再会
どうしてこうなった?
そう考えてもしょうがないと思う。
アキラとシビと共に城までたどり着いたはいいけれど、護衛は女じゃダメだって言われて女だって誰よりも強い自信あるわ!と魔法を見せたところあれよあれよという間にドレスアップさせられて王子にお披露目するとか何とか騒がれている所でハッとしたのだ。
なんだかすごく空気に流されてしまってあれよあれよとここまで来て申し訳ないけれど、部屋の人達を眠らせ、逃げ出してきたはいいが始めての城なんて迷子になるに決まってるわよね。
突発的に逃げ出してしまったけれど、ここまでやってくれた人達に罪はないわけだし…いいえ、そもそも事前に了承取らなかった方がわるいわよね!うん。
アキラとシビともはぐれちゃったし…
「〜!…う…~!」
「ん?」
話し声が聞こえて助かった、と思わずそちらに進んだものの、自分を探しに来た人達だったらどうしようかしら、と考える。
あの反応からして無闇矢鱈には魔法を使わない方がいいって学んだけれどばっちり顔も見られたし、自分で言うのもなんだけれどわりと顔はいい方だから恐らく覚えられていると思う。
まあその時はその時、と思い様子を伺うと、そこには…
「サーシャ!」
「!」
「!?」
探していた人に会えたのが嬉しくて、思わず何も考えず飛び出してしまったが、複数の女性に囲まれたサーシャの状況を考えるべきであった。ちょうどサーシャの正面に立っていた女性がサーシャに向かって何かを投げたのだ。
私に気を取られてその物体はサーシャの顔面に向かっている。
思わずバリアを発動して事なきを得たけれど、当たっていたら危なかったのではないかしらあのカップ。
地面に落ちて豪快な音をたてる予定であったはずのカップをまた思わず浮かせてしまったのでそれを手に取り、サーシャの前に立ち、カップを投げた女性と向き合った。
「ごめんなさい、私が急に声をかけたせいで…お怪我は無いですか?」
「あ、あなた…」
「このカップは貴女のものですか?」
「いえ…サーシャ様のものですわ。」
それをなぜこの女性が持っていてサーシャに投げられたのかは容易に想像できる。
恐らくこの女性達はサーシャのことをよく思っていないのであろう。チラリとサーシャの様子を伺うと、涙を流して私を見上げていた。
「カレン…?」
「そうよ。サーシャ。」
「カレン!」
感極まったように飛びついてきたサーシャを受けとめきれずに、後ろに倒れそうになったが、また魔法でふわりと風をふかせて倒れる衝撃を軽減した。
驚いた表情のままこちらを見ている女性たちに行儀が悪いかもしれないが、そのままにこり、と笑いかけた。
「後から来た身分で申し訳ないのだけれど、サーシャと2人にしてくださいますか?」
アキラの話ではピンと来ていなかったけれど、先程の対応を見るからに魔法使いという肩書きは恐らく今、使えると判断し、わざと手に持ったカップを浮かせながらそう言うと、その場から素直に立ち去ってくれたので助かった。
これ以上なにかしてくるようだったら私も黙っていられる性格ではなかったから。
地面は少し冷たいが、魔力を使うのも面倒だったので、とりあえず腕の中で泣いているサーシャが落ち着くまで抱きしめてよしよしすることにする。




