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第14話 ハンバーグ

時期は空いてますが、ちょっとずつ投稿していきたいと思ってます。


 時刻は夕時。スーパーでお節介に朝霧に夕飯を提案され、それをすべて却下した俺は今日の夕飯を作り終えていた。今日のメニューは、全国共通してお子様はみんな大好きハンバーグだ。……余談だが、凪沙は子ども扱いすると怒る。

 で、ハンバーグを作ったのはいいんだ。人生初挑戦だったけど、結構手際よく作れたとおもうよ?うん。でも、手際が良かったからと言って完成度が高い物が出来上がるわけではなくて、なんだ、その……焦がしちゃった。

 いや!全部焦がしたわけじゃないよ!鉄板熱地獄から無事生還したハンバーグもちゃんといるわけでして!……


 といった具合に初めてのハンバーグと死闘を繰り広げた俺だが、失敗したものを凪沙に食べさせるわけにはいかず、俺が失敗品を食べることに。凪沙が食べたくないと言ったわけではなく、俺が許せんだけ。凪沙は優しい子だから、きっと焦げたやつでも文句一つ言わずに食べるだろう。


 今日の夕飯がハンバーグだと聞いた凪沙は、お茶と箸をすでに準備してテーブルで待機中。最初は「私も手伝う!」と張り切っており、手伝ってもらっても良かったのだが、俺のハンバーグ初挑戦というちょっとした意地で一人でつくってみたかったから断った。それからというもの、凪沙はちらちらとこちらの様子を伺いながらおとなしく待っている。ちなみに、凪沙の座っている位置からは俺が調理している手元は見えていないから、ハンバーグが失敗したこともばれていない。


 俺が完成させたハンバーグをテーブルに移し終わり、凪沙と声を合わせて「いただきます」と言う。凪沙の目の前にあるハンバーグは俺のより量が少ないものの、見た目はバッチリ。それに比べ、俺の目の前にあるハンバーグは凪沙より量が多くて黒い。


(……まずい)


 感想以上。だが俺は気づく。焦げた表面はがせば食えるか?

 誰もが普通に思いつくことだが、これに気づけたときはかなり嬉しかった。子供だけじゃなくて大人もハンバーグは好きなわけでして、俺も例にもれずハンバーグは好きなわけでして。

 そうして食べたハンバーグはおいしかった。一応凪沙にも感想を聞いてみる。


「おいしいです!」


 ありがとう凪沙!その言葉だけで俺はこれからもやっていける!


 俺は食事はゆっくりとる派だ。凪沙はハンバーグが本当に好きだったのだろう。ハンバーグばっかり先に食べてご飯とサラダが余っている状況だ。凪沙もそれに気づき、少ししょんぼりしている様子。そんな姿を見れば、放っておけなくなる俺は父性?に目覚めつつあるのだろうか。焦げた表面を綺麗にはがしたハンバーグを凪沙のさらに移す。凪沙は顔を明るくしたものの、すぐに俺に問う。


「いいんですか?」


「今日の俺は腹の調子が悪いんだ。だからやるよ」


 俺がそれを言った途端、凪沙は何やら疑問符を頭の上に浮かべていた。もちろん腹が痛いなんてのは嘘なんだが、意味が伝わらなかったハズはない。一体どうしたのだろうか。


「学校でも同じこと言われました」


 ほほう。そう言えば、凪沙の学校での話は聞いたことがなかったし俺の学校の話もしたこともなかった。といっても、俺も凪沙も新学期始まってまだ1日目だけどな。……入学式入れたら2日目か?でも入学式は新学期として数えるのか?よくわからん。

 なんにせよ、凪沙の話に興味を持ったから聞いた。給食で失敗した話とか、凪沙の友達の話。俺と同じことを言ったやつが男だと聞いて、俺はそいつのことが気になった。もしそいつが俺と同じ理由で凪沙にカレーを分けたのだとしたら……親バカになった気分だ。凪沙はやらんぞ!とか思ってしまった。

 今度は俺の話をした。彦摩呂と総司の友達が2人……いや、3人できたこと。その他、今日あったことをいろいろと。


「あ、そうだ。秋人さん、今度の土日に友達を呼びたいんですけど……いいですか?」


「いいけど、日曜日な。土曜日は絶対に空けといてくれ。凪沙と一緒に行きたい場所があるんだ」


 凪沙は、俺の言った一緒に行きたい場所、というのについて少し考えた後、了解してくれた。

 その後、凪沙は少し困った表情で俺にこんなことを聞いてきた。


「それで……あの、私の両親の事を友達に話すか迷ってるんです」









 夜、寝る直前の時間。俺は明日の朝食と弁当の分の米を研いでいた。それと同時に、やっぱり凪沙のことを考えていた。夕飯の時に相談されたこと。やっぱり凪沙と俺は似ているのだろうか。俺も小学生の頃、今の凪沙と同じ悩みを抱えていた。しかも俺は転校生だったから妙に興味をもたれて、いろいろと聞かれまくった。心配をかけたり気を使われるのが嫌で、伯父さんと伯母さんを自分の両親だと嘘をついたけど、苗字が違うからすぐにばれた。保護者会に来なかったのもばれた理由の一つだ。隠していたっていつかばれる。

 だから俺はその経験を生かして凪沙に助言を与えた。それが最善かどうかは分からないけど、結局は凪沙次第だ。

 不安は残るけど、凪沙なら大丈夫。あの子は強いし利口だ。……と、俺の考えを押し付けるのは良くない。凪沙だってまだ小学生で、まだまだ子供。難しく考え込んで抜け出せなくならない程度に助けよう。


(……ホント、親ばかだな。俺。……いや、年齢的には兄妹か。親戚、じゃなくて、今じゃ義妹なんだし。……じゃあシスコンか?……え?俺ってシスコンなの?え?)


