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エーデルベルグの雪 ──北部山岳任務録──  作者: 有凪いちほ
特殊情報収集班:任務

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好きになる前のこと


 目を覚ましても、エレジはしばらくベッドから出なかった。

 カーテンの隙間から入る光は、普段ならとっくに身支度を終えている時刻のものだった。昨夜はカイルの部屋から戻ってすぐに眠ったはずなのに、身体を伸ばすと、長時間の移動で疲れた背中や脚がまだ少し重い。


 休養日の今日は、急いで起きる理由もなかった。

 布団の上へ出した左手には、海辺でカイルにつけてもらった指輪がある。室内の明るさでも、羽根を模した細い線の奥に光が入り、角度を変えるたびに銀が淡く反射した。

 昨日から何度も見ているのに、まだ見飽きなかった。


 午前中は、帰還後の片づけを少しずつ進めた。鞄に残っていた衣類を洗濯へ回し、持ち帰ったものをそれぞれの場所へ戻す。


 共有スペースへ下りたときには、ヨナスがコーヒーを飲みながら何かを読んでいた。マティアスはソファに身体を預け、エレジの顔を見るなり、まだ眠そうですね、と笑った。そう言う本人も普段よりずいぶんくつろいでいて、今日は誰も朝から動き回る気にならないらしい。カイルも少し遅れて顔を出した。


 昼食は簡単に済ませ、そのあとは特に予定を決めなかった。エレジは乾燥の終わった洗濯物を片づけ、カイルと一緒に写真を見たり、共有スペースでくつろいだりして過ごした。


 任務中は、次に何をするか、いつまでに準備を終えるかを常に考えていた。今日は時計を見ても、次の行動を決める必要がない。時間をそれぞれが好きなように使っていた。


     *


 厨房には、炒めたひき肉と玉ねぎの匂いが広がっていた。

 夕食の献立は、ほうれん草とひき肉のラザニアに、付け合わせのサラダだった。エレジが野菜を切っている間に、リヒターはひき肉を炒め、トマトソースの準備を進めている。


「今日は、ソースの仕上げもやってみる?」


「いいんですか?」


「ええ。前にも似たものを作ったでしょう。覚えてる?」


「はい。水分を飛ばして、少し濃いめに仕上げるんですよね」


「そう。重ねてからも水分が出るから、ここで緩すぎると切り分けにくくなるの。今日は任せるわ。途中で味を見せてね」


「分かりました」


 エレジは鍋を引き継ぎ、木べらで底から混ぜながらソースの状態を確かめた。


 以前なら、リヒターに次の工程を指示されるまで待っていた。今は献立を聞けば、必要な材料や作業の順序をある程度自分で考えられる。

 リヒターもすぐには口を出さず、エレジが何を見て判断するのか、隣で別の作業をしながら確かめてくれるようになっていた。


 男性三人は、夕食ができるまで少し身体を動かしてくると言って訓練室へ向かっていた。


 マティアスが、長時間座っていたせいで身体が固まったと言い出したのが始まりだった。ヨナスも付き合うことになり、カイルも二人に誘われて一緒に行った。本格的に負荷をかけるつもりはないらしい。


 エレジがソースをひと口味見すると、トマトの酸味と肉の旨味は十分に出ていた。ただ、このあと重ねるホワイトソースやチーズも考えると、もう少し味を整えたい。


「……もう少し塩を足したいです」


「どうして?」


「このあとホワイトソースやチーズと重ねるので、今のままだと少し味がぼやけそうです」


「いいと思う。少しずつね」


 エレジは少量を加えて混ぜ、もう一度味を確かめた。リヒターにも小皿を渡すと、彼女は少し考えるように味わってからおいしいと頷いた。


 ソースが仕上がると、二人でラザニアを耐熱皿に重ねていった。最後にチーズを散らし、リヒターが予熱しておいたオーブンへ入れる。


「これで三十分くらいね。あとは焼き色を見て決めましょう」


 三十分と聞いたところで、エレジは時計を見た。つられてリヒターもそちらを見る。


「三人、まだやってるかしら」


「見に行きます?」


「ええ。タイマーをかけておいたし、少し覗いてみましょうか」


 使い終わった調理器具を片づけ、オーブンの設定をもう一度確認してから、二人は厨房を出た。


 訓練室へ近づくと、マットを踏む音に混じってマティアスの声が聞こえてきた。


「今の、先に動いてましたよね」


「見えてから動きました」


「絶対違うだろ」


「僕の方が早かっただけです」


 扉を開けると、マティアスとヨナスがマットの中央に立っていた。二人とも上着を脱ぎ、少し離れたところではカイルが腕を組んで見ている。


「楽しそうね」


 リヒターの声に、マティアスがこちらを向いた。


「もうできました?」


「今、オーブンに入れたところ。焼けるまで少し時間があるから見に来たの」


「じゃあ、もう一回いいですかね」


「いいですよ」


 ヨナスも異論はないらしく、二人は軽く間合いを取り直した。


 マティアスが先に腕を取りに行き、ヨナスはそれを外しながら身体の向きを変える。マティアスが追うと、ヨナスは一度距離を取った。今度はヨナスから入り、マティアスがその動きを受けて足を入れ替える。


