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理由はあの子




演技…ではないわよね?おいおいと懐から出したスカーフで顔を覆い涙を拭う宰相閣下は寝る間もない程仕事をしていた。つまり、それほど今この国が追い詰められているかもしくは…ああ、そっちでしょうね。

私も頭を抱えそう。サーシャは私がいないからと色々放棄していたといっていたし。


「跡継ぎがむの…いえ、順調に育っていないのね?」


「おっしゃる通りです!!」


なるほど、なら婚約者は有能なら有能なだけ良い。魔法使いなんて預言の珍しい存在だとしたら余計支持も集まるかもしれないし、他勢力がいたとしたら牽制にもなる。

声高々に是非こちらで過ごされて下さい!できることでしたら何でもしますから!と頭を下げる宰相閣下ににこりと笑いかけた。


「何でも…ね、わかったわ。」


「魔法使い様!」


「カレン、よ。宰相閣下。貴方は?」


「カレン様…!アルバート、でございます。」


名前を言うとまた頭を下げる彼に、頭をあげてもらい、サーシャとサーシャの護衛を呼んでもらうことにする。

サーシャが来るまでの間城内の地図を見せてもらい、また迷子にならないように把握しておく。王にも会っておきたいけれど、それはまた明日時間を作って貰うことにした。

王と王子と王妃と全員まとめてお目見えだそうだ。ガタンと扉が開いてサーシャと先程サーシャに伝言を頼まれて面倒そうな顔をしていた護衛騎士が到着したので話を進めようと口を開いた。


「お願いは沢山あるのだけれど、まず今、私が唯一助けたいと思うのは、この国でも世界でもなくサーシャよ。」


「なんと…」


「サーシャの為だったら手伝ってもいいの。と、いうことで、私をサーシャの護衛にしてね?」


「カレン!」


嬉しそうな声を出したサーシャからの反対は特にないらしく、安心ね。


「今の護衛騎士の方はあまり乗り気でないようですし、いいですよね?姫付きの騎士様なのだからとてもいい腕なのでしょう?それ相応の職があるはずだわ。」


「!」


褒めるような言葉を口にしたら嬉しそうな顔をした護衛騎士ににこりと微笑みかけておく。

皮肉には捉えられていないようで良かった。

姫付きなんて光栄なことだと思うけれど彼は身体を動かす方が好きなんだわ。きっと。


「それと、私と一緒に来たアキラという青年とシビという動物はまだお城にいるかしら?シビには私と共にいて欲しい。アキラも合格していたら、王子ではなく、私の護衛にして欲しいわ。」


「探させます。」


味方は最初から多い方がいい。

他の人の所に行く前にこちらについて貰えれば アキラなら助けになってくれると思うし。

ちらりとサーシャを見たら頷いていたから問題はないようだ。


「あと、私に用意されている資料や勉強時間をサーシャと共にすること。」


「え。」


「異世界の人用に用意されていたならわかりやすいはずよ。一緒に…頑張れるわね?サーシャ。」


「…うん!カレンと一緒なら!」


「なんと…勉強嫌いのサーシャ様が…!」


「サーシャは勉強嫌いじゃないのよ。やる気を出していなかっただけ。ね?」


「うん!」


よしよし、といつもやっていたようにサーシャの頭を撫でてハッとする。

いくら魔法使いといえど、一国の姫への態度ではなかったかしら。

さりげなく周りの様子をうかがうと、驚いたような気配の方が多く、悪い気は感じなかった。

なにに驚かれたのかしら、私とサーシャの気安さ…?


「えへへ、カレン、大好き。」


「ええ、私もよ。貴女がいる国だもの、しっかり助けるわ。」


「さ、サーシャ様が笑って…!」


人目はもう気にしないらしいサーシャが私の腰に抱きつき、すりすりと擦り寄ってきて可愛い。よほど会えなくて寂しかったようね。

部屋も一緒でいいよね!と言いだしたサーシャにしっかり首を振ったらショックを受けてしまったようなので、アルバートに近くの部屋を用意してもらいました。

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