浮き足駆け足
魔法使いという言葉に驚いたアキラに話を聞くと、どうやら魔法使いは伝承の中にしか存在しない存在らしい。
勇者とか世界を救うとかではなくて、千年に1度現れるとかそういうの。しかも魔法使いは基本的に女らしい。
そしてその千年目というのが今年だから王子達が花嫁を探しているとの事だ。
興奮気味に話すアキラに、懐かしさを感じて指パッチンで炎の魔法をやってみせると、手を叩いて喜んで面白かった。
「え、ほんとに?魔法ってあるんだな!?」
「使えるようだしあるんじゃないかしら?」
シビも足元をくるくる回ってすごいすごいと言ってくれている様子なのが可愛くて頬が緩んだ。
「…!」
「?」
息を飲むような音が聞こえて顔をあげると、アキラがこちらを見ていた。
心ここに在らずの状態に見え、どうかしたかと首を傾げ様子を伺っていると、ハッと意識を戻した様子のアキラはまた興奮した様子で詰め寄ってきて、肩に手を置かれた。
「いける。」
「え?」
「カレンなら、花嫁いける!というか向こうも探してるだろうし。」
「え、嫌よ。」
「え!?」
なんで!と顔全体で伝えてくるアキラの手を肩から払って、1尾になってくれていたシビを抱き上げた。
「だって、私は好きな人と結ばれたいもの。権力に興味もないし。」
ねー、と腕の中のシビに語りかけるとぺろぺろと頬を舐めてそうだそうだと言ってくれているようである。
「向こうだって実際の所そうでしょうよ。」
「そうか?」
急に現れた魔法使いの女なんて結婚したい訳がない、と思っていた。
その掲示板のポスターを見るまでは。
「(サーシャ!シオン!…と誰?)この3人は?」
「姫と王子だ。全員腹違いらしいけど。」
「なるほど。」
シオンともう1人は私を覚えているかわからないけれど、花嫁を探している王子のポスターの写真にわざわざ自分の写真を入れたという事は、おそらくサーシャは私を探している。
私もサーシャに会いたい。
「アキラ!シビ!行きましょう!」
「お?」
「早く会いたいわ!」
「えっ、何、もしかして王子がタイプだったのか?」
「違うわよ!私が会いたいのは姫よ!」
「姫…えっ?え!?」
「親友に会いたいの!」
「!」
思わず浮き足立って後先考えず言葉を発してしまって自分でも驚いた。姫と親友なんておかしいわよね、でもまあいいか。嘘ではないもの。




