3 お人好しのバカね
「はい、これは眠気覚まし用のドリンクですわ。あと、気持ちがスッキリする香水に〜…………(略)…………ですわ!」
ソフィリアから大量の眠気覚ましグッズを貰った。よくまぁ、こんなに沢山見つけて来たものだわ。
「げ、なにこれ。これ、地域限定のものとか期間限定のまであるじゃない!……賞味期限とか大丈夫でしょうね?」
「大丈夫ですわ、全部確認致しましたから。……これらは、お友達達に頂きましたの。」
あんたの人望半端ねぇーな。
私よりヒロインしてるじゃないのよ!
「さぁ、これで午後から授業の準備はバッチリですわね!」
……午後。
そう、今は昼休み。
昨日頑張る宣言をした私だが、午前中の授業……ふつーに寝てしまったのだ。いや、普段寝てたからつい…
……って、話を私のクラスメートに聞いたソフィリアは(私とソフィリアはクラスが違う)これらグッズを集めて来たのだ。そして、昼休みが始まる瞬間に私を屋上に呼んでグッズの紹介を始めた。
いつ集めたんだ?と疑問に思いつつ昼ご飯用に作って来たパンを食べる。
「では、頑張って下さいね!」
そう言って、屋上から出て行こうとする。
「なによ、あんた昼ご飯持って来てないの?私の分あげてもいーわよ。」
「あ、いえ。えーと、有り難う御座いますわ。でも、まだ頼まれてる書類の作成が終わって無いんです。」
「はぁ?昼ご飯すら食べれない位に切迫してるの?」
「えぇ、次の授業で皆様にお渡しする予定のプリントの作成“も”ありますので…… 遅れる訳にはいきませんわ。」
授業で渡すプリント?
「って、ちょっと待って。頼んだのつて先生⁈何で、あんたが授業の準備をするのよ?それに、“も”って何?他にも何か押し付けられてるの?」
慌てて聞くと、困った様な顔をしながらも「先生、ちょっと他にやらなきゃいけないことがあるみたいで…。他の子も同様ですわ。……でも、引き受けたからにはきちんと遣り遂げたいんですの!」と、ヤル気を見せたい。
アホだ。こいつマジでアホだ……。
ここは、実力を重視する学園。
しかし、貴族が集められる学園でもある。実力は重視するが、全員に実力がある訳では無いので当然今迄貴族というだけでチヤホヤされてたお坊ちゃん達は自分より上がいるという事実によってダレることになる。
最初からダレてる私が特に目立たないのはその為だ。(……ほら、よく貴族の学園生活を小説化した話で可愛いヒロイン的存在が勉強を真面目にしなかったら悪目立ちしてるでしょう?)その点、私にはもっと下がいるからプライドの面でも良かったと思ってるわ。
「あんた、めちゃくちゃパシられてるじゃない!クリミオは?知らない訳ないわよね?……とめられなかったの?」
私が奪ったソフィリアの元婚約者のクリミオは、何してたのよ!
「いいえ、クリミオ様は「頑張って」と応援して下さいましたわ。……では、行って参りますわね。」
…………。
……「頑張って」……ですって?
私が不覚にも好きになってしまった男はとことん最低な男らしい。
……屋上に残された沢山のグッズを見る。
いいわ、誰も止めてあげないなら私が止めてやる。引き受けるソフィリアもソフィリアだけど、
ーそんなに仲が良い訳でも無い私の為にすら奔走するお人好しのバカー
それをわかって頼む奴らもありえないわ。




