4 手伝いなさいよ
さて、どうしたものか?
……そうね。まず大切な事は……
取り敢えず、購買に行って“栄養ドリンク”を買って来た。だって、あの娘何も食べないで昼休みを作業の時間に充てるつもりなのよ?きっと、優等生なソフィリアは授業時間中に早弁ならぬ遅弁をすることだって出来ないまま真面目に授業をするわね。
なんて、考えていたらソフィリアの教室であるA組に辿り着いた。
「ほら、飲みなさいよ。買って来たから。」
ソフィリアにも堂々と他クラスに入るこの図々しさを見習って欲しいものね。
「まぁ、わざわざ有り難う御座います!もう少しで終わりそうですから、全部終わってから頂きま……
「今飲め。」
……すわ……」
ソフィリアの言葉を遮って言う。
ソフィリアの元へどしどしと乗り込み、作業の中身を見ると……なるほど。流石は優等生ね。確かに作業の殆どを終えている。だが、やり終えたプリントの束を見ると凄まじい。
1人でこれだけの量を……
「あと、ちょっとなんでしょ。私がやっとくわ。だから、あんたはそれでも飲んで休憩でもしてれば?」
と言って、私は腕を捲る。
「ねぇ、セリアンヌさん?今はソフィリアさんが作業中ですし……」
困った顔をするソフィリアに助け舟を出そうとA組の人間が私に声をかけた。
案に邪魔だ、と言いたいのだが言葉はとてもマイルド。なんやかんや言いつつ、ソフィリアのおかげで『人の婚約者を奪った女』である私は特に虐められて無いのだ。あるとしても、普通に私と気の合わない奴のみ。
「あらそう。あなたにもソフィリアが忙しそうに見える訳ね。なら、何故手伝おうとしないのよ?」
「だって、私達がいたら邪魔になっちゃうし…ねぇ?」
そう言って、私に声をかけた娘は皆にも賛同を呼び掛ける。そして「そうだよなぁ〜」「うん。邪魔しちゃ悪いし…」それに応える面々。
「セリアンヌさん、私なら大丈夫ですわ!」
あまり状況はわかってる様では無さそうだが、悪い雰囲気を感じとったのかソフィリアは立ち上がる。が…
「大丈夫じゃない。」
私が一喝した。
「確かに得意不得意の問題がある中でそれを得意とする人間に物事を任せることは間違って無いわ。」
それなら何か問題でもあるのか?と不思議そうにするA組面々。
「でも、あんた達はソフィリア1人に任せすぎ。なんでも得意でなんでもやってくれるソフィリアを便利な道具として使用してんじゃないわよ。」
「セリアンヌさん!私、本当に大丈夫ですから…」
「なによ、じゃあ、あんたは他の子が“手伝う”って言ったら断る気?」
「そんな事ありませんわ!せっかく、気を使って下さってるのに断るだなんて…!」
はっきりと、彼女にしては大声で否定をした。
「そう。気を使われるって嬉しいことよね?だっ、て。本人がそう言ってるけど?」
若干気まづそうにするA組面々。
うん、まぁ。わかってるなら良いわよ。
「取り敢えずさ、私が下手にお節介やいちゃったせいで時間が無くなってきちゃってるんだ。このままじゃ、次の授業までに間に合わないわ。
……手伝って貰えないかしら?」
そう言うと、皆は次々と動き出した。
「えーと、何をやれば良いですか?」「あ、確か地図を持って来るようにも頼まれてたよね?私、取りに行ってくるよ!」「うーんと、あ!確か、いつもソフィリアさんって黒板を綺麗にしてくれてるよね?今日は私がやりまーす!」「あ、じゃあゴミ捨ては俺が……」
……うん。お前、頼まれても無いことまでやってたのか……。
そんな動きがアクティブとなっている中、若干どころかかなり気まずそうにボ〜っとしてるソフィリアに近づく人間が数人いた。
「あ、あのさ。この間、頼んだことなんだけど…やっぱり大丈夫。もう少し、自分で考えてみるから……!」
「わ…私も!……でも、それでも上手く出来なかったら…また、頼んでも…ううん。手伝って貰ってもよいかな?それで、自分で出来る様にしたい…かな。」
自分に話かけられてることにハッとなって「はい!勿論協力させて頂きますわ!」と軽やかな笑顔で言った。
……まぁ、そんな様子を見届けて私は自分のクラスへと戻った。……。何よ。私だって、手伝ったわよ?私がやるのは書類まで。何で、私が他クラスの雑用までやんなきゃいけないのよ。あいつ、やらなくても良い時間に教室の掃除までやってたそうよ?
てか、結局昼ご飯食べれたのかしら?
皆がやってるのを見て「皆様だけにやらせるなんて…」「いーよ、いーよ」「でも……!」だなんて茶番劇をしてたけど。
あー、疲れた。さ、寝る時間(授業中)にでもしますか。
基本的にA組面々は良い子達なんです。
セリアンヌはなんやかんや姐御肌…




