↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ᖯ ᥣ ᥱ ᥉ ᥉' — 異世界の祝福  作者: Apostrofo
第1章 —「奇妙な再出発」
4/6

4ページ目 — 「嘘の始まりと終わり:疲れ」

「誰かに『今日はどうだった?』って聞かれたことある?」






「タツ。」




「タツ!」




「タツ ナカガリ!」




辺りは真っ暗だった。タツは不意に目を開けた。机の上にはノートや勉強道具が散らばり、唾液の跡も広がっていた。おそらくさっきまで眠っていたせいで、彼は少しぼんやりしていたが、それでも頭を上げ、座るべき正しい姿勢を保った。視界はぼやけていて、明るさと色が混ざり合い、混乱を招いているようだった。白と黒さえ区別できなかった。顔つきもあまり良いものではなかった。目はわずかに閉じられ、頬はくしゃくしゃで、唇はひび割れていた――水をあまり飲んでいなかったのだ。周囲の人々は、まるで彼が迷惑な存在、望ましくない人物であるかのように彼を見つめていた。もちろん、それは予想通りのことだった。




数秒が過ぎると、視界が徐々にはっきりし、体の動きも少しずつ正常に戻ってきた。




「タツ、トイレに行って顔を洗ってきなさい。授業中にいつも居眠りしているようでは、ご両親に話さなければならない」




すっかり年老いて、もう長くは生きられそうにない教師は、心配そうな口調でそう言った。しかし、彼とは対照的に、他の生徒たちは互いにささやき合っていた。それはおそらくタツへの嫌悪感に他ならない――少なくとも、そう見えた。彼らの視線や表情がそれを物語っていた。




「さあ、面倒をかけないでくれ、坊や」




年老いた教師はタツを立ち上がらせ、教室のドアまで付き添った。




「あまり長くかからないでね、いいかい?」




そう言うと、彼は教室に戻り、中に入った途端にドアを閉めた。




タツは一人で学校の廊下を歩いた。床は青く、壁は白く、建築様式はモダンだった。




歩きながら、彼は右手を目の上に当て、目をこすっていた。その足取りは決して正確ではなく、決まったリズムもなかったが、確かな目的があった。




男子トイレのドアの前に着くと、彼は必要な動作を済ませ、ゆっくりとドアを開け、同じように閉めた。




トイレは比較的広く、6つの個室があった。壁際には3つの蛇口が付いた大きな洗面台があり、その上には、いくつかひびの入った大きな鏡が掛かっていた。何しろ男子トイレだ。そういうことはよくあることだ。




鏡に映った自分の姿を見たタツは、ただ長くあくびをした。




「なんて奇妙な夢だ……」




そう呟くと、タツは洗面台に近づき、蛇口の小さなハンドルを回した。すると、室温の水がパイプを伝ってタツの手元に流れ込んできた。水は透明だったが、わずかに輝いていた――その場の照明のせいかもしれないし、水そのものの性質のせいかもしれない。水は彼の手を伝って流れ落ちたが、すぐにまた手を満たした。それはごく普通のこと、当然のこと、自然なことだった。




そして、頭に合わせて体も動かしながら、体の他の部分を濡らさずに顔を洗える程度に身を屈めた。顔を数回水で洗った。それほど多くはなかったが、彼にとってはそれで十分だった。




終わると、彼はもう一度バルブを回したが、今度は逆方向に回した。すぐ横にはペーパータオルのディスペンサーがあり、そこから数枚取り出せばよかった。いくつか引き出して使えばいいだけだった。そして彼はまさにそうした。ナプキンを手に取ると、顔と手を優しく拭いた。すぐに済むはずのことだった。それなのに、妙に時間がかかっているように感じられ、まるで時間がまったく進んでいないかのようだった。




「眠い……」




タツは、あまり時間をかけないように言われていた。先生に失礼な振る舞いをするのは正しくない。授業中に寝てしまっただけでも十分なのに、これ以上どれほど先生を不快にさせようというのか。タツがタツであるだけで十分なのに、これ以上何が悪いことになり得るだろうか?




そう考えながら、彼はトイレのドアへと向かい始めた。ドアは白く、取っ手は銀色で、学校ではよくある色と色合いだった。取っ手に手をかけると、少し傾けてゆっくりと引いた。そして、予想もしなかった光景が目の前に広がっていた。そこにあったのは、子供の頃に両親と暮らしていた家の廊下だった。




最初は疲れ切ったような表情だったが、次第に困惑した表情を浮かべ、目を少し見開いた。彼の視界には、最初は二つの色が広がっていた。右側は、普通の夜のような濃い青。左側は、まるで揺れ動いているかのように、明滅を繰り返す黄色がかったオレンジ色だった。さらに、そこから何かが調理されているような音が聞こえてきた。




「えっ……?」




驚いて、タツは後ろを振り返った。まだドアノブを握っていたが、自分がどこにいるかに気づくと、すぐに手を離した。彼は自分の部屋のドアのすぐ前に立っていた。そこには自分のベッド、クローゼット、本棚、そして写真立てがあった。