 互いの動きを探る時間がしばらく続いたが、最後はマティアスがヨナスの腕を制限し、身体の向きを崩したところで止めた。


「今のは俺でしょ」


「そうですね。最後は」


「最後は、って何」


「途中までは僕の方がよかったので」


 リヒターが笑った。二人とも勝敗をつけるつもりで始めたわけではないはずなのに、こうして組み合うと、どちらも自分がうまく動けたところは譲らない。


「二人とも元気ね」


「軽くやるつもりだったんですけどね」


 マティアスも笑いながら額の汗を拭ったが、まだ動き足りない様子で、次はカイルがヨナスと組んだ。


 エレジはリヒターの隣でその様子を見ていた。ヨナスが腕を取ろうとしたところで、カイルがわずかに身体を引き、逆にヨナスの腕を制限する。ヨナスはすぐに向きを変えたが、カイルはその動きについていかず、次にヨナスが足を置こうとした方向へ先に移動した。


 ヨナスの動きが一瞬止まり、そこでカイルが拘束を完成させる。


「参りました」


 拘束が解かれても、ヨナスはすぐにはマットの中央を離れなかった。自分が足を置こうとした位置を見直し、カイルの立ち位置と比べている。


「今の、そっちへ動くのを待ってました?」


「最初の向きで分かった。お前は腕を外すとき、先に足を決めるだろ」


「ああ……そうですね」


 ヨナスは納得したようだったが、エレジにはまだ少し分からないところがあった。


 ヨナスがどちらへ動こうとしたのかは見えていた。けれど、カイルはその動きが始まるより先に位置を変えていた。腕を取ったところからもう一度見れば、何を判断材料にしたのか分かるかもしれない。


「少佐。今の、ちょっと教えてもらってもいいですか?」


「どこだ」


「ファルク大尉の腕を取ってから、足を入れたところです。どうしてあの向きだったのかなって」


「やってみるか」


「はい」


 エレジは靴を脱いでマットへ上がった。

 カイルと向かい合い、先ほどのヨナスの動きを思い出しながら腕を伸ばす。カイルはその手首を取り、まずゆっくりと身体の向きを変えた。


「ここでお前が腕を外そうとすると、どっちへ動く」


「……こっちです」


 エレジが足を引こうとすると、カイルがその方向へ半歩移動した。


「そうだ。だから先にここを取る。腕を引っ張る必要はない」


「ああ、なるほど」


「もう一度」


 最初の位置へ戻り、今度はエレジが拘束する側になった。


 カイルが腕を外そうとする動きに合わせ、エレジも足を動かす。だが、相手の腕ばかり見ていたため、身体の向きを変えるのが少し遅れた。カイルが軽く向きを変えると、拘束は簡単に外れてしまった。


「今のだと、こっちが空く」


「あ、本当ですね」


「手だけを見るな。相手がどこへ動こうとしてるか見ろ」


「はい。もう一回いいですか?」


「ああ」


 次は腕を取ったあとも、カイルの足と腰の動きまで見て、先に位置を変えた。相手が動こうとする方向へ自分の身体を置くと、先ほどよりずっと少ない力で制限できることが分かった。


 できると、エレジは嬉しくなって、もう一度同じ動きを試した。カイルはそのたびに少しずつ条件を変えてくれるので、覚えた動きをそのまま繰り返すだけでは通らない。それでも、何を見ればいいのかが分かると、次の試行が楽しくなった。


 カイルの指摘を聞きながら何度か繰り返しているうちに、ふと、以前にもこうしていたことを思い出した。


「……なんだか懐かしいですね」


「何がだ」


「こうやって少佐に教えてもらうの。課程の頃を思い出します」


 カイルも当時のことを思い出したらしく、少し表情を緩めた。


「ああ。お前、あの頃も何度もやりたがったな」


「できるようになりたかったんです」


 あの頃は、言われたことを覚え、次の試行で直すのに精一杯だった。今は分からないことがあれば自分から聞けるし、何度も付き合ってくれるカイルの顔を見て、自然に笑うこともできる。


 二人のやり取りを聞いていたリヒターが、面白そうに口を挟んだ。


「何? 課程の頃って、二人でこういうことしてたの?」


「はい。少佐に近接を教えてもらってたんです」


「そうなの?」


「補講があったんですよ。火曜と金曜の夕方に」


「へえ、二人で?」


「はい」


 リヒターはエレジだけでなく、カイルにも目を向けた。今の二人が一緒に訓練しているのは特に珍しいことではないが、まだ恋人ではなかった頃にも、こうして二人で過ごす時間があったらしい。


