九十ニ、確信の報告
あのあと私は仁美の看病のお陰と色々と話を聞いてもらったのもあり、普通に何事もなく出勤できていた。さすがに治ったといえど、気持ち的にお弁当を作る気力はなかったので、久々コンビニエンスストアでお昼ご飯を買いに外に出ることにした。特に今日は天気も良かった。なのでそのまま近くのベンチで食べようと晴天の空の下、少しだけ一人ピクニック気分だった。私はサンドウィッチを食べながら、スマホを手に取り、澄から連絡がきてないか確認した。仁美に返事は返しなよと言われて、自分なりに返信をしたけど既読スルーされたまま止まってしまっている。
「…………いよいよ、呆れて……るとか?…………はぁあ、、つら………………自暴自得すぎる。」
「あ~、お~、ば~。」
「んっ!……ッゲホ!」
私は急に後ろから話しかけられたので、飲み込んだサンドウィッチが変なとこに詰まった。慌てて近くにあったアイスティーを飲み落ち着かせると、慌てた様子で澁谷君がこちらを見ていた。
「そ、そんなに驚くなよ……なに、なんかあった?」
「………けほ………な、なんで?」
私は涙目になりながら、咳を落ち着かせつつ答えた。
「コンビニ行こうとしたら、珍しくこんなとこにいるかさ…………なに?なに?どうしたー?」
「めっちゃ聞くじゃん。」
「もしかして、、、例の人と……別れそう?」
彼は周りに気を遣ってかなり小声でそう言ってきた。澁谷君って変に察しがいいとこあるよなと心の中でつっこみつつ、ふぅーと一息ついた。
「……いきなりぶっこむね……別れてないけど……。」
私は事実を言っているのにも関わらず、若干そう答えている自分の現状が合ってるのか心配になった。なにせ連絡がとれないことには、このままじゃどっちつかずな状態だ。
「…………………………なぁ、青葉さ、もしかしてなんだけど 、、、たまーに傑さんからいい寄られてる?」
「………………え!?」
私は仁美の話もあったので、まさかの質問にさっきよりさらに驚いてしまった。
「それは澁谷君からも、、、そう見えてる……ってこと?」
「見えてる……というか……。」
「……っ!……もしかして、何か聞かれてるの……?私について……。」
「あ~~~……そんな感じ?…………青葉への質問やたら多くてさ…………そうなんかなぁ~って。」
彼の反応を見てやっぱりそうなんだと確信した。最近の4人のご飯会はそういういともあったんだ。
「……そ、そっかぁ…………最悪…………。」
「え?!最悪?!」
「……っえ、あ、澁谷君に対してじゃないよ?……自分が疎すぎたなって、安易だった……ほんとに……ありがとう、教えてくれて。」
「いや、なんか、、傑さんに対してさ、うまくかわすようなこと言えなくて、俺。なんか青葉は誘うの止めましょうとか言うと、逆に理由聞かれそうで……ごめんな……やっぱり早く報告すべきだったよな。」
「いや、私が彼氏のこと黙っててってお願いしたから……。」
「俺も初めは職場の人とご飯くらいならって、わりと普通かなって思ってたんだけど……たぶん、2人だと誘いにくいからなのかなって途中で思い始めて……。」
そう言いながら本当に申し訳ないと思っているのか、みるみる身体が小さくなってきているように感じた。そんな姿に私は逆に申し訳なくなって、気にしないでよと軽く彼の肩をポンポンと叩いた。
「でも、うん、なんかそうと分かったら、もう大丈夫!…………この際だから、ハッキリ伝えちゃうよ。」
「……え、だ、大丈夫か?」
「うん、まー伝えてみて、、色んな人にバレても、気にしない!」
「そっか……。」
「………………よしっ!澁谷君、職場の雰囲気悪くしたら、同期としてフォローよろしくね!最悪、私、異動……いや、やめるかもだけどっ!」
「縁起でもないこと言うなよっ!!」
「あははっ…じゃあ、私、そろそろ戻るね。」
そう言って私は荷物をまとめて、職場に戻ろうと立ち上がった。
「青葉。」
「ん?」
「無理すんなよ。」
「大丈夫だよっ、それに今のうちに休んでって、たまたま明日からリフレッシュ休暇だからさ、色んな意味で切り替えられるよ。」
私はそう言いながら澁谷君に手を振り、その場を離れて職場に向かった。今までの私は澄に迷惑をかけたくなくて、みんなにあえて秘密にしてたけど、こうやって悪い方向にすすんでいってしまうなら意味がない。それに澄以外にも結局迷惑をかけてしまって、さらに最悪だ。そんなことを頭の中で考えながら、事務所に向かうとちょうど宮野さんが事務所から出てきた。私はもう中途半端なことはやめようと、気持ちをぶらすまいと、勢いそのまま彼に話しかけた。
「宮野さん!」
「ん?お疲れ様、なに?」
「あの……急で申し訳ないんですが、今日、仕事終わり、少しだけ時間もらえませんか。」
「…………え?」
あちらは急なお誘いに困惑してるようだった。無理もない。この間は私からやめて欲しいと言ったのだから。
「話したいことがあって……時間はそんなにとらせないので、お願いします。」
「………………い、いいよ。えっと、場所は…どうしようか。」
「今日の遅番、楓さんと代わってもらうので、閉店作業後、着替えて店の前で大丈夫です。」
「…………わかった。」
「ありがとうございます、では、また。」
私は軽くお辞儀をして、荷物を置きにロッカールームに向かった。今日で色々とケジメをつけて、しっかり澄に話そう。頻繁に会えないし、直接話せないからこそ、こういうことはうやむやにしたらダメなんだ……きっと。私は荷物を置いて、鏡の自分を見ながら決意を胸に、両頬を軽く叩いてからロッカールームを出た。
この時は、知らなかった。。。
私が思っている以上に、元彼が今回の再会を運命だと勘違いしてることに――――――。