 とぎ汁は透明だった。





 

 現在は朝5時30分。10分前に鳴ったアラームという名の心強い味方と共に襲いくる睡魔から何とか勝利をもぎ取り、俺は朝食を作っていた。

 俺は毎日朝食を作っているが、別に俺は食べなくても問題はない。むしろ、中学生の頃は食べない派だった。俺を引き取ってくれた伯父さんの家には、リアルに使用人という存在がいた。セバスチャンとかそれっぽい名前だったら面白かったんだけど、普通に鈴木さんだった。食事は伯母さんが作るのではなく、その鈴木さんが作ってくれていた。でも、俺は食べなかった。朝は食欲がない、ただそれだけのことだ。だから俺は高校生になって一人暮らしを始めても、朝食を食べる気はなかった。もし腹が減っていたとしても、学校に行く途中でコンビニでなんか買って、学校で食べるつもりでいた。だから、こんなに早い時間に起きる必要もなかったはずだ。鈴木さんはもっと早く起きて、4人分の食事を作っていたのだと思うと、尊敬を覚える。それと同時に、俺の分の朝食も作っていてくれていたのに食べなかったのが本当に申し訳なく思う。今度会うことがあったら誤っておこう。それと、感謝の気持ちも伝えなければ。

 話は戻って、そんな規則正しい生活をする気もなかった俺が早起きして朝食を作っている理由はただ一つ。凪沙のためだ。

 朝食食べない派だった俺の言えたことではないが、朝食は大切だ。一日の始まりにエネルギーを摂取することで、その日一日の脳の働きは格段に上がる。……と、鈴木さんが言っていた。とにかく!まだ小学生である凪沙には、ちゃんと生活習慣を正しくしてほしい。世の中には生活習慣病と言う恐ろしい病気もあるからな。余談だが、生活習慣病は昔『成人病』と言われていたが、成人以外でも発症することから、生活習慣病と言う名前に変わったのだ。これも鈴木さん情報。

 「お前そればっかだなぁ」と言われても言い返せないくらいに、俺の家での行動理由は凪沙のためになってしまっている。なんにせよ、凪沙の保護者になると決めた以上は、俺がだらけるわけにはいかない。

 だから昼飯もコンビニで済ますつもりでいたのを改めて、朝食のついでに弁当も作るようにしている。昨日の夕飯の余りを筆頭に、だし巻き卵を作る程度だ。後は冷凍食品を少し詰めるだけで、とても簡単で時間もあまりかからない。

 でも、これらが苦なわけではない。そりゃもちろん、もっと寝ていたいとは思うが、最近はいつもスッキリした気分だ。規則正しい生活というのは、するのは難しいが、できた時の効果は絶大だと思う。


 そんなことは置いといて、今日の朝食は至ってシンプルに、焼いた鮭と味噌汁とご飯。味噌汁の具もシンプルにわかめと油揚だったが、野菜類が少ないのに気づいて玉ねぎを入れた。


 一方で凪沙はというと、眠たそうに挨拶をしながらダイニングへと入ってきた。かわいらしいピンクのパジャマを着ている。かくゆう俺も、まだ寝巻姿だ。凪沙のに比べると、かわいらしさのかけらもない、真っ黒の寝巻。男の俺がかわいらしい寝巻を着ていてもキモイだけなんだけどね。とりあえず俺も「おはよー」と返しておく。

 いつもならここで俺がテーブルの上にいろいろと用意をするのだが、今日はちょっと違った行動をとった。


「凪沙~。ちょっとおいでー」


 俺が凪沙を連れて行ったのは洗濯機のある部屋。洗面所と洗濯機が一つにまとまっている風呂場の更衣する部屋だ。

 昨日、学校から帰ってきたら凪沙に洗濯機の使い方を教えてくれと頼まれた。なんでも、俺が寝坊しても大丈夫なように、一人で家事をこなせるようにしたいとのことだ。俺の負担をなるべく消そうとしてくれているのがすっごく嬉しい。ならば断る理由などどこにもない。むしろ積極的に協力しようと思う。

 昨日教えてくれと頼まれて、教えた。だから今日は、昨日教えたことのテストみたいなものだ。俺は凪沙に聞かれるまで黙って見守り、凪沙自身の力だけでやらせる。まあ凪沙は物覚えが良いから、完璧に覚えていたのだが。といっても、凪沙が洗濯機を動かす機会はそうそうない。いつも俺が朝食を作る前に洗濯機を回しているのだから、あるとしたら俺が寝坊した日くらいだろう。今日はテストのために凪沙にやらせただけだ。


 さぁ、そろそろ朝食を食べようか。

 俺と凪沙は声を合わせて言った。


「「いただきます」」


 今日も一日が始まる。



 『とぎ汁は透明だった』という表現は、それくらいになるほど、長い時間考え事をしていたということです。


 まだ物語がはじまてから1ヶ月も経っていませんが、最初の方は、キャラ設定とかをわかりやすく伝えるためにも、日を刻んでいきたいと思っています。


 さて、今回はいいかんじのほのぼのがかけていたでしょうか?読者様がほのぼのとしていただけたなら、私としてもとても嬉しいです。


 次回は、また秋人の学校でのお話です。朝霧との話ですね。


 友達に、「朝霧は『涼宮はるひの憂鬱』の朝倉のイメージ」と言われました。・・・違いますよ?

 

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