「その話、聞きたいわ」


「補講の話ですか?」


「そう。今の二人しか知らないから、昔どうだったのか気になるもの」


「そんなに面白い話じゃないと思いますけど」


「それは聞いてから決めるわ」


 リヒターはまだ何か聞きたそうだったが、時計を見ると、ラザニアの焼き上がりまであまり時間がなかった。


「そろそろ戻らないとね。じゃあ、夕食を食べながら聞かせて。ね?」


「はい」


 エレジも続きを試したい気持ちはあったものの、夕食を作りかけにしていることを思い出し、リヒターと一緒に厨房へ戻った。


     *


 オーブンのガラス越しに、ラザニアの表面が色づき始めているのが見えた。チーズの端には細かな泡が立ち、焼けたところから薄い褐色に変わっている。


 リヒターは焼き色を確かめ、もう少しだけ待つことにした。その間にエレジが食卓の準備を進め、リヒターはサラダを器へ移していく。


 焼き上がったラザニアをオーブンから取り出すと、香ばしいチーズの匂いが厨房に広がった。すぐに切り分けると中のソースが流れて形が崩れるため、しばらく休ませておく。

 男性三人も組み手を終え、共有スペースへ戻ってきて五人が食卓につく頃には、ラザニアもちょうど切り分けやすくなっていた。

 食事を始めてしばらくすると、リヒターが待っていたように口を開いた。


「それで、さっきの話。少佐に教えてもらってたんでしょう?」


「あ、はい。近接の補講があったんです。少佐に相手をしてもらってて」


「二人きりで?」


「はい」


 マティアスも当時の課程については知っている。ただ、補講の時間には立ち会っていなかったので、二人がどんなことをしていたのかは初めて聞く話だった。


「俺、補講の中身までは知りませんでした」


「誰にも話してませんでしたからね」


 リヒターは二人の話を聞きながら食事を続けていたが、訓練の内容よりも、まだ恋人ではなかった頃のエレジがカイルと二人で過ごしていたことの方が気になった。


「ねえ、その頃って、もう少佐のこと好きだったの?」


 エレジは思いがけない質問に、少し考えた。


「いえ、まだそういうのじゃなかったと思います」


「そうなの?」


「はい。でも、途中から少佐が近いのが気になり始めて」


「近いのが?」


「最初は何とも思わなかったんです。背後から拘束されても普通に訓練してたんですけど、正面からやったときに、急に気になっちゃって」


 当時は、何が変わったのか自分でも分からなかった。相手はそれまでと同じカイルで、訓練の内容も理解していたのに、正面から向かい合った途端、すぐ目の前に顔があることまで意識に入ってきた。


「それで、気にしないようにしたら余計に気になって、動きが遅れてしまったんです」


「あら」


「少佐にも何度か聞かれました。疲れてるのかとか、怖いのかとか。でも、自分でも理由が分からなかったので、うまく説明できなくて」


「それ、今考えるとどうなの?」


「……あの頃から少しずつ、意識し始めてたのかもしれません」


 今なら、カイルとの距離を気にするようになったことにも、当時とは違う意味を見つけられる。ただ、あの頃の自分がすでに恋愛感情を持っていたのかと聞かれれば、そこまでは分からなかった。

 リヒターはその答えを聞いて、嬉しそうに笑った。


「いいわね。そういう話、好きだわ」


「楽しそうですね」


「だって、今の二人しか知らないんだもの。少佐が近いだけで困ってたエレジなんて、想像するとかわいくて」


 あまりにも即答だったので、エレジも笑ってしまった。

 リヒターは今度はカイルへ目を向けた。エレジの話を聞いているうちに、当時のカイルが何を考えていたのかも知りたくなったらしい。


「少佐は? その頃、エレジのことどう思ってたんです?」


「何だ、急に」


「エレジばっかり話してるもの。少佐の方も聞きたいわ」


 カイルは食事を続けようとしたが、隣のエレジまで興味を持った様子でこちらを見ていた。本人にも話していなかったことなので、どこまで答えるか少し考える。


「……俺も、多少は意識してたな」


「えっ、そうだったんですか?」


 エレジは驚いた。当時のカイルはいつもどおりに指導していて、自分の方だけが余計なことを気にしていると思っていたからだ。


「お前は知らなかっただろ」


「はい。全然分かりませんでした」


「訓練中だからな。お前の動きを見て、必要なことを教えるのが先だ」


「でも、気にはなってたのね?」


 リヒターはそこを聞き逃さなかった。


「そうだな。ただ、あの頃はそれが何なのか、俺も考えてなかった」


 エレジは隣のカイルを見た。あの補講の時間、自分だけが何か分からないものを抱えていたわけではなかったらしい。


「なんだか、同じだったんですね」


「そうかもしれないな」


 マティアスも面白そうに聞いていた。課程中のカイルは受講者全員を見る立場で、私的な感情を話すことなどなかった。だからこそ、今こうして当時のことを普通に話しているのが意外だった。


