105話 MMOは救世主
俺は
箱だけの世界に
嫌気が刺して
紡ぐノートを始めた
どこまでも広がる見た事が無い
広大な大地
そこを自由に生きられる
この
キャッチコピーは
パネラ「・・・
箱でしか生きられない
寝たきりの俺には
おそろしく魅力的だった
この
無意識に深く思考してしまうクセ
これのおかげで
9割強のボスと
チーム戦には
おそろしいくらい
有利に戦えた
アージュチームが
ゲルターチームを
倒してくれたおかげもあって
現在
チーム戦では1位なのだが
・・・現実は
・・・どうだ?
パネラ「・・・
・・・寝たきり
シエスは
俺の能力を
”うらやましい”と
言ってくれたが
俺から言わせれば
”普通に生きられる方が
うらやましい”
パネラの部屋
パネラ「・・・
見飽きた天井
この箱の世界しか
俺は世界を知らない
ベッドとは仲良しだし
この部屋とは
永遠のズッ友
パネラ「・・・
人と喋れるって
どんな感じなんだろう?
シエスが
たまに遊びに来てくれて
知らないってわけじゃ
ないけどさ
パネラ「・・・
明らかに
健常者と比べれば
この経験値は
大きく不足してるよなぁ
おかげで
社会と隔離されてるから
おそろしいくらいの
超世間知らずになったな
ネットも
自分じゃ
繋げる知識も
ねぇし
パネラ「・・・
紡ぐノートに出逢ってなかったら
なんの迷いもなく死を選んでたわ
パネラ「・・・本当
壊れた人間にとって
ネットゲームは
MMOは救世主だな
パネラ「ある意味
社会とも繋がれるし」
俺がずっと
紡ぐノートに
インしてる理由
身体がおかしくて
働けないのと
・・・箱だけの世界じゃ
・・・寂し過ぎて
・・・人の居る
・・・紡ぐノートで
パネラ「・・・寂しさを
・・・紛らしてるだけ
まあ
ニートなの?
って言われて
離れていくフレも
多く居たけどな
だから
フレ欄から
数値が減るのが
異常にこええんだよ
パネラ「・・・だから俺は
相当
心を許した相手くらいしか
フレにならねんだけどな
紡ぐノートの世界を見て思う
パネラ「・・・」
パネラ「・・・・・ここなら
俺は
箱の世界から脱出できて
”世界を感じられる”
パネラ「・・・紡ぐノートは
・・・MMOは
・・・俺の
・・・救世主なんだよ
紡ぐノート
やっぱ
パネっち~
一日中
インしてるわ~
クシャ「ニートじゃ
ないだろうけど~」
ユナハ「・・・でも
・・・遊んでばかり」
アージュ「・・・
・・・気になりますね
グレンハム森林公園
あなたなら
何か知ってますか?
シエス「・・・」
アージュ「答えたくないのなら
言わないでください
ただ
どうしてもパネラが
心配なのです
シエス「・・・
・・・心配して
・・・くれるのですね
アージュ「えぇ
だって
”相棒”ですからね
シエス「・・・
・・・良い人ですね
シエス「・・・アージュ
・・・ムリを承知で
・・・お願いがあります
現実世界
パネラ「・・・
いつもの見飽きた天井
ズッ友のベッド
敬愛の仲の
部屋と言う名の箱
パネラ「・・・なにひとつ
壊れて変わらないリアル
パネラ「・・・ハハ
・・・ステキだよ
・・・ステキ
パネラ「・・・」
パネラ「・・・俺は
・・・なんのために
・・・産まれたのだろうな
ピンポーン
パネラ「・・・ベルが鳴っても
・・・この身体じゃ
・・・玄関の扉を
・・・開くことも
・・・できやしねえ
パネラ「・・・お客さん?
・・・諦めてくれよ?
ガチャリ
パネラ「鍵を開けて入ってきたなら
家族か」
体調は
どうですか?
パネラ「シエスか?
今日はマシな方」
シエス「紹介したい人が居ます
アージュ・ルドウィンスです
パネラ「・・・
・・・は?
ミア「ついでに~
私も来ちゃった~
クシャの中身の人
ミアだよ~♪」
ユナハ「私も
来ちゃいました
ユナハです」
レーネ「初めまして?
なのかな
アージュの中の人
レーネです
パネラ「・・・
・・・どういうこと?
パネラ「・・・シエス?」
シエス「・・・
アージュにお願いして
パネラに逢ってくれないかと
パネラ「・・・」
シエス「紡ぐノートで
頼んだのです」
パネラ「・・・
・・・よけいなこと
・・・してくれるなよ?
シエス「・・・パネラ」
パネラ「・・・頼れる相棒が
・・・寝たきりの無様で
・・・幻滅しただろ?
寝たきりの
どこに幻滅する要素が
あるのですか?
パネラ「・・・え?」
アージュ「誰だって
事情はあります
パネラ「・・・」
アージュ「体調がマシな方なら
どこかに出かけませんか?
パネラ「・・・」
アージュ「車も
用意していますし
箱の世界の外を
見に行きませんか?




