとした時に背後から迫って来る存在に気が付いた。
即座に槍を後ろに向かって身体を回転させながら横に薙ぎ払う。
手応えがあった。
槍の穂先に切り裂かれた野犬が1匹。
更にその後ろには4匹の野犬が唸り声を出しながらマサキに迫っていた。
前門の巨大野犬、後門の野犬5匹。と言ったところだろう。
優先順位は巨大野犬だが。
巨大野犬と戦っている時に野犬たちに邪魔されるのもかなり不味い。
今なら巨大野犬もすぐには動けないのだから今のうちに野犬の群れを倒してしまおう。