「少佐がそんなこと考えてたって、初めて聞きましたよ」


「お前に話す理由がないだろ」


「まあ、そうですけど。今聞くと面白いですね」


「お前まで何なんだ」


 カイルが呆れたように言うと、ヨナスも少し笑った。


「僕も、今の二人からは想像しにくいですね」


「そう?」


「ええ。少佐に近づくのをためらうヴァイス中尉だったり、中尉にその類の好意を持ってない少佐だったり」


「……そんなに違います?」


「まあ、見てる側からはそうだろうな」


 カイルは特に隠すつもりもないらしく、普段と変わらない顔で食事を続けている。リヒターが楽しそうに笑った。


「今は会いたいときに会えるから、いいわね」


 エレジも、それは否定できなかった。

 あの頃なら、訓練以外の理由でカイルのところへ行くことなど考えもしなかった。今は会いたいと思えば隣の部屋へ行けるし、カイルも当然のように迎えてくれる。

 そう考えると、ずいぶん変わったものだと思う。

 しばらくして、マティアスが先ほどの組み手を思い出したように尋ねた。


「それで、補講では少佐に勝てたんですか?」


「勝つための訓練じゃなかったですよ」


「それは分かってますけど」


「最後に一回だけ、本気でやってもらいましたけど、全然駄目でした」


 それまで二人の昔話を聞いていたヨナスも、今度は訓練の内容が気になったらしい。


「本気で?」


「はい。どれくらい差があるのか知りたくて、私からお願いしたんです」


「少佐、よく引き受けましたね」


「最初は断った」


 カイルの返事に、エレジも当時のやり取りを思い出した。頼んだ直後は明らかに嫌そうな顔をされ、駄目だと即答されたのだった。


「そうでしたね。でも、最後はやってくれました」


「結果は?」


「何もできませんでした。全部止められて」


「でしょうね」


「分かってはいたんですけど、想像してたよりずっと差がありました」


 そのときカイルと話したことまで思い出せて、エレジは笑った。何もできなかったことは悔しかったが、正しく動いても通用しない相手がいると知れたのは、今でも大切な経験になっている。


「でも、やってもらってよかったです。今でも覚えてますから」


「なら意味はあったな」


「はい」


 リヒターはそんな二人を見ながら、また少し笑った。


「なんだか不思議ね。そんなふうに教えてもらってた二人が、今は恋人同士なんだもの」


「私も、あの頃はこうなるなんて思ってませんでした」


「少佐も?」


「ああ。考えもしなかったな」


「へえ……」


 リヒターが知っている二人は、すでに互いを恋人として大切にしていて、五人でいるときにも自然に近くにいる。今では当たり前になっているその関係にも、相手をどう思っているのか自分でも分からなかった時期があったのだ。


「やっぱり昔の話って面白いわね。今は当たり前みたいに一緒にいる二人にも、そうじゃなかった頃があるんだなって」


 その後も夕食は、課程の頃の話でしばらく続いた。


 マティアスが当時の長時間行動での出来事を持ち出すと、エレジも思い出したことを付け加えた。ヨナスは昔の課程で使っていた通信機材について尋ね、リヒターは自分が知らなかった頃の二人やマティアスの話を楽しそうに聞いていた。


 大皿のラザニアがほとんどなくなる頃には、窓の外はすっかり暗くなっていた。

 リヒターは片付けの時もカイルとエレジのやり取りを聞きながら、食器を運んでいた。訓練の頃のことだけでなく、二人ともまだ自分の気持ちが分からなかった頃の話まで聞くことができた。


 今の二人を知っているからこそ、その始まりが少し意外で、面白かった。

 隣で片づけを手伝っていたマティアスが、リヒターの持つ皿を受け取る。


「何か、ずいぶん楽しそうでしたね」


「ええ。面白かったわ」


「昔の話、そんなに気になります?」


 マティアスにとっては、自分も参加していた課程の話だった。けれどリヒターにとっては、三人と出会う前の、まだ知らない時間の話でもある。


「気になるわよ。例えばあなたにも、私が知らない頃があるんだもの」


「そりゃ、ありますけど」


 マティアスが笑うと、リヒターも笑い返した。

 残った食器を片づけても、共有スペースにはまだ夕食の名残があった。洗い終えた皿が水切りに並び、誰かが淹れたお茶の香りが、ラザニアの焼けた匂いに少しずつ代わっていた。



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