「何だ?」




窓から差し込む光はいつもと同じで、月が太陽から奪ったものだった。




何らかの理由により、タツは背筋に激しい寒気を感じ、鳥肌が立つほどだった。冷や汗をかき、体が少し震えていた。一瞬、周囲のものがすべて引き伸ばされ、巨大になったように見えた。しかし、すぐに元の状態に戻った――たとえ一瞬でも、これを「普通」と呼べるかどうかは別として。




彼は息を切らし、まだ汗をかいたまま、自分が自宅にいることに気づいた。そして再び廊下へと視線を向けた。そこには、二つの明かりと物音、すべてがまだそこにあった。しかし、何かがおかしかった。彼がその家を訪れたのは、もう何年も前のことだった。父が逮捕された日から、彼は叔母の家に引き取られていたのだ。そして、18歳になるまで、その生活が続いていた。




「僕……すごく眠い……一晩中起きていたんだから、当然か……」




そう言うと、タツはさらに数歩前進した。




「おばさん…?」




タツはゆっくりと廊下の中央まで歩いていった。光の差し込む場所――彼の知る「台所」――へ顔を向けようとした、その瞬間、一本の木が目に入った。




タツは丘の上にいた。時刻は正午で、丘の中央には一本の木が立っていた。周囲は数多くの木々に囲まれており、つまり森だった。




その光景は、異世界で初めて目を覚ました時のものと、少なくとも一部は同じだった。ただ、今回の森は、視界の届く限り、四方八方に果てしなく広がっていた。




「俺……最初からここにいたのか?」




タツはもう一度目をこすり、またあくびをした。




ほどなくして、彼は地面に横になり、頭を木の幹に預けた。そうすると、ただ空を見つめるだけだった。空は青く、月も太陽もなく、雲さえもなかった。その景色の中で動いていたのは、木々の葉やタツの髪を揺らす風だけだった。




「たぶん……ちょっと昼寝してもいいかな……」




彼はゆっくりと目を閉じていった。不思議なことに、そうしているうちに、地面や木から伝わる振動の頻度が、指数関数的に増していくのを感じた。しかし、彼はそれを全く気にも留めなかった。




「人生の意味とは何だ? 若者よ」




タツは驚いて、わずかに身を起こし、木から聞こえてきた声の方を振り向いた。細部に注意を向けると、そこには老人の顔のようなものが浮かび上がっていた。目は閉じられ、鼻は長く、口が動いているように見えた。




「えっ?」




「人生の意味とは何だ? 若者よ。」




木はもう一度そう言ったが、今度はタツが自分の目で口が動いているのをはっきりと見た。その声もまた、何世紀も生きてきたかのような、老いた男性の声だった。それにもかかわらず、タツはさらに後ずさりすることにためらいはなかった。




「お前、何者だ?!」




困惑した表情を浮かべながらも、勇敢とも――あるいは無謀とも――言える態度で、タツは木に声をかけた。




それは苦痛に満ち、奇妙で、非現実的だった。木は片目を開き、タツを横目で見た。




「木。若者よ」



木は、まるで自己紹介でもするかのようにそう言った。



「え? 何て言った?」



タツは地面についた片腕に力を入れ、立ち上がろうとした。



「私の名前は『木』だと言ったのだ、若者よ。」



その存在――そもそも、それを存在と呼べるのかも分からないが――は、自らを「木」と名乗っていた。それでも、どういうわけか説得力があるようには思えなかった。少なくとも、タツにはそう感じられた。それでも、どういうわけか説得力があるようには思えなかった。少なくとも、タツにはそう感じられた。




「ちっ」




困惑し、同時に途方に暮れたタツは、くるりと振り返った。しかし、広大な森を目の当たりにしたとき、自分が来たはずの場所はもうそこにはなかったことに気づいた。タツは何度かまばたきをしただけで、すぐにうつむいた。




「待て、若者よ」




木がそう言った。しかし、木が話を続ける間もなく、タツはそれを遮った。




「何の用だ? 時間を無駄にしたくないんだ、叔母さんが待ってるんだ。」




タツの声には少し怒りがにじんでいた。その口調からそれが伝わってくる。




「少し話をしよう、若者よ」




それを聞いて、タツは再び苛立ちを露わにした。




「正体を隠している相手とは話すことなんてない。ましてや木なんて。俺、本当に頭がおかしくなったに違いない……」




しかし、再び前を見渡すと、森が果てしなく続いていた。終わりは見えず、木々はどれも同じように見えた。




「正体……若者よ、自分が何者かということについて、お前は何を知っているというのだ?」




それに、あの丘はこの一帯で唯一のもののように見えた。ここにあるものは、空、風、森、丘、そして木、それだけだった。




「そういえば、どこへ行けるというのか? 意味がある場所は、この丘だけだ、若者よ」




その言葉を聞くのは辛かった。肉体的な痛みではなく、議論で言い負かされているような感覚だった。あの木の言うとおりだった。周囲と異なる特徴を持つ場所は、この丘以外にはなかった。




「君に頼まれたからやっているわけじゃない。他に選択肢がないからだよ。」




タツはその場に、木から2、3メートルほど離れた場所に腰を下ろした。腕を組み、どこまでも同じように続く景色を眺めていた。




「よし、これで満足だ。若者よ。」




そう言うと、木は微笑みを浮かべた。少なくとも、それは微笑みに見えた。もちろん、歯のない微笑みだったが。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。